【関西電力 森社長】グループの総力を結集し ゼロカーボン社会に挑戦 新たな時代を切り拓く

2022年9月1日

志賀 再エネ電源の開発にも積極的に取り組んでいます。

 現在、運開前も含めた国内再エネの設備容量は、約392万kWにのぼります。40年までに累計開発900万kW規模という目標に向け、着実に進捗しており手応えを感じています。今後、洋上風力を中心に、再エネ電源の新規開発をさらに加速させていきます。

洋上風力を中心に再エネの新規開発を加速させていく
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志賀 火力発電の脱炭素化に向けた取り組みについては。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業などを通じ、既存の発電所において、水素やアンモニアといったゼロカーボン燃料の混焼・専焼について検討しています。

 また、舞鶴発電所でのCO2分離回収試験やCO2船舶輸送に関する実証試験への協力などを通じて、CCUS(CO2の回収・利用・貯留)技術の適用可否を検討しているほか、水素の製造・輸送・供給、発電用燃料としての利用など、多分野にわたる調査や実証などに取り組んでいます。S+3Eの観点を踏まえ、民間各社が検討を進めている水素サプライチェーン構想との連携を視野に、水素の利活用に向けた検討を加速させたいと考えています。

志賀 非常にハードルが高い挑戦になりますね。

 ハードルが高いことは承知していますが、技術的な面でブレイクスルーの可能性に加え、化石燃料価格が上昇しており、コスト的に追いつくかもしれないという領域に来ています。技術革新に加え、制度・政策面でも強力な後押しがあれば、水素・アンモニアが一定程度活用される世界が見えてくるはずです。当社は、水素を単に発電用燃料として活用するという発想にとどまるのではなく、上流を含めた水素のバリューチェーン全体でビジネスを展開し、強いポジションを確立することを目指します。

志賀 需要側の脱炭素化に向け、取り組んでいることはありますか。

 当社グループ自らが取り組むだけでなく、お客さまや社会の皆さまとともに、CO2排出量削減を目指した取り組みを進めています。具体的には、熱源として化石燃料から電気機器に転換する「電化」省エネ機器の導入やエネルギーマネジメントの高度化による「省エネ」、再エネや蓄電池活用のご提案やCO2フリーメニューの活用によるゼロカーボン電気への「置き換え(オフセット)」などです。これまで電気の利用が少なかったモビリティの電化に関する取り組みも強化していきます。

25年大阪・関西万博へ 新機軸の展開検討

志賀 電力業界として大阪・関西万博へのパビリオンの出展が決まりました。

 電気事業連合会としてパビリオンを出展します。大阪・関西万博のコンセプトは「未来社会の実験場」ですので、エネルギーの未来を体感できるパビリオンにするとともに、それ以外の会場のいたるところにおいても、さまざまな新機軸の展開を検討しています。例えば、空飛ぶクルマや、電気自動車の走行中給電、水素燃料電池船、スマートポールなどの実証を進めており、万博での実装を目指しています。原子力由来の水素製造検証で得られた知見を活用することなども考えています。未来社会を肌で感じられ、皆がワクワクする楽しい提案をしていきますので、ぜひご期待ください。

志賀 25年の開催が待ち遠しいですね。本日はありがとうございました。

対談を終えて 
1期2年務めた森本氏の後任として就任。指名委員会は2年前から候補10人程度に面接を重ね、榊原会長は指名理由を「バイタリティあふれ、バランス感覚、優れた判断力がある」と評価。打診時には、「10秒ほど間を置いて」受諾したと振り返る。柔和で冷静で力みを感じさせない人柄がそのまま表れたようなシーンだ。国際情勢の緊迫化、需給ひっ迫、収支悪化など多数のリスクが複合的に発生する激動の時代と認識し、グループ全従業員が一丸となって課題に取り組むようにするのが使命と認識している。(本誌・志賀正利)

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