北陸の「セブン」に再エネ電力を供給 オフサイトPPAで地域を脱炭素化へ
【北陸電力】
福井県坂井市で建設していた「北電BESTテクノポート福井太陽光発電所」(出力6220kW)が営業運転を開始した。北陸3県のセブン‐イレブン303店舗に向けて、この発電所で作った再生可能エネルギー電力を供給する。契約は20年間。北陸電力にとって初めてのオフサイトPPA(電力購入契約)だ。
同社が保有する約6万㎡の未利用地を活用し、約1万1700枚のパネルを設置した。塩害対策を兼ね裏面をガラス面にしたことで、両面で発電が可能。約10%発電量が増える。発電量は年間約673万kW時で、各店舗の電力使用量の1~2割分を賄う。一般家庭約2200世帯の年間使用量に相当する。

導入需要家にとってオフサイトPPAのメリットは、①初期投資をせずに太陽光発電所で発電した再エネ電力を使用できる、②施設の脱炭素化を促進できる―などが挙げられる。
セブン&アイ・ホールディングスは、2050年カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みで、「省エネ」「創エネ」「再エネ調達」を3本柱として掲げる。全国約2万2700の店舗運営では、省エネや、店舗の屋根に太陽光パネルを設置するなどの創エネに取り組んできた。
北陸電力は電力自由化を機に、19年から首都圏のセブン―イレブン約1600店舗に電力を販売。セブン&アイの取り組みを知り、自社の未利用地を活用して「再エネ調達」を支援できると考えた。
店舗の脱炭素化を支援 自治体連携でモデル都市へ
21年4月、当時担当常務だった松田光司社長は、セブン&アイの井阪隆一社長と面談する機会があった。「当社は従来より水力発電の開発に力を入れ、再エネへの思いが強い。脱炭素社会に向けた互いの思いが一致した」と、とんとん拍子に話が進み、異例の早さで着工、完成した経緯を振り返る。
井阪社長も「再エネの地産地消にもなる。北陸地域のCNを実現するお手伝いができることを大変うれしく思っている」と話す。
北陸電力は坂井市と地域創生に関する包括連携協定を結んでいる。
坂井市は、福井県内17の市町の中でいち早くゼロカーボンシティーを宣言した自治体だ。北陸電力、セブン&アイ、坂井市が連携し、エネルギーの地産地消のふるさととして全国のモデル都市を目指していく。
