【記者通信】中部電の安井新社長が会見「解体的再構築を経営の最優先課題に」

2026年10月15日

10月1日付で中部電力の社長に就任した安井稔氏は8日に記者会見を行い、浜岡原子力発電所を巡る不適切事案について、「その根底には、コンプライアンスと安全を何よりも優先する姿勢、そして異論や懸念を率直に言い合える風土が、当社に根付いていなかったことなどがあり、これは経営の責任であると強く認識している」との見解を示した上で、「何よりもお客さまや地域、社会の皆さまをはじめとする多くのステークホルダーの皆さまからの信頼を取り戻す」ため、「解体的再構築を経営の最優先課題とし、意識・行動の変革、組織風土の改革、ガバナンス・けん制機能の変革・強化を、これまでの反省を踏まえ全社を挙げて進めていく」意向を表明した。また会見では、9月30日付で辞任した水野明久相談役、勝野哲会長、林欣吾社長以外の役職員の処分についても言及し、現在社内規定に基づき調査を進めているとした。

ステークホルダーの信頼回復に最優先で取り組むことを会見で強調した安井社長

組織風土改革推進部長にHRBP経験豊富な横田氏を登用

安井氏によると、再発防止策としては、まず10月に社長直轄の組織風土改革推進部を設置し、専任者を中核に、各部門の人財も参画する全社横断的な推進体制を構築する。現在、太田卓志・執行役員経営戦略本部部長が組織風土改革推進部長を兼務しているが、11月1日付で横田大・組織風土改革推進部部長が後任に就く。横田氏はコカ・コーラやカインズでHRBP(事業戦略・計画の実現に必要な人財の獲得、育成、配置などを計画・実行する事業部門のパートナー)としての豊富な経験があり、10月に中部電に入社した。また、原子力部門では、重要リスク、コンプライアンス、意思決定、調達などを横断的に把握し、本部長らの適切な判断を支援するため、10月から原子力ガバナンス推進部を立ち上げた。

問題となった内部通報の取り扱いに関しては、執行側から独立した監査等委員会への内部通報窓口を10月に新設、運用を始めた。内部通報の調査・対応プロセスに、外部弁護士の客観的な視点を入れる取り組みについても、10月中には運用を始める予定だ。

調査委員会からの提言を踏まえた追加対策については、現在検討を進めており、例えば組織風土改革では、社外の人間が評価する委員会など外部の視点を入れる仕組みを今年中に設け、改革の成果と実効性について定期的に評価を受けるとともに、委員会が評価結果を取締役会に提言するなど、外部の視点でけん制する仕組みの継続的な改善を図っていく。また、人事制度や人事運用に関して、原子力部門と、専門技術系部門である再生可能エネルギーカンパニー、中部電力パワーグリッドのHRBPとして外部人材を配置し、外部の視点を取り入れていく。

「失われた信頼を取り戻すことに近道はないと考えており、信頼回復に向けた取り組みを行動と結果で示すほかない。こうした取り組みを一つひとつ積み重ね、より大きな社会的使命を果たすことで、中部電力は変ったと認めていただけるよう、私自身、中部電力グループの先頭に立ち、やり遂げていく」(安井氏)