【特集2】消費者に選ばれるエネルギーへ 省令改正への対応を推進

2025年9月3日

液石法の省令改正を契機に、LPガス業界が一丸となって対応に乗り出した。災害時のレジリエンス向上においても、一層の貢献が期待される。

LPガス業界は、2024年7月に施行された液化石油ガス法(液石法)の省令改正を受け、大きな転換期を迎えている。

この改正により、LPガス事業者に設備機器の無償貸与などを禁じる「過大な営業行為の制限」、料金体系や契約内容の明確な説明を義務付ける「料金などの情報提供義務」への対応が求められるようになった。今年4月には、料金を基本料金、従量料金、設備費用に分けて表示する「三部料金制の徹底」が義務付けられている。

業界自主ルールを改定 事業者の法令順守を推進

全国LPガス協会は、省令改正を業界全体の健全な発展と消費者から選ばれるエネルギーになるために必要不可欠と受け止め、取り組みを進めている。業界自主ルールの該当箇所を改定し、販売事業者による「取引の適正化・料金の透明化に向けた行動指針」を策定。ホームページに法令順守に向けた自主取組宣言を公表した販売事業者一覧を掲載している。このほか、不動産業界と連携し、賃貸住宅の入居希望者にガス料金に関する情報を事前提供する。

消費者に選ばれるエネルギーを目指す

これを受け、個々の事業者は、料金表示の明確化、設備料金に該当する費用の個別表示に取り組むなど、料金体系の透明性向上、消費者への情報提供強化に奮闘している。

今後も選ばれ続けるエネルギーになるためには、販売事業者のサービス向上も欠かせない。その一例として鳴門ガス(徳島県鳴門市)は、顧客視点に立った「即湯サービス」という独自の取り組みを展開している。

ガス給湯器が故障した時には、ガス販売事業者が給湯設備を交換して対応するのが一般的だ。だが、電気や灯油などの給湯器では、そのような対応は通常行われていない。同社はガス給湯器のみならず、オール電化のヒートポンプ給湯機(エコキュート)や灯油ボイラー、電気温水器の故障に対しても、すぐに仮の給湯器を設置しお湯を使えるようにするサービスを提供している。このような顧客との出会いを新たな販売チャンスにつなげている。

一方、災害大国日本には、防災・減災対策としてLPガスが不可欠だ。今回の特集では、富士瓦斯の発電機、I・T・Oの防災設備を例に、可搬性、備蓄性といったLPガスの優位性を災害時のライフライン確保に活用する取り組みを紹介する。