【特集2】充放電用途が家庭から産業へ拡大 社会課題解決の切り札として有望視

2025年1月3日

電力を必要なタイミングで充放電する蓄電池の役割が増している。
用途別に最新の活用状況を整理し、普及拡大の可能性を探った。

【レポート】竹内大助(PwCコンサルティング合同会社エネルギー・素材事業部ディレクター)

蓄電池の普及拡大が本格化している。その背景にあるのが再生可能エネルギーの大量導入に伴う課題で、「季節や天候による出力の自然変動を原因とする系統接続の制限」「電圧や周波数の不安定化」「出力と電力需要のアンバランス」といった問題が指摘されている。これらの解決で重要な役割を担うのが必要なタイミングで電力を充放電する蓄電池で、用途別に導入状況や運用方法を整理した。

再エネ併設型蓄電池は、FIP(市場連動価格買い取り)を用いる太陽光発電(PV)に併設する形で導入が始まっている。この蓄電池は天候が良く日射量が多い時間帯に充電し、夕方など市場価格が高いタイミングで売電することで、再エネ売電の収益性を向上。需給調整市場に参加することで、さらなる収益性アップも期待される。

将来は、メガソーラーの卒FIT(固定価格買い取り)電源に蓄電池が併設されることも想定され、再エネ併設型蓄電池が拡大すると考えられる。
系統用蓄電池は長期脱炭素電源オークションや資源エネルギー庁などの補助金により導入が加速。卸電力取引市場などに参加して収益を上げることが基本だ。事業計画の策定時には、需給調整市場ガイドラインの価格規律に従い合理的な価格設定で入札することが求められる。

エネルギーリソースが市場統合した電力流通システム

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