カーボンニュートラル都市ガスを供給 地域需要家の「脱炭素化」を支援

2022年6月12日

【西部ガスホールディングス】

 今年4月、西部ガスは北九州市でカーボンニュートラル(CN)都市ガスの供給を始めた。

東邦チタニウム若松工場と、同月オープンしたイオンモールの「THE OUTLETS KITAKYUSHU(ジ アウトレット北九州)」に供給する都市ガスの全量が、CNLNGによってカーボンオフセットされた都市ガスとなる。

西部ガスホールディングスは2021年9月「西部ガスグループカーボンニュートラル2050を策定。50年には脱炭素化したガスや水素、再生可能エネルギーなどを適材適所に使い分けながらCNを実現すると宣言している。

実現までの移行期の取り組みとして、①石油・石炭からの燃料転換を図る「天然ガスシフト」、②CNLNGやメタネーションなどを活用した「ガスの脱炭素化」、③再エネの普及拡大などによる「電源の脱炭素化」―の三つの柱を掲げる。

将来的にはメタネーションで製造した合成メタンなどを供給して脱炭素化を図るが、移行期においては、石油・石炭から天然ガスへの転換が現実的だ。

30年までの具体的な目標としては、CO2排出削減貢献量150万t、再エネ電源取扱量20万kW、ガスのCN化率5%以上を目指すとしている。

ガスのCN化率5%については、CNLNGやメタネーション、水素、バイオガスなどの手段によって、ガスを調達・製造することを検討している。

今回のCN都市ガスの供給について、営業計画部の北原憲三マネジャーは「お客さまが脱炭素化への方法を探る中で、CN都市ガスの導入は設備を更新することなく低・脱炭素化を図れる」とし、「環境意識が高い企業や、海外向けに製品を輸出するメーカーなどに対して積極的に勧めていきたい」と話す。

大学などと共同で技術開発 地域とつながり価値を創造

ガスの脱炭素化では、九州大学や日本炭素循環ラボ(九大発ベンチャー)と一緒に、新しいCO2回収技術の共同検討に取り組み始めた。都市ガス燃焼後、ガスボイラーやガスコジェネなどのガス機器から出た排ガスに含まれるCO2を回収し、変換・利用する技術の開発だ。

カーボンニュートラル推進部の石井直也マネジャーは「50年のCNという目標に対し、できることを着実に一歩一歩やっていきたい」と抱負を語る。

エネルギーと暮らしのサービスを通じて地域とつながり、信頼を築いてきた西部ガスグループ。そのつながりを力の源として、未来を変える価値の創造に挑みたいとしている。

2月に約7万tのCNLNGがひびきLNG基地に到着した