【特集2】エコキュート沸き上げを昼間にシフト 「直接上げDR」の実証実験を開始

2024年10月3日

再生可能エネルギーの普及に伴い、昼間の出力抑制が課題だ。
中国電力は需要家の電気式給湯機を自動制御する実証を始めた。

【中国電力】

再生可能エネルギーの導入量の増加に伴い、春・秋季の昼間を中心に電力の供給量が需要量を上回る状況が発生している。中国エリアは、太陽光と風力発電の接続量が700万kWに上り、全国で2番目に再エネの出力制御が多い。この低減を図る方策の一つとして注目を集めているのが、電気式のヒートポンプ給湯機「エコキュート」の沸き上げ時間を夜間から昼間にシフトさせる取り組みだ。

中国電力は、昼間に割安な料金メニューや節電アプリサービスを開始するなど、需要家の行動変容を促すサービスを展開してきた。ただ、需要の昼間へのシフトを確実に行うという点で課題があった。そこで6月から、需要家が所有するエコキュートを同社が自動制御し「直接上げDR(デマンドレスポンス)」を行う実証実験を、エネルギー関連サービスのインフォメティス(東京都港区)と共同で始めた。エコキュートを販売するダイキン工業やパナソニックの協力も得る。

エコキュートの昼間沸き上げのイメージ

需要家からモニター募集 AIによる最適制御などを検証

実験では、通信機能を備えるエコキュートを所有する需要家からモニターを募集。各家庭にはHEMS(ホーム・エネルギー マネジメント・システム)機器を設置し、太陽光発電やエコキュートの使用量などのデータを取得する。この情報や再エネ出力抑制の予測値などを基に遠隔制御でエコキュートの沸き上げ時間を夜間から昼間にシフトさせる。
実験では、二つのステップを踏む。基本制御では、エコキュートや太陽光のデータ取得、HEMSからエコキュートへの制御指示に加えて、タイムシフトで朝方の湯切れを発生させないことなどを確かめる。最適制御では、AIで最適な時間に沸き上げができるか、太陽光の自家消費率向上にどの程度寄与するか、サービスの収益性について検証などを行う。

販売事業本部コンシューマ第二グループの山田憲司マネージャーは「実証実験を通して、再エネを有効活用しながら、需要家と当社の双方にメリットがあるサービスの実現を目指す」と語る。昼間に沸き上げることで、入浴までの保温時間が短縮され、さらに省エネになることも考えられる。エコキュートの昼間活用はさらに進んでいきそうだ。