【特集2】供給量と輸出量の拡大に注力 日本のリーダーシップに期待

2025年4月3日

バイオエタノール大国である米国は輸出拡大を推進中だ。
日本での本格導入による展望や期待について話を聞いた。

インタビュー:セス・マイヤー(米国農務省 首席エコノミスト)

―米国でのバイオエタノールの現状と取り組みについて教えてください。

マイヤー 米国はバイオエタノールの世界最大の生産国であり消費国です。ガソリンへのエタノール混合が義務化されていることで、農村地域のビジネスチャンスになっています。エタノール混合率は2024年に10.4%に達し、エタノールが15%含まれるE15ガソリンの通年販売も許可されました。CO2排出量の低減、生産効率のさらなる向上、供給量や輸出の拡大などを推進するため、米国の関係者は日々努力しています。

―世界のエネルギーを取り巻く環境において、バイオエタノールの果たす役割は。

マイヤー 温室効果ガス(GHG)排出の削減、化石燃料依存度の低減、エネルギー安全保障の促進、世界中の農村経済活性化などをもたらす重要な再生可能エネルギー源です。世界の輸送部門の脱炭素化において、農業が重要な役割を果たします。生産国また消費国にとってエネルギーの持続可能性を高め、エネルギーミックスの多様化に貢献できるウィンウィンの関係を構築し維持することができます。

―日本でバイオエタノールが普及すると、どのような効果がありますか。

マイヤー 低炭素社会実現への移行につながり、バイオ燃料インフラの需要創出が期待されます。その結果、アジアでバイオエタノール導入がさらに進む可能性もあります。GHG排出の削減において日本の環境目標達成にも貢献するでしょう。

―2月の日米首脳会談後の合同記者会見で石破茂首相からバイオエタノールについて言及したことをどう受けて止めていますか。

マイヤー 良い意味でのサプライズでした。両国政府のトップから米国産トウモロコシ由来のエタノールに対する支持表明がなされたことを大変喜ばしく思っています。米国のバイオ燃料を安定的に輸出することで、日本の消費者の皆さんにとって信頼に値するエネルギー源となることを期待しています。

―バイオエタノールの将来をどのように展望していますか。

マイヤー 将来の展望は非常に明るいです。バイオエタノールは、食糧と競合しないセルロース系エタノールやCCS(CO2の回収・貯留)技術などの発達で、さらにサステナブルに進化しています。低炭素燃料を求める世界のエネルギー転換戦略に重要な役割を果たし、日本の動向を注視するアジア諸国に、日本は強いリーダーシップを発揮できると思います。

せす・まいやー アイオワ州立大学で学士号と修士号、ミズーリ大学で農業経済学の博士号を取得。ミズーリ大学食糧農業政策研究所(FAPRI)の研究教授、副所長を歴任。