求められる導管運営の効率化 より低廉な託送料金の実現に期待

2022年5月8日

【佐藤美智夫/東京電力エナジーパートナー 副社長販売本部長】

導管事業者3社が発足したのを機に、これまで以上に導管運営の効率化を図る努力をしていただけるものと期待しています。効率化を反映し託送料金が低減されれば、都市ガスを利用する全てのお客さまのメリットになります。

例えば、現在は、原則として内管保安を担う導管事業者と消費機器保安を担う小売り事業者の双方が開栓に赴く必要がありますが、電力と同様に全需要家にスマートメーターが行き渡れば遠隔操作が可能となり、保安業務の効率化とコスト抑制につながるはずです。

制度面では、複数の事業者のコストを比較し、基準となるコストを算定する「ヤードスティック方式」により査定された託送料金がいまだに採用されていることに懸念を持っています。地方の都市ガス会社の中には、託送料金が高く新規参入できないケースが見受けられます。

当社が立ち上げたガス卸のプラットフォーム「東京エナジーアライアンス(TEA)」に14事業者が参加し、大都市圏では需要家選択肢が多様化されるなどシステム改革の目的がある程度達成されました。しかし参入者がない地方都市ガスエリアもあり、低廉な相対卸料金など、競争に資する仕組みの導入は不可欠です。

特に大口需要家のより低炭素な天然ガスへのニーズが高まっています。そのニーズに対応するため、ガスの供給インフラは今後も非常に重要な役割を果たします。

今後、京葉ガスと大多喜ガスが共同で建設中のJERA富津LNG基地から姉崎火力発電所を結ぶ「なのはなパイプライン」の運用が開始され、当社が活用可能な導管ネットワークが強化されます。電化に取り組みつつ、これらのインフラを活用しながら、電化が困難な高温の熱分野へは低炭素な天然ガスをしっかりと供給し、電気・ガス、そして設備を含むトータルのエネルギーサービスを提案していきます。