【コラム/2月12日】2020年代後半のスタートをどう切っていくか

2026年2月12日

加藤真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長

早いもので、2026年もあっという間に1カ月が経ったが、国のエネルギーや環境に関する審議会の開催は、昨年12月に詰込み的に行った状況から一変して緩やかなスタートを切っている。もちろん、どれも重要な政策や制度であり濃度の高い議論となっている。

この4月から2026年度が始まるが、エネルギーや環境政策にとって激動のスタートとなった2020年代もいよいよ後半戦に突入する。これまで議論・整理されてきた施策がどのように展開されるのか、短期的には2030年までの目標に向かい、仕込みから実行へのフェーズに移すとともに、並行して2040年あるいは2050年という中長期に向かった新たな仕込みを始めなければならない。


仕込みから実行へ、そして成果へと繋げられるか

1年前の今頃は、GX2040ビジョン、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画及び次期NDC、電力システム改革検証の取りまとめと、今後の日本のエネルギー・環境政策にとって重要な議論の整理が行われたが、この中ではエネルギー安全保障、電力安定供給、カーボンニュートラル、そして産業発展を同時に実現するというグリーン・トランスフォーメーション(GX)の考えが前面に押し出されている。かつての高度経済成長を彷彿とさせるような政策にまで発展させることができるか、国際情勢もしっかりと見ながら、“実”のある政策に育て上げていくことが求められる。

日本のエネルギー政策は外生的要因に影響を受けて、政策や制度設計が行われ、それを機に新しい事業が生まれては消えるといった歴史を繰り返してきた。電気事業やガス事業が興されてから140年あまり、戦後の9電力体制ができてから75年、第一次石油危機から50年超、第一次規制改革(発電部門の自由化)から30年超、東日本大震災から15年、電力小売全面自由化から10年、送配電の法的分離から5年超、と規制が緩和または強化されることもあれば、新たな事業が創出されては消えていくあるいは変わっていくという局面を経験してきた日本にとって、次の10年、20年、30年をどうしていくのか(どうしたいのか)、GXが一つ、「きっかけ」になるかもしれない。

一方、足元を見れば、既に仕込みをしている政策や制度があるわけで、それらをいつまでも計画(夢)のまま留めていてはいけない。

第6次エネルギー基本計画までは2030年という中間ゴールを設定していたわけだが、2050年までの長距離走の序盤から中盤に差し掛かるタイミングまでに一定程度の成果を出しておかなければ、中盤以降の流れにつなげることができなくなる。そのためには、「スピード」と「柔軟性」という視点を持った対応が必要だろう。「スピード」という点では、グリーンイノベーション基金を活用した技術開発の実証・実装段階への早期移行や、安全性が確認された原子力発電所の再稼働の推進、次世代革新炉の技術ロードマップの策定・公表、再エネ主力電源化(自立化)に向けた規制と支援の強化、脱炭素先行地域での各施策の実行開始等が挙げられる。「柔軟性」という点では、各制度の定期的なフォローアップによる点検と最適な方向への見直し、GXや脱炭素で計画した施策の見極め(必要に応じて取り止め)といったことが挙げられる。

中長期的な視点で言えば、昨年、閣議決定されたGX2040ビジョンや第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画では、新たに2040年というターゲットが提示された。日本にとって1つのゴールは2050年カーボンニュートラル実現であり、そこは不変と捉える必要があるだろう。一方で、国内外の情勢が常に変わるという不確実な世の中を前提に動く必要がある。そのため、ゴールは変えず、そこにいくまでの道筋は柔軟に見直して歩を進めるといった“one goal,various pathways”の考えを具現化していくことが重要となるため、国も自治体も企業も、そうした柔軟性をもちながら計画を策定し、準備をしていかなければならない。

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