【特集2 ライフライン強靭化】関西電力送配電が離島の配電設備を遠隔点検 ドローン導入で保守を効率化
兵庫県姫路市の沖合約18㎞、瀬戸内海に浮かぶ家島諸島―。大小40余りの島々に約4000人が暮らすが、島への移動手段は船に限られる。関西電力送配電は6月、この離島を舞台に、ドローンによる配電設備の遠隔点検実証を実施した。離島にドローンポートを設置し、目視外で自動飛行しての点検は全国初の試みだ。
家島諸島の設備保守は、同社姫路配電営業所が直営で担当している。現地に常駐する社員はおらず、平時の巡視・点検や停電時の対応では、その都度本土から出向する。本土から島まではフェリーで約40分。島内は基本的に徒歩での移動となり、急傾斜地や車両が入れない箇所も多く、作業は一日がかりだ。現場の状況を確認してから資機材を準備するケースもあり、復旧対応に時間を要することもあるという。
同社は2017年にドローン空撮を業務に導入し、災害時の被害状況の把握や高所・立ち入りが困難な箇所の点検に活用してきた。24年7月には専任チームも発足させた。ただ、ドローンの飛行は機体を直接目視できる範囲に限られ、活用領域拡大の壁となっていた。

新制度で目視外飛行可能に 実証で適用範囲を拡大
転機となったのが、23年12月に新設された「レベル3・5飛行」制度だ。これにより、有資格の操縦者が機上カメラで歩行者がいないことを確認すれば、立入管理措置なしで目視外飛行が可能となった。同社は送電線の丸山幹線で実証を行い、申請手続きや運用方法を確認し、今回の離島実証に臨んだ。
実証では、米スカイディオ社のドローンポート「Dock」を家島諸島の西島に設置。姫路配電営業所から海を越えて遠隔で指示を出し、目視外自動飛行により、約17㎞にわたって島内設備を空撮した。スカイディオが飛行許可申請と操縦、KDDIスマートドローンが通信の技術支援を担い、関電送配電は空撮画像をもとに業務への適用性を評価。離島での電波レベルや空撮精度、航続距離、リアルタイムでの画像連携、故障対応の即応性などを検証した。
この結果、従来は本土から島への移動に約1時間、島内の徒歩移動に約2時間、帰路に約1時間を要していたところ、遠隔点検により1回当たり約4時間の移動時間を削減できる可能性を確認した。また、台風や豪雨といった災害時にも、被害状況を上空から俯瞰することで迅速に把握でき、早期復旧や作業リスクの低減につながることも分かった。一方、本格運用に向けては、リアルタイム画像の安定確保に向けた通信手段の改善が課題として残った。「保守時間の削減などの結果を得られ、現状の通信環境なども把握できた」。工務部の西島慎二リーダーは実証の成果をこう説明する。
同社は一連の成果を踏まえ、今年6月には滋賀・兵庫県内の一部送電線路で、従来の点検の一部をレベル3・5飛行に置き換える取り組みを開始した。将来的には離島に限らず、全ての設備点検業務へのドローン適用を目指す構えだ。


