【特集2】正面からエネ問題に向き合う 国民一人ひとりの理解を醸成

2025年5月3日

林 欣吾/電気事業連合会会長

このたび、エネルギーフォーラム社が本年5月をもって、創立70周年を迎えられたことに、心よりお慶び申し上げます。

これまで、貴誌はエネルギー産業のオピニオンリーダーとして、電力・ガス・石油をはじめとするエネルギー問題について、価値ある情報収集と深い分析に基づき、70年の長きにわたり、充実した報道を続けられてきたことに深く敬意を表します。

現在、わが国は国内投資が伸び悩み、世界における経済的地位も残念ながら後退しております。こうした状況を打破し、高い付加価値を生み出す産業構造を構築するためには、その基盤となる強靭なエネルギー供給の整備を、早期に実現していくことが必要です。

また、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、世界規模での資源争奪戦や燃料価格の高騰が起こり、エネルギーを取り巻く状況は一変しました。

資源に乏しいわが国において、エネルギーセキュリティーを確保しつつ、50年カーボンニュートラルを実現していくことが求められる中で、「S+3E」、すなわち、「エネルギーの安定供給」、「経済効率性」、「環境への適合」を同時に達成していくことが必要です。

50年は「すぐ先の未来」 実効性ある施策を速やかに

このような課題認識の下で、今年、「第7次エネルギー基本計画」が成立しました。安定供給が第一であることが示され、さらにエネルギー安全保障の概念が明確化されました。将来の脱炭素化も見据え、特定の電源や燃料に依存するのではなく、再生可能エネルギーと原子力を、共に最大限活用していく方向性が示された点は大変意義のあるものと考えております。

一方で、エネルギーインフラの更新に必要なリードタイムを考慮すると、50年は「すぐ先の未来」です。残された時間は極めて少ない状況にあり、今回の方針が実効あるものとなるよう、速やかに具体的な施策として落とし込んでいかなければなりません。

貴誌は、激変するエネルギーの問題に正面から向き合い、国民一人ひとりの理解醸成に向けて、長きにわたり取り組まれてこられました。これからの重要局面においても、国民の暮らしと産業を守るエネルギー政策の実現に向けて、貴誌の役割は、ますます重要さを増していくものと思います。

貴誌のさらなるご発展を祈念するとともに、大いなる期待を込めて、お祝いの言葉とさせていただきます。