【特集2】ブローカー対策に手応え 消費者への注意喚起に注力

2025年9月3日

液石法の省令改正によって事業に影響はあるのか。液石WGの委員で、テーエス瓦斯の髙橋社長に聞いた。

インタビュー/髙橋宏昌テーエス瓦斯社長

―商慣行上の一番の問題は何でしょうか。

髙橋 切り替え業者(ブローカー)を通じた販売活動が問題だと思います。LPガス販売・利用の肝は保安ですが、その知識が乏しいブローカーによる切り替えで、結果的に消費者に不利益が及ばないことが肝要です。

―ブローカー対策に向けた取り組みは。

髙橋 地元タウン誌に消費者へ注意喚起を促すチラシを出しています。それから神奈川県LPガス協会として街宣車を用意し、「強引な営業、強引な訪問販売に気を付けてください」と呼びかけながらエリア内を回っています。数年ほど前から私の発案で始め、私自身も街宣車に乗って対策活動をしています。

近江商人の精神で地域の人を支える 過度な競争は事業者の衰退招く

―街宣車の効果はありますか。

髙橋 消費者の方にどこまで届いているかは不明です。ただブローカーが嫌がっていると感じていて、伊勢原エリアから離れているような気がしています。街宣車には他の販売店の方とペアで同乗します。当然、ライバル店にもなり得るのですが、同乗中の雑談で契約数の話などを聞くと自分の販売店も頑張ろうと刺激をもらっています。

―LPWA(省電力広域無線通信)の通信インフラが整備されたことで残量管理や配送の合理化が進んでいます。

髙橋 7割くらいのお客さまにLPWA式の管理システムを導入しています。検針を含め効率的に業務を遂行できるのは利点ですが、お客さまとの接点機会が減っています。

 そうした中で、私は近江商人の言葉「町々の行灯に」を心がけています。夜道を照らすことで暗がりの中の人たちの道しるべとして支える。直接的な利益にはなりませんが、過度に目先の利益を追うのではなく、お客さま、あるいは地域住人のために何か役立てることはないか。地域の活動や行事に協力することで地域に貢献したいです。

―制度面での要望は。

髙橋 熱中症対策など教育環境の改善にもつながる学校施設への空調整備の一環として、災害にも強いLPガス式のGHP導入を継続的に要望しています。それから人口密度の高いエリアは都市ガス、それ以外はLPガスといった住み分けが必要だと思います。もちろん、対都市ガス、対電化といった競争は否定しませんが、過度な競争を押し付けるような制度だといずれ地域のエネルギー供給の担い手が存続しなくなることが危惧されます。

たかはし・まさひろ 神奈川県伊勢原市を基盤に米穀類の販売も手掛ける。神奈川県LPガス協会会長や伊勢原市商工会会長を務めている。