【識者雑感/10月8日】高校生が考える将来の産業像を披露 IEEIが2回目の発表会

2025年10月8日

山本隆三/国際環境経済研究所副理事長・所長

NPO法人国際環境経済研究所(IEEI、小谷勝彦理事長)は、10月5日に福島市において「高校生が考える2040年から50年の産業界の姿」をテーマに、高校生による研究発表会を開催した。2月には福井県敦賀市において「高校生が考える2040年のエネルギー供給」をテーマに発表会を開催しており、今回は2回目の開催になる。

今回の発表会には福井学園福井南高校、静岡県立三島北高校、静岡県立焼津中央高校の3校が参加した。それぞれ研究対象の産業として、①福井南高校が自動車、②三島北高校が電力、③焼津中央高校がセメント――を選択した。産業界の関連する団体、日本自動車工業会、セメント協会、電気事業連合会に協力いただき、各高校において出前授業を実施するとともに、研究活動を支援いただいた。

3校それぞれが2050年の産業の姿を考え発表した

発表会では、福井南高校は、車の自動運転が行われている同県永平寺町での具体例を挙げ、「電気自動車を中心にした二酸化炭素を排出しない自動車が自動運転で運用される世界」の姿を描いた。

三島北高校は、「AI(人工知能)により電力需要が伸びる中での非炭素電源による電力供給の姿」を、学校内でのアンケートなどに触れながら説明し、浮体式原子力発電の可能性にも言及した内容を「AI(アイ)は地球を救う」として発表した。

焼津中央高校は、「セメント業界における二酸化炭素排出対策として自己治癒コンクリートによるライフサイクルを通しての削減案」を示し、技術の活用による輸出市場の獲得の可能性にも触れた。

産業界・高校生同士で熱心な質疑応答 女川原発も視察

各校のプレゼンテーション後には、産業界の参加者から多くの質問が出た。高校生からも他校のプレゼンテーションに関する質問が出され、熱心な質疑応答があった。

産業界からの参加者全員による投票の結果、最優秀賞には三島北高校、優秀賞に焼津中央高校、理事長賞に福井南高校が選ばれた。

発表会の前日4日には、参加者全員が宮城県女川町の震災遺構を見学した後、女川原子力発電所のPR館を訪問し原子力発電所の安全対策などについて学んだ。

女川の震災の語り部の方から説明を聞く参加者
女川原子力PRセンターでの様子