【特集2】本格普及を見据え増産対応 ハイブリッド市場を主導

2025年10月3日

リンナイ

「脱炭素を目指す中で、ガスと電気を使ったハイブリッド給湯は家庭用のトランジション製品だと考えている」。15年近く前に業界に先駆けてハイブリッドの「エコワン」を販売し、この市場開拓を主導するリンナイ営業本部営業企画部の柴田毅次長はこう話す。同社は現在、2種の貯湯タンクを用意している。狭小住宅に対応する70ℓ型と、設置スペースに余裕のある160ℓ型だ。特に太陽光発電(PV)を搭載する新築の戸建てメーカーは、160ℓタイプを採用するケースが増えているそうだ。再エネの自家消費と相性の良いヒートポンプを使うメリットが大きいからだ。

加えて同社では、昨今のエネルギー情勢などを踏まえて機能面を拡充している。近年頻発する自然災害に備え「気象警報湯はり機能」を搭載。気象警報の発令時に、同社のアプリを通じて浴槽への湯はりをユーザーに勧める。浴槽と貯湯タンクへの自動貯湯を含めて十分な湯量を確保することで停電や断水事態に対応する。

天気予報から発電量予測 PV活用モードに切り替え

また、「PV活用モードへの自動切換え機能」ではPVの自家消費を促す。気象予測会社から提供される天気予報のデータを活用し、PVの発電量を予測。PV活用モードへと遠隔で自動切り換えする。PVによる前倒し沸き上げ制御で、通常よりも高い温度で貯湯して夜のお風呂需要に備える。逆に日射量の少ないタイミングでは、低温沸き上げ制御で電力消費を抑制する。

ガスと電気を最適に制御してお湯を生み出す一連の機能は現在、国策で推し進めているDRや再エネ大量導入に寄与する機能そのものである。

「ガスとヒートポンプのそれぞれの利点を生かした高い省エネ性やランニング費抑制の点で補助金も整備されており、市場は年々拡大している。今後はエネルギーや住宅業界が取り組むZEHに向けて欠かせない機器になる」(同)。ハイブリッドの本格普及を見据え、同社はすでに増産できる生産体制を整備しているそうだ。

市場に初めて登場したエコワン