【東北電力 樋󠄀口社長】火力燃料の安定調達や 被災火力の早期復旧で 給力確保に万全を期す
燃料調達リスクや大規模地震による設備被害など、さまざまな課題に直面している。火力燃料の安定調達ならびに被災火力の早期復旧に全力を尽くし、2022年度の夏・冬における電力の供給力確保に努めていく。
【インタビュー:樋󠄀口康二郎/東北電力社長】
志賀 電力の供給力確保のためには燃料の安定調達が重要ですが、今後の燃料市場をどのように見ていますか。また、燃料の安定調達のためにどのような対策を講じていますか。
樋口 ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、当面の間は燃料価格が高止まりする可能性が高いと考えています。石炭については、ロシア炭の禁輸方針を示した欧州諸国の需要家がロシア炭以外の海外炭調達を積極的に行っていることに加え、日本もロシア炭の段階的禁輸方針を示したことなどにより、世界的に需給のタイト感が続いています。
またLNGについても、ロシアからの供給途絶リスクを背景に各国の代替調達の動きが見られ、市場において厳しい需給バランスがしばらく継続する可能性が高いと考えています。今後の動向を注視するとともに、調達先を分散するなど柔軟に対応していきます。
志賀 代替調達の目途は立っているのでしょうか。
樋口 当社は、昨年度までの実績で、石炭・LNGともに1割程度をロシアから受け入れています。近距離ソースであるロシア炭は輸送費の面でメリットがありますが、供給途絶リスクがあることなどから足元では受入れを見合わせています。現時点では、ロシア炭の受入予定はありませんが、2022年度の石炭調達については北米などの他の産炭国から分散して調達することで、所要量を確保できる見通しです。
LNGについてはサハリン2プロジェクトに関する売買契約に基づき、調達を継続しています。現時点で影響は出ていませんが、今後の状況変化により影響が出る可能性もゼロではないため動向を注視し、あらゆる代替手段の検討を進めていきます。

1981年東北大学工学部卒、東北電力入社。18年取締役常務執行役員発電・販売カンパニー長代理、原子力本部副本部長、19年取締役副社長 副社長執行役員CSR担当などを経て20年4月から現職。