余剰太陽光消費にEV充電を活用 料金割引で行動変容を全国実証

2025年9月6日

【エネゲート】

関西電力グループのエネゲートは、EV充電の料金設定で余剰太陽光の消費拡大を目指す実証を行い、EVによる上げDR(デマンドレスポンス)の可能性について一定の成果を示した。実証参加者の反応もおおむね好評で、持続的な取り組みに昇華させることが求められている。

同社は電力会社向けの製品製造や電力以外へのエネルギー管理システムの提供を担い、さらにEVの普及黎明期から充電ビジネスに参入している。

割引適用充電回数

実証は余剰が発生しやすい大型連休を含む4月26日~5月6日の午前8時~午後5時、全国約3000台の充電器を対象に実施した。10のエリアごとに太陽光の発電予測に応じて50%までの割引率を設定し、前日午後に通知。同社のEV充電サービス「エコQ電」ユーザーのうち約3500人が参加した。

同社によると、こうした実証の全国規模での実施は日本初。全国の送配電会社と情報共有しつつ、環境省が進める脱炭素に向けた国民運動「デコ活」の一環で実施した。


9割が「また参加したい」 量的インパクトに課題

発電予測が外れ、割引実施と出力抑制実績が合致しない日が北海道と東北でそれぞれ4日、中部で1日、関西で1日あったものの、それ以外はほぼ適切に料金設定できた。また、地域ごとの充電実績をみると、割引率の低い日より高い日の充電回数が多かった。

参加者にアンケートを取り、期間中に充電した人のうちキャンペーンを知っていた人は約70%、その中で割引時間帯に充電した人は約90%に上った。今後も同様のキャンペーンに参加するかとの問いには98%が「はい」と回答した。

ただ、例えば5月5日の出力抑制量は10社合計で1366万kWに対し、充電電力量は7423kW時。量的なインパクトとしてはわずかだった。

課題はやはり電動車ユーザーのすそ野を広げることだ。全EVユーザー(約60万人)が参加すれば上げDR量は約200倍に、普及率が足元の1%から20%になればさらにその20倍の効果が期待できる、と同社はみる。貝原一弘理事は「当社の費用の持ち出しはあるものの、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして継続すべきと考え、秋も実施を予定する。来年度以降はビジネスベースで継続できないか検討を重ねていく」としている。