【特集2】小型風力発電が運転開始 再エネ開発の目標達成に注力

2025年11月3日

【広島ガス】

広島ガスは、今年4月に北海道で小型風力発電所の建設に着工し、9月末までに全8基の営業運転を開始した。  

 
8基の内訳は、道北地域(猿払村)2基、道央地域(石狩市厚田区、えりも町)4基、道南地域(江差町、松前町)2基で、発電規模は各19・2kW。8基合計の想定発電量は年間63万7000kW時となり、一般家庭約170世帯分の年間電力使用量に相当する。FIT(固定価格買い取り)制度を活用し、北海道電力ネットワークを通じて供給する。

            設置された風車(猿払村)


同社が小型風力発電事業に取り組むのは今回が初めて。経営企画部イノベーション推進室の嵯峨山巧主任は「風力発電事業の実施には、風況の良い立地であることが極めて重要と考え、設置場所の選定に力を入れた」と語る。


運転開始から間もないが「想定以上に風車が回っている」という。風力発電の仕組みやシステムの全体像を把握することや、住民説明会の実施など初めての経験で苦労もあった。それだけに、現地に足を運び、全8基の風車の完成を確認した時には「感無量だった」と振り返る。

電力小売りの販売地域拡大 電源のベストミックス探る

同社は30年度までに再生可能エネルギー電源取扱量6万kWを目標に掲げている。また、売上高に占める電力小売りや再エネの比率を、25年度の1%から27年度には4%と徐々に引き上げていくことで、長期的には電力を都市ガスやLPGに並ぶ主力事業に育てる計画だ。


電力小売りは、2月に販売開始した「このまち電気」の提供エリアを、当初の中国エリアに加えて9月には関東・東北エリアへ拡大した。今後も拡充を進め、30年度10万件の目標を目指していく考えだ。


来年度には同社単独では初となるバイオマス発電所の運転開始も控えている。小林清秀室長は「それぞれの再エネの強みを最大限に活用することを念頭に、電源開発を進めていく」と話す。ベストミックスを探りながら目標達成にまい進する構えだ。