【特集2】オール電化マンションを強みに攻勢 CO2フリー化とエコキュート制御など提供

2025年10月3日

【関電不動産開発】

関電不動産開発は近畿地方で分譲マンショントップシェアを獲得する。
電力会社グループの強みを生かした商品企画で攻勢を強めている。

関西電力グループの関電不動産開発は分譲マンション「シエリア」シリーズを展開している。同シリーズは、全ての物件でオール電化を採用。2023年以降に計画した新規物件はZEH対応となっている。これまでZEH対応物件は、竣工済み20物件、施工中20物件、合計約5400戸を手掛けた実績を持つ。

同社はオール電化の付加価値として、①マンション全体でのCO2排出量の実質ゼロの実現、②エコキュートのデマンド制御、③EVスタンドの整備―に注力する。①実質CO2フリー電気はエネマネシステムを組み込み、市場価格より割安なCO2フリー電気を供給する。具体的には、関電が提供する再エネ由来の非化石証書の環境価値を付与したゼロカーボン電気を関電グループのNext Powerが調達し高圧一括受電方式で供給。マンション全体をCO2排出量実質ゼロにするほか、料金を抑えカーボンニュートラル(CN)に貢献する。

最新の「シエリアタワー中之島」では再エネ電気とエコキュート制御を採用した

エコキュートのデマンド制御 夜間ピークを昼間などに分散

②エコキュートのデマンド制御は夜間に集中する沸き上がり時間を昼間などに分散し、マンション全体のピークを低減する。これにより、高圧契約の基本料金を抑制し安価な電気を供給する。特にファミリー世帯向けの大規模マンションでは効果的だ。北矢努建築部長は「将来的には街単位で制御を行い、調整力としての応用も検討したい」と展望する。

③EVスタンドでは、ピークカット機能によりマンション全体の電力需要が低い時間帯にEV充電を行う。「シエリアシティ星田駅前イーストスクエア・ウエストスクエア」では駐車場306台に対し159台分と大規模にコンセントを設置した。同時使用時の電力負荷を抑え、フル充電可能な仕組みを整備した。「条件が適合した物件にこれらのサービスを積極的に導入していく」と北矢部長は話す。

同社は21年以降、近畿地方でファミリー向け分譲マンション(投資用除く)供給戸数1位を3年連続で獲得。首都圏でテレビCMを放映するなど、全国規模で攻勢を強める。オール電化の強みを生かした戦略はCN実現で一歩先を行き、存在感はさらに高まりそうだ。