【特集2】高効率ボイラーと複数台制御が強み IT応用でエネ設備や工場全体を管理
【三浦工業】
高効率ボイラーとITを融合しトータルで省エネをサポートする三浦工業。他社機器も含めて工場全体を管理するサービスも手掛けている。
三浦工業は、低炭素、省エネ、コスト低減など顧客のニーズに応えるため、小型貫流ボイラーの開発・販売や工場プロセス全体をサポートするなどのサービスを展開している。
3月に販売を開始した「SQ-CS型」はボイラー効率99%、システム効率は100%を達成した。同製品はO2センサーを標準搭載し、排ガス中の酸素濃度を示す排ガスO2濃度を常時計測。燃料の熱量変動に対して自動調整する「O2トリミング制御」を行う。これにより、e―メタンなどのカーボンニュートラル燃料への転換時にも対応が可能だ。また、エコノマイザの構造を改良することで、燃焼ガスからの熱回収量が向上し、従来機よりも1%高い、ボイラー効率99%を達成した。

こうしたボイラー単体で性能に磨きをかけたのに加え、複数台で稼働するボイラーを効率的に運転してトータルで省エネを図る。ボイラーは設置台数や供給する水温など、運転条件によって効率が変化する。この中で、最も効率が良い「エコ運転ポイント」を見つけ出し、このポイントで優先的に運転してシステム全体での効率向上を図る。ボイラ技術ブロックの山本英貴ブロック長は「小型貫流ボイラーが普及し始めた1989年から注力してきた通信技術が生きている」と強調する。
この通信技術を応用し、事業所の省人化、環境負荷低減につながるサービスが「ミウラヒートコネクト」だ。同サービスではデジタルツインで、保守管理の省力化や設備の利用最適化を図る。具体的にはボイラーの蒸気で加温するほか、ヒートポンプで未利用の低温廃水や循環冷却水の廃熱を使って温水供給することなどができる。
工場設備やエネルギーを管理 自社のフィールドエンジニアが対応
今年4月には、工場全体をサポートする「まるごとメンテナンスサービス」を開始した。同社以外の製品もIoTで監視し、クラウド環境で工場の設備管理やエネルギー管理を行うほか、管理データに基づく設備の常時見守りから復旧に向けた対応などを提供する。「当社の予防保全のノウハウを生かし立ち上げた。当社が設備の一次受付を行い、全国に配置した約1200人のフィールドエンジニアが対応する。顧客は工場管理から解放され本業に集中できる」。山本ブロック長はこう説明する。同社ではハードとソフトの両面に注力し、顧客のニーズに高いレベルで応えていく構えだ。