【コラム/7月22日】2025年度第1四半期の制度設計の振り返りと今後の展望
加藤真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長
今年も、毎年の恒例行事のごとく夏の電力需給を気にする季節に突入した。猛暑かと思えば、線状降水帯が発生するような天候悪化や台風の発生など不安定な状況にあるが、現時点(7月18日)で電力需給ひっ迫や大きな災害、長時間停電に至ってはいない状況にある。
一方で、エネルギーに関する制度設計については、GX2040ビジョン、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画が閣議決定されてから4ヵ月ほど経ち、少しずつ具体的な検討が始まりつつある段階だ。 天気同様に不安定・不確実性が増す中で、まずは第1四半期(4月~6月)の動向を振り返り、その後で今後の展望について触れていきたい。
四半期での動きは相変わらず多い状況
毎年、四半期の区切りにおいて、顧客向けのレポートで国内の四半期制度動向を整理・配信しているが、改めて4月から6月の3ヵ月で検討・審議、実行された政策や制度は非常に多く、複雑怪奇さがより一層増していると感じる。
特に今年度については2月にGX2040ビジョン、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画が閣議決定された関係で、その内容を意識した議論が追加されている。昨年度は、ちょうどこの時期に各政策の議論に着手されたが、政策を作っても具現化されなければ意味がない。実現のためには、切れ目なく検討を続けなければいけない。
また、6月には通常国会が閉会された。当初予定していた法案のうち、太陽光パネルのリサイクルについては内閣法制局との法案調整がつかずに見送りとなったが、その他の施策については全て可決し、法律が公布された。具体的な制度設計は後述するが、足元・将来双方に関わる議論や審議や決定が順次、行われている。
入札や公募関連では、長期脱炭素電源オークションの第2回入札や非化石価値取引市場の24年度第4回入札の結果が公表された。前者では、容量ベースで新たに追加された既設原子力発電の安全対策投資が、件数ベースで活況している系統蓄電池が大宗を占めた。後者では、高度化法の義務達成に向けた年度最終入札であったことから、非FIT非化石証書の買い入札が多かったこと、さらに例外措置としてのFIT非化石証書による代替措置が行われた。また、公募では脱炭素先行地域の第6回募集の結果が公表され、7件が選定された。これで計88件となり、目標の100件まで残りわずかとなったことから、おそらく次回10月の公募で一旦、募集が終わるのではないかとの声もある。
