【コラム/10月4日】台湾有事は日本のエネルギー有事 化石燃料インフラの強化が急務

2024年10月4日

杉山大志/キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 

ウクライナの戦争では、互いのエネルギーインフラが攻撃対象になっている。台湾有事になれば日本も戦争に巻き込まれる可能性が高いが、その時は、日本のエネルギーインフラも攻撃対象になるだろう。どのようなことがありうるか。それを防ぐには、どうすればよいのか――。

まずウクライナの戦争の状況を見てみよう。

ウクライナのエネルギー設備はロシアによるミサイル・ドローン攻撃を受けている。IEAの報告書https://iea.blob.core.windows.net/assets/cec49dc2-7d04-442f-92aa-54c18e6f51d6/UkrainesEnergySecurityandtheComingWinter.pdfによると、2022年2月のロシアの侵攻以来、7割の発電能力が奪われた。

その一方で、ウクライナはロシアのエネルギー設備をドローンによって攻撃している。特に石油精製所が多く狙われ、ロシアのディーゼル燃料製造能力の2割が失われたと言われている。

この様子はSNS(ソーシャル・コミュニケーション・ツール)の動画に多数アップされている。元NHKの石川雅一氏は、これらのオープンソースから動画を収集し、YouTube上の動画チャンネル「石川雅一のシュタインバッハ大学」https://www.youtube.com/@steinbach-universityで公開している。

良心的なジャーナリストらしく、地図情報などと突き合わせて、プロパガンダ目的のフェイクではないことを確かめるなどしており、信頼のおける情報源だ。

動画は多数に上るが、最近の5件のリンクだけ以下に貼っておこう。

どれも動画はショッキングだが、ドローンが体当たりすると、ペイロード(爆弾の量)が小さくても、エネルギー設備は可燃物だらけなので大火災が発生することが分かる。

空中のドローンだけでなく、水上の無人艇も利用されている。ただしこれはまだエネルギー設備ではなく軍事目標に対するものだけのようだ。ウクライナは2022年10月以降、無人艇によってロシアの艦艇を攻撃し、黒海における海上優勢をロシア黒海艦隊から奪ってしまった。海上自衛隊OBの木村康張氏が詳しくまとめている。

黒海の戦況を変えたウクライナ無人艇の「威力」と「限界」 | 実業之日本フォーラム (j-n.co.jp)

この無人艇による自爆攻撃についても、前述の石川雅一氏が動画を公開している。娯楽用のモーターボートを改造して、通信や制御機能を付けたもののようだ。

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