【特集2家庭用エネルギー】エネゲートが再エネ余剰活用でEV向け割安料金
エネゲートが太陽光の余剰電力でEV充電を行う実証を行った。余剰発生時間の充電料金を割り引くことで、大きな成果を上げている。
関西電力グループのエネゲートはこのほど、太陽光の発電量が需要を上回った際に発生する余剰電力をEV充電に活用する実証を行った。期間は昨年10月11日~11月3日の土・日・祝日の全10日間。同社が運営するEV充電用認証・課金システム「エコQ電」に対応する約3000台の急速充電器を対象に、全国10エリアで実施した。
最大の特徴は、余剰電力が発生する時間帯にEV充電するようにユーザーを促す料金の仕組みにある。実証に参加するには、まずエコQ電アプリに登録。すると、休前日(金曜)の午後3時に、充電割引率がスマートフォンに通知される。割引率は、天気予報や電力各社が発表する「でんき予報」などを参考にエリアごとに設定され、各日午前8時~午後4時の時間帯に20~50%の割引が適用される。

実証を行ったところ、前年(24年)との比較で充電実績に変化があった。終日の充電回数は前年比で52%増加。割引時間帯では62%増となった。一方、充電電力量は終日で68%増、割引時間帯では84%増に伸びた。また、実証期間中に全エリアで割引のあった日の充電回数は、割引のなかった日に比べて95%増を記録。割引の有無が大きく影響していることが証明された。実際の充電金額にも効果が見られた。割引が適用された約2500件の全国平均は483円で、そのうち約1700件(69%)が500円以下の金額に収まった。
また、充電単価を見ると、約1400件(57%)のユーザーが1kW時当たり40円以下で充電を行っていた。貝原一弘理事によると、「30分の急速充電を行うと、概ね千数百円かかる。また、家庭の料金単価と比較すると、充電単価は同程度、もしくは下回る水準で充電できたことになる」という。EVユーザーにとっては、充電料金の負担軽減につながった。

地域特性を踏まえて予測 風力と原子力の稼働を考慮
同社は、昨年のゴールデンウィーク期間中に同様の実証を実施しており、今回が2回目となる。そのため、前回の結果から、地域特性を踏まえて余剰電力の予測を行った。例えば、天気予報から北海道・東北では「余剰が出ない」と予測した日に、余剰電力が発生した。その要因を探ったところ、同エリアでは風力発電の比率が高く、風力も余剰電力発生の有無に影響するとの仮説が立てられた。
原子力発電所の稼働状況にも左右される。原子力が稼働中の場合、ベース電力が確保できるために、余剰電力が発生しやすい。反対に、定期点検で稼働が停止すると、供給力が少なくなり、余剰電力が発生しにくくなる。そこで、前回、今回ともに全国の原子力の再稼働、定期点検のタイミングを確認し、予測精度の向上を図ってきた。
こうした全国規模での実証はこれまで例がないそうだ。実証で得られたデータからは、地域ごとの傾向なども詳細に分かる。そのため、国内外の自動車業界や新電力などから、各種データやエコQ電による決済システムに対する問い合わせが相次いだ。同社では、こうした企業へのデータ提供やシステムの貸与を行っており、「実証における割引額は当社が負担することとしていたが、結果的に今期は黒字になる見込みだ」(貝原理事)という。
今後、課題となるのがEVへの余剰電力の利用率をさらに上げていくことだ。今回の実証において、全エリアで割引を行った11月2日、太陽光出力制御量が276万kWだったのに対し、午前8時~午後4時の充電電力は約8000kW時にとどまった。また、約60万人とされているEV・PHVのユーザーに対して、今回の実証期間中に充電を行ったEVユーザーは約3800人。参加率はまだ低い状況だ。
60万のポテンシャル活用へ 余剰電力の吸収率に期待
だが、「60万」のポテンシャルは大きい。貝原理事は「参加率を上げていくことで、相当量の余剰電力を吸収できる」と期待を込める。実証後、充電を行ったユーザーへのアンケートでも、99%が「今後もキャンペーンがあれば参加したい」と回答。継続を望む声や「エコQ電対応の充電器を増やしてほしい」といった要望が寄せられた。
「現時点でやめてしまうのではなく、ユーザーに取り組みを広く周知し、参加率が増えるタイミングまで事業を継続していきたい」。貝原理事はこう意気込む。EV黎明期から充電ビジネスを担ってきた同社の今後の動きが注目される。



