【特集2】現場で感じた「デコミカルチャー」 浜岡1、2号機の廃止措置を見て

2022年8月3日

廃止措置は国家的課題 欠かせない国の支援

廃止措置の現場をつぶさに見て回ってしみじみと感じたことがある。それは、廃止措置は国家的課題であるということ。廃炉には時間とコストがかかる。それのみならず、どうやら事業者だけでは解決できそうにない側面もあるように映ったからである。

13年、福島第一原子力発電所の事故を起こさなかった5、6号機について、当時の安倍晋三首相は視察後、廃炉を要請した。その後、福島第二の全4基も廃炉が決まったが、その決定に当たって官邸は極力関与を避けようとした。一方で当時、永田町界隈から聞こえてきたのは「廃炉は新たなビジネスチャンスだ」という声だ。廃炉はカネになるという風にしか聞こえなかった。無責任だと思った。廃炉は「楽しい」かもしれない。しかしビジネスとして成立するには、国のバックアップが欠かせないのではないだろうか。

機器類などはバンドソーで切断する

クリアランス物の活用についても、まだ事業として成立するまでには至っていない。しかし今回、浜岡を訪れて、1、2号機の廃止措置で発生したクリアランス物(金属)の再利用として、側溝用のふたへの加工が進められていることを知った。製造されたこのふたは、まずは浜岡原子力発電所敷地内などの側溝に設置されるそうだ。これは記念すべき第一歩である。これから着実に再利用が進んでいくことに期待したい。

3・11後、20基以上の原子力発電所が廃止措置となることが決まった。まだまだ使える柏崎刈羽の1?5号機についても、奇妙な「廃炉圧力」がかかっている。いずれにしても、この大量廃炉時代の入り口にあって、事業者だけでは手に負えない側面が確実に見え始めている。国は自らが主導して始めた原子力ビジネスの後始末に責任を持って関与ができるのか―。そのことが今後、ますます重みを持って問われていく。

今日も廃止措置の現場では、着々と作業が進められている。現場のスタッフの皆さんの張り合いのある生き生きとした姿が脳裏に浮かぶ。廃止措置は約30年という年月をかけるビックプロジェクトで、完了目標は2036年度。ぜひ廃止措置を終えた更地に立ち、発電所建設から廃炉までの年月の重みに思いふけてみたいものだ。浜岡1、2号機の廃炉現場の視察を終えての私の思いである。

さわだ・てつお 1980年京都大学理学部物理学科卒。三菱総合研究所、ドイツ・カールスルーエ研究所客員研究員などを経て2000年から東京工業大学助教。専門は原子核工学。

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