目次
自動車産業に革命を起こす――。
中国製のNEV(新エネルギー車)が世界市場を席巻しようとしている。
綿密な国家戦略に立脚する揺るぎのないコスト、性能、サプライチェーンでの優位性。
自動車強国を狙う戦略の全貌を明らかにする。
目次より
はじめに
第1章 自動車電動化は中国の国家戦略―なぜ電動化が欠かせないのか
高度経済成長で急伸した自動車保有台数
石油消費の急増で安全保障問題が顕在化
安全保障問題を解決する切り札として
電動化による排ガスでの大気汚染の根絶
2030年CO2排出ピークアウトに向けて
第2章 自動車「大国」から「強国」への道―NEVを突破口に優位を確立へ
「大国」から「強国」へ揺るぎのない宿願
国家戦略として研究開発を推進
日欧米の先端技術開発に危機感
高評価を得たFCV「超越1号」
NEV導入に大胆な財政支援
実験事業として利用促進に補助金
自立を見据えて購入時補助金を廃止
自動車税の免除を実施
あらゆる政策資源を総動員
取得税の全額免除を延長
NEV導入に先行して充電インフラを整備
地方自治体に充電整備を義務付け
北京市が「利用規模世界一」宣言
充電インフラ整備にきめ細かい支援措置
NEV規制とクレジット取引制度
行政命令よりも効率的な市場メカニズム
成功体験と経済学理論を参考に
市場をNEV生産に有利に設計
普及政策が経済回復にも寄与
「NEV下郷」で農村部に普及
テスラの販売台数を上回る
脱炭素化の至上命令を受けて
電気料金が最も安いときに充電
「NEVで家に戻る、都会を離れる、遠出できる」
中国規格の国際規格化を推進
BEVを戦略的中心に位置付け
2030年までのロードマップ
公共部門向けを完全電動化へ
第3章 電動化の先頭に躍り出る―中国が塗り替える自動車産業の勢力図
急加速するNEVの生産・販売
世界最大のNEV生産・販売・保有国に
BYD、上海汽車がトップメーカーに躍進
中国企業が車載用蓄電池で圧倒的存在
リチウムイオン電池の主要部材を握る
リチウム資源を重点的に探査・開発
使用済み電池から資源回収も
中国に集中するレアアースの生産・精錬・加工
中国に依存せざるを得ないNEVパワー半導体の核心鉱物
ゲルマニウムの脱中国依存も困難
第4章 なぜ「中国モデル」が世界を席巻するのか―中国製NEVが売れる理由
補助金と無関係に伸びる販売台数
NEV販売拡大の主要因は
内燃機関車に対する優位性を確立
税抜き出荷価格が3割高以下ならBEVが有利
高まるNEVの利便性
NEVクレジット目標が普及を後押し
なぜ海外で中国製が売れるのか
総合評価で高まる国際競争力
「中国モデル」の特徴と課題
第5章 NEVは中国を「自動車強国」にするか―世界規模の電動化の波に乗れば
今は圧倒的なトヨタ・VW・現代‐起亜
2025年に世界トップランナーへ
自動車強国の入り口に立った
「弱肉強食」を促す取引制度の改正
注目すべき制度改正のポイント
2024年は生死を決める正念場
NEV後発者は厳しい立場に
もはや夢物語ではなくなった
第6章 中国から何を学ぶべきか―NEVシフトという「自動車革命」
国家戦略と位置付けられるか
産業界とユーザーが利益を享受するシステム
二兎を追う者は一兎をも得ず
中国メーカーとの連携
市場の活用で捲土重来を
おわりに
著者紹介