【記者通信/1月28日】リプレース容認なのか? 見えぬ「中道」の原発政策
第51回衆議院選挙が1月27日、公示され、超短期決戦の選挙戦がスタートした。物価高対策が最大の焦点となっているが、各党の原発政策も関心を集めている。そんな中、中道改革連合の野田佳彦共同代表は26日、日本記者クラブ主催の党首討論会で原発の「新増設」を認めない方針を明らかにした。推進派からは「やっぱりか」「立憲のままだ」と落胆が広がったが、背後には原発建設を巡る「言葉のあや」がある。

立憲民主党は綱領で「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会」を掲げ、基本政策には「原子力発電所の新設・増設は行わず、すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定」を盛り込んでいた。
一方、中道の基本政策には相変わらず「将来的に原発へ依存しない社会」と明記されているが、新増設や建て替え(リプレース)には触れていない。合流前、公明党はリプレースを認めていたが、立憲内では認否を巡って議論が続いていた。
政府も新増設は認めていない
混同されやすいが、新増設とリプレースは同義ではない。新増設は原発を新たな地点に建てたり(新設)、1~6号機がある柏崎刈羽原発の7号機を建てたり(増設)することだ。かたやリプレースは、廃炉と引き換えに新しい炉をつくることを意味する。
政府が昨年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、「廃炉を決めた事業者の敷地内限定」で「リプレース」を容認した。例えば、九州電力なら玄海1、2号機が廃炉済みなので、新たに川内原発3号機の建設が可能になる。新増設ではなく、リプレースのみを認めたのは「国内原発の総基数を増やさない」と主張する公明党に配慮したからだ。
ここで中道の原子力政策に話を戻すが、討論会で記者は野田氏に「新増設」を認めるかどうかを問うた。新増設は、公明党はおろか政府ですら容認していないのだから、中道が認めるはずがない。
記者が問うべきは新増設ではなく、「リプレース」だったのではないか。公明党が容認している中で、旧立憲執行部は党内左派を抑えられたのかどうか……。野田氏は同じ討論会で、米軍普天間飛行場の辺野古移設について賛否を明らかにできなかったが、リプレースについても苦しい答弁を強いられたかもしれない。
いずれにせよ、中道が原発政策を巡って火種を抱えているのは確かだ。中道の松下玲子議員は21日、Xに「原発再稼働反対です。入った上で、中で頑張りたいと思います」と投稿した(後に「覚悟に欠ける投稿があった」として謝罪)。
心強い維新・国民の原子力政策
他党の公約はどうか。
自民党は「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置」を盛り込んだ。新増設でもリプレースでもない「設置」という言葉には妙がある。新地点で小型モジュール炉(SMR)の建設を推進しても公約違反とはならない。
連立を組む日本維新の会は「原子力規制委員会の審査の効率化」「早期再稼働」を掲げた。規制委に斬り込む姿勢や「早期」という一言が心強い。
国民民主は「安全確保を大前提とした上で、原子力発電所の再稼働・リプレース・新増設や核融合等で安価で安定的な電力確保とエネルギー自給率50%を実現」と新増設にも踏み込んだ。
参政党は「次世代型小型原発や核融合など新たな原子力活用技術の研究開発を推進」としたが、再稼働やリプレースについて具体的な記述はない。1月25日の福井県知事選では支援した石田嵩人氏が当選した。地方議員の数も増えており、政策の中身と実行力が問われる。


