【特集2】長期的視点での主張と問題提起 識見の高い編集姿勢を貫く

2025年5月3日

内田高史/日本ガス協会会長

このたび、「エネルギーフォーラム」が創刊70周年を迎えられましたことを、心からお祝い申し上げます。

貴誌は、70年の長きにわたり、総合エネルギー専門誌として、わが国のエネルギー産業の在り方について多面的に論じてこられました。長期的展望に立ち主張や問題提起を行う識見の高い編集姿勢を貫き、価値ある情報発信を継続されてきたことにより、今日までのエネルギー産業の健全な発展に多大なる貢献を果たされました。関係者の皆さまのたゆまぬご努力に深く敬意を表したいと存じます。

社会情勢に応じた燃料転換 産業・社会の発展に貢献

この70年を振り返りますと、わが国は社会構造の変革を繰り返し、成長・発展を遂げてきました。われわれ都市ガス業界も、都市ガス需要の急増、深刻化する公害問題、激甚化する自然災害などを背景に、当初原料としていた石炭・石油から熱量が高く大気汚染の少ない天然ガスへの転換という変革を進めてまいりました。

安全で安定した供給体制を構築するとともに、天然ガスの高度利用や省エネに資する技術を磨き商品を開発することを通じて、お客さまの暮らしやわが国の産業・社会の発展に貢献することができたと考えます。

本年2月には、「第7次エネルギー基本計画」が策定され、バランスのとれたS+3Eの実現を基本的視点に据えつつ、40年のNDC(温室効果ガス削減の国別目標)達成と50年のカーボンニュートラル社会実現を目指す方針が示されました。その中で天然ガスは、トランジション期だけではなくカーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源であり、脱炭素化された電源による電化と合わせて天然ガスへの燃料転換もカーボンニュートラル化の手段として位置づけられ、その重要性はこれまで以上に増すと考えます。

都市ガス業界では、まず足元の対策として、即効性があり確実なCO2削減につながる天然ガスへの燃料転換や高効率ガスシステムの導入促進などによりNDC達成に貢献するとともに、50年に向けては、社会コストを抑えたe―メタンへのシームレスな移行を中心に、多様な道筋でガスのカーボンニュートラル化の実現を目指す取り組みを、業界一丸となって加速してまいります。

貴誌には、こうした都市ガス業界の取り組みを広く社会に伝えていただくとともに、エネルギー産業を取り巻く情勢や課題について多角的に分析し卓越した提言を続けていただくことを期待したいと存じます。

最後に、「エネルギーフォーラム」の創刊70周年を機に、貴社のますますのご発展を心から祈念申し上げ、お祝いといたします。