【インフォメーション】エネルギー企業の最新動向(2022年9月号)

2022年9月14日

【関西電力ほか/系統安定化に大型蓄電所を運用へ】

関西電力は、オリックスと和歌山県紀の川市で蓄電所事業を実施することで合意した。8月から大型蓄電池(定格出力48MW、定格容量113MW)の設置工事を始め、2024年4月の運転開始を目指す。関西電力が大型蓄電池を導入するのは初めてのことだ。この事業は「再生可能エネルギー導入加速に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」に採択されたもの。運開後は需給調整市場、日本卸電力取引所、容量市場などの取引を通じて運用していく。再エネ普及が進むことで、出力変動への対応が急務となっている。電力系統網に大型蓄電池を接続して、需給変動への調整力の供出や再エネの余剰電力の吸収などを通じて、電力需給の安定化を図る。

【東京電力ほか/電気バスの運行を最適化するEMSの実証開始】

東京電力はみちのりホールディングスと共同で、電気バス向けエネルギーマネジメントシステム(バスEMS)を開発する。NEDOが2022年度から実施する「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」プロジェクトに採択された実証事業だ。みちのりHDがバスの運行管理最適化のノウハウ提供とシステムを、東京電力がエネルギー需給マネジメントシステムを担う。関東自動車、福島交通、茨城交通が導入予定の電気バス218台でバスEMSの技術検証を行うとともに、電気バス導入の経済性と実用化に向けた課題を洗い出す。参加する各社が培ってきた強みを生かし、電気バスの普及と地域エネルギーマネジメントの取り組みを推進していく方針だ。

【東芝エネルギーシステムズ/安全性が高く環境リスクがない混合ガスのGIS受注】

東芝エネルギーシステムズは、東京電力パワーグリッドから自然由来ガスを用いたガス絶縁開閉装置(GIS)を受注した。府中変電所のリプレース案件で、72kVのGISを202

2年12月末までに据え付ける予定だ。この製品は絶縁媒体として安全性が高く、漏えい時に地球温暖化への影響がない窒素と酸素の混合ガス(ドライエア)を使用。同社は環境リスクがなく、取り扱いが簡便な自然由来ガスを用いた電力機器を「AEROXIA(TM)」のブランドで国内外に展開している。GIS全体の製品開発と、環境負荷低減対策として自然由来ガスを用いた機器の研究開発のノウハウを生かし、環境調和性の高い製品展開を積極的に行うことで、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。

【ヒートポンプ・蓄熱センター/先進システム導入の施設公開】

ヒートポンプ・蓄熱センターは7月にセミナー・施設見学会を行った。今回公開されたのは、高砂熱学イノベーションセンター。ヒートポンプ・蓄熱システムの採用により大幅な省エネを実現している。セミナーでは、同システムの最新動向をはじめ、イノベーションセンターへの導入事例や効果などが紹介された。センターは、こうしたセミナーや施設見学会などさまざまな活動を通じて、省エネ性や環境性、経済性などに優れたシステムの普及を促進していく方針だ。

【三菱重工エンジニアリング/商用初の小型CO2回収装置が稼働】

三菱重工エンジニアリングはこのほど、太平電業から受注した小型CO2回収装置の商用初号機を納入し、運用を始めた。設置場所は、広島市の複合機能都市「ひろしま西風新都」にある出力7000kW級のバイオマス発電所。排ガスから回収されたCO2は、構内の農業ハウスで利活用される。この装置の回収能力は1日当たり0.3t、設置面積は全長5m×全幅2mだ。完全自己消費型のカーボンネガティブ発電所の設置で、脱炭素化社会の推進を目指す。

【川崎汽船/新型EV曳船を建造 発電機搭載で環境対策】

川崎汽船のグループ会社であるシーゲートコーポレーションは、ハイブリッドEV曳船を建造する。陸上の充電器で大容量リチウム電池に充電し、モーター駆動する方式に加え、バッテリーの残量不足を補う発電機を搭載する。発電機用燃料は、次世代燃料に置き換えていき、将来はゼロ・エミッション船を目指す。2025年に徳山下松港へ配備する予定だ。

【BECCジャパン/気候変動対策を議論 省エネの研究を発表】

第9回気候変動・省エネルギー行動会議(BECC JAPAN2022)が7月に開催された。気候変動対策や省エネのための行動変容に着目し、国内の調査研究などの最新事情を共有するもの。「スマートタウン居住者のエネルギー消費に関する実態調査」(東京工業大学)、「ビックデータを用いた空調機利用実態の解明」(東京都市大学大学院)などの発表があった。