新研究開発拠点が9月稼働 「CNリサーチハブ」の新たな目玉に
【大阪ガス】
大阪ガスは、大阪市酉島地区の「カーボンニュートラルリサーチハブ」に新たな研究開発拠点を設立した。カーボンニュートラル(CN)に向けた研究開発を集約し、情報発信や、オープンイノベーションなど社外との共創を強化し、同社独自技術の社会実装の加速を狙う。
新拠点は約2・7万㎡の敷地に建設した新研究棟「Daigas Innovation Center」と屋外フィールドからなる。新研究棟は、9月末に先端技術研究所の機能を移転し稼働を始める。600㎡超の大空間ラボや高耐薬性ラボなどを有する。これに先駆け、6月には、屋外フィールドにSOEC(固体酸化物形電解セル)方式でe―メタンを製造するSOECメタネーションのベンチスケール試験施設が竣工した。

研究面では、従前から取り組む①メタネーションなどのCN技術、②ガスインフラ保全や天然ガス高度利用など既存事業の高度化に資する技術、③シミュレーションやバイオ、新素材など独自技術を事業創造につなげる技術―の開発をさらに進展させる。
特にSOECメタネーションについては、ラボスケール(一般家庭2戸相当)からベンチスケール(同約200戸相当)へと拡大。2025~27年度はベンチスケール、28~30年度はパイロットスケールでの検証を予定する。SOECはサバティエ反応を大幅に上回るエネルギー変換効率が期待でき、同社は30年代後半~40年ごろの実用化を目指している。
空間設計にこだわり ZEBレディを取得
研究以外の施設の空間設計にもこだわりが。ワークエリアではオープンな議論、あるいは1~2人でアイデアを深めることに適した特徴的なスペースを配置。そして共創エリアには、多目的ホールや、社外との多様な交流に適したスペースを設けた。
環境性能も重視し、太陽光パネルやガスコージェネレーション、ジェネリンク、全熱交換器、クールチューブ、外皮断熱など多様な創・省エネ対策を導入。基準一次エネルギー消費量から50%以上の省エネを達成し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)レディを取得した。
9月2日の新研究棟竣工式で藤原正隆社長は、研究開発の歴史を振り返りつつ、「創業から120年を迎えるこの年に当社研究開発の聖地・酉島でDaigas Innovation Centerが新たにスタートすることは感慨深い。今後ともDaigasグループをけん引する研究開発拠点として、CNをはじめ中長期の研究開発に取り組み、未来の社会課題の解決に貢献できるよう進めてまいりたい」と強調した。