【特集2 ガス転換の潜在力】設備更新で作業効率化を実現するニチガス 安定調達やBCP対策も支援

2026年11月3日

 LPガス小売りを軸に電力や都市ガスなどの総合エネルギー事業を幅広く展開するニチガス。家庭用エネルギーを中心とした営業力に加え、大口・業務用需要家へのエネルギー提案・機器販売でも豊富な供給実績がある。2025年には、業務用担当部署の知見とリソースを結集・統括する組織体制として、「産業用営業部」を新設。ユーザーのニーズを掘り起こし、LPガス、都市ガス、電力への燃料転換を含めた産業用エネルギーの最適化提案に注力している。
「中東情勢の悪化に伴うエネルギー調達リスクを背景に、供給安定性や事業継続計画(BCP)などの観点から、使用する燃料を見直す機運が高まってきた」と話すのは、産業用営業部の冨楽直登課長。今年5月にLPガスへ燃転した千葉県内の洋菓子工場もそうした一例だ。従来は計5・5tの重油ボイラーを使用していたが、設備の老朽化や製造ラインの改変、ボイラー技士の人材確保のタイミングが重なり、設備更新を検討していた。
 ガスボイラーは、メンテナンスが比較的容易である上、重油ボイラーで不可欠だった立ち上げ時1~2時間の空だきも不要になる。さらに、生産規模に見合った機器への更新で、作業全体の効率化を図ることができるという。こうした利点を踏まえて検討を進める中で中東危機が起き、LPガスボイラーへの切り替えが加速した。
 一方、ナフサ不足が取り沙汰され、肝心の機器の調達も滞り始めていた。冨楽氏は「当社の強みはフットワークの軽さ。今回も複数のルートで取引先に打診し、機器をいち早く確保するなどの手配を急ぎ、4カ月弱で工事を終え、燃転に至った」と振り返る。同工場には、年間90t程度のLPガスを供給予定で、この提案を契機に敷地内の従業員寮の電力供給を請け負うことも決まったそうだ。
 冨楽氏は「CO2対策が目的だった燃転の流れは一巡した。BCP対策やエネルギーの安定調達の視点に加え、お客さま側からは新たな付加価値が求められている。とりわけ製造業などの現場では、人手不足も深刻な課題。燃転によって設備関連の作業効率化に期待する声も多く聞かれるようになった」と話す。

LPガスへの燃転事例を重ねている

庁舎の空調をGHPに転換 保守・遠隔監視にも対応

 ニーズに合わせたユニークな転換事例もある。千葉県内のある自治体では、庁舎の空調設備を電気式の空冷チラーからガスヒートポンプ(GHP)に切り替えた。豪雨災害などの影響で停電が頻発していることを受け、庁舎が避難所となるケースを想定して提案。停電対応型のGHP4台の導入が決定したという。
 別の自治体では、老朽設備の更新に合わせ、保守点検や遠隔監視といったオプションを組み合わせたGHPの長期エネルギーサービスを開始した事例も。ニチガスは、燃転にとどまらず、さまざまなソリューションの提供にも意欲的に取り組んでいる。