【特集2】脱炭素化へ克服すべき課題 第一人者から「六つの提言」

2021年8月2日

カーボンニュートラル実現には、高いハードルが横たわっている。かつてない困難に挑む電力業界に、専門家6人が克服策を提言する。

カーボンニュートラルに向けては、供給側、需要側ともに高いハードルを越えなければならない

電気事業連合会は5月21日、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、積極的に挑戦していく方針を明らかにした。S(安全性)+3E(エネルギーの安定供給、経済効率性、環境への適合)の同時達成を前提にして、これまでの経験で得てきた技術、知恵を結集して挑んでいくとしている。

カーボンニュートラルを実現するには、多くの高いハードルを乗り越えなければならない。電事連も、その実現には「非常にチャレンジングな目標であり、多くの課題や不確実性が存在し、技術革新を創造するイノベーションが不可欠」と認識している。

力を入れるのはエネルギーの供給側における「電源の脱炭素化」と需要側における最大限の「電化の推進」の取り組みである。

エネルギー供給側では、エネルギー資源や再生可能エネルギーの適地が乏しい日本の国情やレジリエンスの観点も踏まえ、「特定の電源に過度に依存することなく、バランスの取れた電源構成を追求すること」を重視。再エネ主力電源化に向けた電源開発、安全を大前提とした原子力発電の最大限の活用とリプレース・新増設、水素・アンモニアなどによる火力発電の脱炭素化の技術開発・実証・導入と将来の商用化―。これらに積極的に取り組んでいく。

需要側では、エネルギー効率利用とあらゆる分野での最大限の電化推進に加え、水素などの脱炭素エネルギーの供給と利用の促進に注力する。また、技術的に電化が困難な分野での新たな電気エネルギーの活用方法として、水電解装置による水素供給と水素の利用促進を目指し、社会実装に向けた取り組みを進めていく。

50年カーボンニュートラルの実現という高いハードルに直面する電力業界。その挑戦に期待する各分野の第一人者6人が、提言でエールを送る。

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