次世代エネルギーの受託分析を強化 水素・アンモニア実用化を促進

2025年10月6日

【JFEテクノリサーチ】

JFEテクノリサーチは、親会社であるJFEスチールの品質保証部門から独立する形で設立された分析・評価・解析・調査を行う受託会社だ。従業員約1400人のうち博士号取得者が約70人。材料・化学・機械の各分野で高い専門性を発揮している。2004年の設立時は鉄鋼製品の成分分析や強度試験が中心だったが、10年以降は他分野にも進出。近年、エネルギー分野では、水素・アンモニア関連やリチウムイオン、硫化物系全固体電池など最先端の研究をサポートしている。

次世代エネの液体アンモニアを試験できる

発電設備では、鉄鋼の知見を生かし、コンバインドサイクル発電のタービン・ブレードなどの重要機器の耐久性・余寿命の解析評価、高温・耐熱・雰囲気下での試験・評価などを長年手掛けてきた。瀬戸一洋社長は「高温耐久性能の向上によって、発電効率の向上に加え、発電所を長寿命化しリプレース時期の延長などにも貢献する」と語る。このほか、原子力発電のシビアアクシデントを想定した機器などの試験を請け負ってきた。


分析で実用レベルに引き上げ 材料挙動など適切に評価

次世代エネルギーでは水素・アンモニア関連の受託研究に注力する。電気と水から水素を製造する水分解装置は実用化に向けて開発が進んでいるが、依然課題が多い。「実用レベルまで引き上げるには、長期安定稼働など解決が必要な面がある」とのことだ。

今年7月には、福山地区(広島県福山市)に「液体アンモニア環境材料評価試験設備」を導入し、液体アンモニア環境下における評価試験サービスの受託を開始した。アンモニアは、燃焼時にCO2を排出せず、液化しやすく高いエネルギー密度を持つため、次世代のエネルギーキャリアとして火力発電所での混焼・専焼燃料、水素キャリアとしての輸送・貯蔵媒体、各種産業用プラントの熱源などの用途で利用拡大が見込まれている。

その半面、アンモニアは強い腐食性を有し、特に液体状態では鉄鋼、銅合金などの材料に対し、応力腐食割れのリスクが懸念される。「液体アンモニア環境下での材料の挙動を適切に評価する技術を確立した。ぜひ、エネルギー関連企業に試してもらいたい」と瀬戸社長。

50年カーボンニュートラル実現に向け、JFEテクノリサーチの「研究支援力」ニーズがより一層高まってきそうだ。