【特集3】中間貯蔵と再処理施設を行く サイクル政策の推進に再び脚光


リサイクル燃料貯蔵(RFS)

使用済み燃料の中間貯蔵施設、リサイクル燃料貯蔵(青森県むつ市)が事業を開始した。また日本原燃(同六ヶ所村)の再処理施設は2026年度中の完工を目指す。2施設を取材した。

リサイクル燃料貯蔵(RFS)は東京電力ホールディングス(HD)が80%、日本原子力発電が20%出資し、両社の使用済み燃料を保管する。原子力発電所敷地外で使用済み燃料を保管する日本初の施設となる。

日本の原子力発電では、使用済み燃料は発電所内の貯蔵プールや敷地内施設の金属キャスク(容器)で保管されてきた。しかしその保管可能な量には限界がある。東電HDと日本原電は原子力発電を今後運用する際に、中間貯蔵施設によって使用済み燃料の保管場所に余裕ができたことになる。

閉鎖への秒読み開始 電源使わず自然冷却

RFSは東電HDの柏崎刈羽原子力発電所から搬入された金属キャスク1基について、原子力規制委員会から使用前確認証の交付を昨年11月に受け、事業を開始した。RFSは地元との協定で「事業開始から最長50年で1棟目に保管する金属キャスクを全て搬出」することが決まっている。1棟目閉鎖へのカウントダウンはすでに始まったのだ。これらの燃料は建設中である日本原燃の再処理工場に搬出される見込みだ。

保管施設を見て感じた印象は、安全対策への深い配慮だ。RFSでは、地震や津波などの災害対策も施された分厚い鉄筋コンクリート製の堅牢な建物でキャスクを守る。厳重な警備体制も敷かれている。ここに国の許可ではウラン(U)3000t分の貯蔵が可能だ。キャスクに換算すれば、288基程度が設置できる。横の敷地には2棟目(2000t・U分)の建設も予定されている。

金属キャスクは微かに熱を持つ。そこで温められた空気が上昇する性質を利用し、その温度差を使った空気の自然対流で、施設内に風が流れ続け、冷却が行われる仕組みだ。このため冷却に電気は必要なく電源喪失による事故が起きることはない。

金属キャスクは輸送と貯蔵の兼用で、発電所で使用済み燃料を封入してから運ばれる。高さ約5・2〜5・5m、直径約2・4〜2・6mの巨大な容器だ。放射性物質の閉じ込め、放射線の遮蔽、臨界の防止、除熱の四つを行う機能が備わり、その構造は堅牢で落下、火災、水没にも耐えられる。さまざまな配慮と準備から、この施設での安全性の高さが確認できた。

貯蔵施設内の広大な空間

柏崎刈羽から運び込まれた1基目の金属キャスク

受入れ区域から貯蔵区域に通じる巨大な扉

役立つ技術・経験 新たな動きの可能性も

全国の原子力発電所で、施設内での使用済み燃料の保管量が限界に近づきつつある場所がある。RSFでの安全な運営の実績、技術や経験の蓄積は、中国、関西両電力が山口・上関で検討中の中間貯蔵施設の建設計画などに役立つのは確実だ。

他社からの使用済み燃料の受け入れについて、RFSは「出資2社の燃料を受け入れるのが当社の業務」(広報)との立場だ。とはいえ事業開始を契機に自治体の理解が進めば、新しい動きが出てくる可能性もある。RFSを活用すれば、原子力発電所のより柔軟な運用が可能になるはずだ。

RFSは、透明性の高い運営を約束し、地域住民との交流や説明会などを念入りに行っている。2000年の建設計画スタート当初からさまざまな意見はあったものの、激しい反対運動はほとんどなく、地元との信頼関係はしっかり構築されている様子だ。

RFSの一杉義美地域交流部長は、「住民の皆さまのご理解、ご指導の下で、安全に保管実績を重ね、原子力発電、原子燃料サイクルを支えていくように、社員一丸となって頑張ります」と抱負を語った。

リサイクル燃料貯蔵センターのイメージ図(提供:RFS)

金属キャスクの構造図(提供:RFS)

RFS施設内にある貯蔵建屋の外観(提供:RFS)

【特集3】再処理施設建設が佳境に 26年度中の竣工目指す


日本原燃

RFSの後、日本原燃の使用済み燃料再処理施設を取材した。中核となる再処理工場は26年度中、翌27年度中にはMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場が竣工する予定だ。

日本は原子燃料サイクル政策を国として選択し、使用済み燃料を再処理して利用する計画を立てている。そして使用済み燃料の中に含まれるウランやプルトニウムといった放射性物質を厳格に管理することを国際公約にしている。再処理工場は、使用済み燃料からプルトニウムを抽出し、プルサーマル発電向けのMOX燃料に加工するという重要な役割を担う。これによって、プルトニウムは消費される。日本原燃はその政策を形にする重要な事業者だ。

再処理工場は、1993年に着工したが、現在まで竣工が27回延期された。直近の延期の理由は、2011年の福島第一原発事故の後で規制体系が一新されたためだ。それに基づく再処理施設でのルールづくりや工事に時間がかかった。日本原燃は昨年8月、目標の見直しを発表した。

同社は、目標通りの竣工を目指し努力を続けている。大手電力各社に応援を頼んで規制対応の助力を受けている。各設備の主要担当者を体育館に集め、一緒に執務させて部門間の連絡を密にするなどの取り組みを行っている。「現時点で審査は順調に進んでおり、達成できる見通しだ」(日本原燃広報)

六ヶ所原燃PRセンターから望む再処理工場
日本原燃本社の外観

ウラン、プルトニウムなどを分離する機械の模型

原子燃料の原寸大の模型

「化学工場」の集合施設 安全対策は一層強化へ

今回の取材で印象に残ったのは、再処理工場は「化学工場」の集合体ということだ。核分裂反応を引き起こして発電する原子力発電所とは全く構造が違う。再処理工場は国内では現在運営されておらず、世界でも現時点では商業炉向けには、フランスのラ・アーグ工場でしか運営されていない。規制のルール、安全対策、設備を建設することは、前例がなく、大変な作業だと理解できた。

また再処理工場では、安全性を一層強化するための工事が行われていた。竜巻対策として、冷却塔などの重要施設を頑丈な鋼鉄製の防護ネットや防護板で覆った。外部火災対策としては、地上にある薬品貯槽を地下に移設した。このほか二次災害に備え、自家発電設備、消防車、重機などを配備している。

災害対策の訓練も進んでいる。一例として火災対策がある。同社は行政の消防・防災に加え、自社で消防班を作り、迅速な消火活動を行えるようにした。取材当日、消防班による放水訓練が行われていた。重装備をつけた男性社員たちが、短時間で消防車を配置し、給水・放水を実施。安全性が設備だけではなく、社員の努力によっても高められているのだ。

原子力なければ青森衰退 福島事故後の停滞脱却

下北半島を中心に、青森県には原子力施設が集中しているが、県民の大半は、原子力を受け入れているとみられる。「原子力がなければ、下北半島の衰退は大変なことになっていた」。取材中、むつ市民からこんな意見を聞いた。日本原燃の事業開始以降、地元企業に発注された額は1兆円を上回る。こうした県民の支援を背景に、原子燃料サイクルの本格始動への準備が着々と行われている。

今年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画を見ると、六ヶ所再処理工場の竣工については「必ずなし遂げるべき重要課題」と明記されている。福島事故後の停滞の流れが変わり、日本のために原子燃料サイクルの推進が再び脚光を浴びようとしている。

専用容器で搬入される使用済み燃料(提供:日本原燃)
社内消防班の消防車を使った訓練
各ふたの下に保管される高レベル放射性廃棄物

【特集3】国が前面に立ちプロセス加速へ 官民一体で新たな体制を確立


インタビュー/久米 孝(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)

バックエンドのプロセス加速に向け政府は前面に立つ意向だ。具体的にどう実行するか、エネ庁電力・ガス事業部長に聞いた。

―第7次エネルギー基本計画には「再処理工場・MOX燃料工場の竣工に向け官民一体で責任を持つ」「国も使用済み燃料対策について事業者とともに前面に立つ」といった記述があります。どう実施していきますか。

久米 エネ基でも、核燃料サイクルの中核となる六ヶ所再処理工場とMOX燃料工場の竣工は必ず成し遂げるべき重要課題だと明記しました。日本原燃を中心に取り組む中、たびたび竣工が遅れ、関係者の心配を招いているという現状を真摯に受け止めており、官民一体で課題解決を目指します。例えば、昨夏、再処理工場完成の27回目の延期発表を機に、経産省も新規制基準の審査状況に目配りするよう、進め方を見直しました。以前はプロセスの公表がないまま、遅延の決定のみが発表されてきましたが、審査が着実に進んでいるという材料を関係者や国民にきちんと示す必要があります。こうした問題意識の下、現在は原子力規制庁と日本原燃との間で、今後の論点や進め方に関する共通認識を全体計画として共有。この全体計画に基づく進捗状況は、日本原燃から経産省にも報告されており、プロセスでずれが生じた段階から理由を含めオープンにし、われわれもフォローしやすい形になりました。以前より日本原燃の対応が評価されていると受け止めています。

 また、4月に開いた使用済燃料対策推進協議会では、事業者に取り組んでほしい事項を要請。さらにエネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課長と、日本原燃、電力各社の担当副社長が参加する幹事会など、さまざまなレベルで情報を共有し、電気事業連合会や各社が必要な支援を行うこととしています。

 このように、バックエンドの各分野で国が前面に立つ考えです。サイクル全体が輪となるように、一歩ずつ対応を進めていきます。

―法改正が必要となる可能性は?

久米 エネ基の内容を受け、原子力政策の課題を整理、具体化する議論を早急に進めることが求められており、その中で必要なアクションを検討していきます。

―米大統領が5月23日に署名した大統領令では、国内燃料サイクルの強化に向けた言及がありました。

久米 米国は元々サイクルを行っておらず、これをもって日本の政策に直ちに影響を与えることは考えにくいでしょう。一方、安全で確実かつ持続可能な長期的燃料サイクルといった記述があり、これは燃料の安定調達に向け同盟国と連携するという前政権の方針とも通じます。今後の動向を注視しています。

くめ・たかし 東京大学法学部卒。同大学院法学政治学研究科修士課程修了。ハーバード・ロースクールLL. M.取得。1994年通商産業省入省。2023年7月から現職。

【特集3】再処理の実現に向け正念場 国は消費地の理解促進に全力


青森県選出の国会議員として、原子力政策と向き合ってきた。エネルギー政策の大局観と国の本気度が重要だと指摘する。

インタビュー/江渡聡徳(自民党衆議院議員)

―日本原燃は六ヶ所再処理工場について2026年度中の竣工を目指しています。

江渡 まさに正念場といえます。最大のポイントはガラス固化です。原子力規制委員会の審査に合格しても、東日本大震災前のアクティブ試験のように再びガラス固化で不具合が生じると、県民には「またか……」という落胆が広がるでしょう。日本原燃はフランスの技術を用いていますが、ガラス溶融炉の大きさは同国の約4倍で、温度管理が課題です。炉全体の熱バランスを適切に保てなければ、ガラスの溶融状態が不安定になり、品質に影響を与えかねません。経済的な理由から今の大きさになったのだと思いますが、あらゆる知見を活用し、ガラス固化を実現するために徹底した取り組みが必要です。

―ほかに注視していることはありますか。

江渡 最も重要なのは、最終処分場の選定です。フランスやイギリスから返還された高レベル放射性廃棄物が、六ヶ所村の一次貯蔵施設に最初に運び込まれてから30年が経過しました。青森県と六ヶ所村、日本原燃は貯蔵期間を30年から50年とする協定を結んでいます。「青森県を最終処分地にしない」という約束を守るために残された時間は20年しかありません。昨年、北海道の寿都町と神恵内村で文献調査が終了し、佐賀県玄海町では同調査が始まりました。処分地選定に向けたステップの前進を大いに期待します。

―昨年11月には、むつ中間貯蔵施設が操業を開始しました。

江渡 建設前の状況を思い出します。むつ市は財政難に苦しんでいました。安定財源を求める中で、当時の杉山粛市長と話し合い、建設に向けて動き出したのです。同市には原子力船「むつ」の使用済み燃料を保管していた実績があったのも大きかった。東日本大震災などもあり、搬入までには時間を要しましたが、安定操業を続けてもらいたいです。

―核燃料サイクル実現に向けて、国に求めることはありますか。

江渡 資源が限られた日本でエネルギーの安定供給を実現するには、原子力の活用が不可欠です。いずれ水素社会が到来するかもしれませんが、安価に水素を作るには原子力が必要です。エネルギー政策は、こうした大局的な視点から取り組まなければなりません。また消費地の理解促進には、これまで以上に本気で取り組んでもらいたい。原発、再処理工場、中間貯蔵施設、将来的には最終処分場を受け入れた自治体があってこそ、安定供給は実現するのですから。

えと・あきのり 1955年青森県生まれ、日本大学法学部法卒業。96年衆議院議員総選挙で初当選(青森2区)。防衛大臣などを歴任。当選9回。

【特集3】国力の強靭化に不可欠 安全性を最優先した取り組みを


再処理工場完工へ、新規制基準の審査が大詰めを迎えている。各施設を抱える青森県としての要望を宮下宗一郎知事に聞いた。

インタビュー/宮下 宗一郎(青森県知事)

―六ケ所再処理工場の審査が大詰めです。

宮下 まず、これまでと異なり、私自身も大詰めと考えています。竣工そして操業開始までの試験、さらには操業後の安全が確保されるように取り組むことが重要です。

―第7次エネ基では主要施設の完工が明記されました。

宮下 日本には、第二次世界大戦の歴史があり、エネルギーが枯渇して蘭仏印にまで進駐しなくてはならなくなり、結果的に300万人の国民が命を落とすことになりました。国力という意味での強靭さには、エネルギーの安全保障が非常に大事です。原子力・核燃料サイクル事業は、エネルギーの自給自足を目指し、日本にとって必要不可欠な事業として始まっているわけですから、その歴史性に鑑み、国として六ヶ所再処理工場やMOX燃料工場などの竣工、操業をしっかり進めていくことが重要なのでしょう。この国を豊かで強い国にするという意味でも、この産業をどう育てるかは、国民がしっかり考えなくてはならないし、国はぶれることなくやっていく必要があります。

―中間貯蔵施設について求めることは。

宮下 昨年11月のリサイクル燃料備蓄センターの操業開始は、2004年の本県への立地協力要請以降、20年来の取り組みが結実したもので、長い道のりでした。一方、使用済み燃料の貯蔵期間は受け入れ、または建屋の供用開始から50年間とされており、搬出までのカウントダウンは始まっています。事業者には期間内の搬出を念頭に、引き続き安全確保を第一に事業に取り組んでいただきたいと考えています。また、国は中間貯蔵後の使用済み燃料の搬出先として六ヶ所再処理工場を示したわけですから、同工場を竣工させ安全かつ安定的、さらに、長期に稼働させることに最大限尽力すべきと考えています。

―国の原子力政策への向き合い方は。

宮下 電力の安定的かつ安価な供給及び脱炭素社会の実現、そしてAIが台頭し人口減少下でも電力需要が増す中にあって、安全確保を大前提とした原子力発電及び核燃料サイクルは、エネルギー資源に乏しいわが国には必要なものです。そのため、青森県として安全確保を第一義に、地域振興や雇用に寄与することを前提として協力していきます。国には、地域と原子力施設が共生していく未来を築きながら、原子力・核燃料サイクルを主体性と責任の下、安全性を第一に、将来にわたる国民と日本のために進めていただきたいと考えています。

みやした・そういちろう 1979年青森県生まれ。2003年東北大学法学部卒業。同年4月、国土交通省入省。14年よりむつ市長を3期務め、23年6月から現職。

【特集3まとめ】原子燃料サイクル最前線 現地取材で見えた本格始動の時


第7次エネルギー基本計画で原子力の最大限活用の方向性が示され、

原子力発電所の再稼働・新増設・リプレースが本格化する時代が見えてきた。

これに伴い、使用済み燃料の中間貯蔵、再処理、MOX燃料製造といった

原子燃料サイクル政策を再び軌道に乗せることが不可欠な情勢となっている。

話題のリサイクル燃料貯蔵センター(RFS)や再処理工場は今どんな状況なのか。

関連施設の現地ルポ、政治・行政インタビューでサイクル事業の最新事情に迫る。

【レポート】中間貯蔵と再処理施設を行く サイクル政策の推進に再び脚光

【レポート】再処理施設建設が佳境に 26年度中の竣工目指す

【インタビュー】国力の強靭化に不可欠 安全性を最優先した取り組みを

【インタビュー】再処理の実現に向け正念場 国は消費地の理解促進に全力

【インタビュー】国が前面に立ちプロセス加速へ 官民一体で新たな体制を確立

【特集2】地産地消エネを最大限に活用 官民の役割分担で事業性確保


【新地スマートエナジー】

東日本大震災からの復興によるまちづくりで、福島県新地町にスマートコミュニティが誕生した。町と11社の民間企業が出資する地域エネルギー会社「新地スマートエナジー」が2019年春から電気と熱の供給を開始し、今も順調な事業運営が行われている。

スマコミの拠点は、津波によって壊滅的な被害を受けたJR新地駅の周辺エリア。エリア内に建設した新地エネルギーセンターが電気と熱の供給を担う。5台のガスエンジンコージェネレーションシステム(出力35 kW×5基)で発電し、その排熱は熱交換機や排熱投入型吸収冷温水発生機(422kW)に活用。ガス吸収冷温水発生機(422kW)や電動スクリュー冷凍機(冷房能力60 kW)、温水ボイラー(加熱能力581kW)3台で冷水・温水を製造する。センターの壁面や屋根、需要家の施設には太陽光発電システム(計85 kW)を設置した。エリア内でつくられた電気や熱は、自営線と熱導管を通して公共施設や民間の温浴施設などで使われている。

また、コージェネの燃料には、石油資源開発の相馬LNG基地からパイプラインで供給される天然ガスを使用。災害時にも持続可能な供給体制を構築している。さらに、蓄電池(50 kW時)やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を使い、CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)による最適制御を実施中。まさに、地域のエネルギーを地域内で最大限に活用する「地産地消の分散型エネルギーシステム」が確立されているというわけだ。

町がエネ設備を所有 採算性ある供給目指す

事業の運営方法にも大きな特長がある。町が自らエネルギー施設を所有し、運用は新地スマートエナジーに委託している。新地スマートエナジーは電気と熱の販売で収益を上げ、運用費のみを賄えば収支が成り立つスキームだ。

民間企業が持つ実績とノウハウを活用できる点も強みだ。出資企業の一社である日本環境技研は、加藤憲郎・前新地町長がスマコミ事業の実施を決断し、検討を始めた当初から事業に参画。国の補助事業の活用に向けた調査をはじめ、エネルギーセンターやエネルギーマネジメントシステムなどの実施設計を行い、事業の具現化を叶えてきた。同社は「事業採算性はまだまだ厳しいが地方自治体主体の安定供給を支えていきたい」としている。新地町では今後、農業施設などに対し、電気と熱とともに排ガスから回収したCO2を供給し、作物の生育に活用するトリジェネレーションの導入を計画中だ。官民連携が奏功したスマコミの次なる展開が注目される。

「新地スマートエナジー」のエリア全体風景

【特集2】初期投資ゼロで大型設備群を構成 高度医療機関への安定供給支える


【東京ガスエンジニアリングソリューションズ 沖縄ガス】

在日米軍から返還された沖縄県宜野湾市のキャンプ瑞慶覧地区。このエリアの一部である西普天間住宅地区内では再開発が進行中だ。その第一弾が、沖縄健康医療拠点ゾーンへの琉球大学医学部と大学病院の移転。この西普天間キャンパスでは、新たなエネルギー供給スキームが構築されている。

公募入札の結果、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)や地元の沖縄ガスなどの事業者によって、大型の分散型コージェネを核とした大規模なエネルギーサービスプロバイダー(ESP)事業が展開されているのだ。

620の病床数を持つ大学病院

国立大学法人初のESP 一部設備にデュアル燃料式

本件はTGESがシステム設計、施工、エネルギー調達、メンテナンス、監視、オペレーションまでを一括で担う。システムとしてガスエンジンコージェネ(1200kW×2)、吸収式冷温水機(560RT×2)、蒸気ボイラー(1t/時×2)、ターボ冷凍機(500RT×1)などを採用。加えて非常用発電機(2500kVA×2)、特別高圧・高圧受変電設備といった大規模なエネルギー設備群で構成している。

「ESP事業の公募に対して、最適な提案であったためにこのシステムを採用するに至った。国立大学法人としてESP方式を採用するのは全国で初めての事例。イニシャルレスで設備導入し、設備の維持管理を民間に担ってもらうこの方式は、他の大学も興味を示していて見学にも来ている。他機関に対しても本事業における事例や効果など伝えていければと思っている」。琉球大学施設運営部施設整備課の中塚和成課長は話す。

一方、エネルギーサービスを担うTGESにとって、県内の医療機関への提供は、これが初めての事例だ。「島しょ部における大型コージェネの導入は、ピークカットなどに貢献できると考えている。その際、一連の設備群に対して、海岸にも近いことから塩害をはじめ、台風や停電対策に熟慮を重ねた。気候も内地とは違うため、供給安定性、高効率な運用を実現するために検討すべきポイントがたくさんあった」。TGESソリューション推進本部沖縄営業所の大城優也課長は経緯を説明する。

また、病院向けという点において供給安定性にも配慮している。ボイラーや吸収式設備は石油とガスのデュアル燃料に対応するなど、BCPの機能を高めていることも特徴だ。琉球大学施設保全課電気保全係の金城敦係長は「県から基幹災害拠点病院や高度救命救急センターの指定を受けられるハード面のスペックを持っている」と、盤石なエネルギーシステムに期待する。

琉球大学の金城氏(左)と中塚氏

【特集2】デジタル技術で低圧DERを制御 消費最適化へソリューション展開


【ニチガス】

ニチガスが低圧DERの拡販に乗り出している。電力・ガスの消費最適化を進め、スマートシティ構築を目指す。

ニチガスは分散型を軸としたエネルギーソリューション事業を展開する。2018年11月に電力小売り事業を開始以降、現在の契約数は約38万件で、その多くが電気とガスのセット契約だ。今後は、これを顧客基盤に太陽光発電や蓄電池などの低圧分散型エネルギーリソース(DER)の拡販を目指す。

注力する商材が電気ヒートポンプとガス給湯器で稼働するハイブリッド給湯器だ。例えば、ニチガスが開発中のスマートリモコンと組み合わせ、通常は電気でお湯を沸かし、高需要時にはガス式に切り替えることで電力ピークカットが可能になる。また、余剰電力がある時には電気でお湯を作りタンクにためる。そのお湯は蓄電池の電気と同様、今後のエネルギーインフラに欠かせない調整力であり、ハイブリッド給湯器はいわば「エネルギーのダム」とも言える。さらに、太陽光発電や蓄電池、照明やエアコンなどの家電機器をネットワーク化して制御し、宅内のエネルギー消費の最適化も可能だ。電力事業部の清水靖博部長は「お客さまが我慢せずに電気とガスを最適に利用できるスマートハウスの普及につなげたい」と説明する。

需要家のエネ利用を最適化 供給力・調整力として活用

将来、スマートシティの規模になると、DER運用の最適化で生んだエネルギーは供給力や調整力にもなり得る。その制御の一つがデマンドレスポンス(DR)だ。電力需要のピーク時での「下げDR」で系統を安定化できる。加えて、スマートメーターの30分値をリアルタイムで採録し、AIやブロックチェーンなどのデジタル技術で、需要家同士が太陽光の余剰電力などを直接売買する「ピアツーピア取引」も可能になる。

一連の取り組みは電力ビジネス上での利点もある。下げDRでピーク値を抑えた分、容量拠出金の負担額の削減も期待できる。「例えば、負担額が減った分を料金割引へ還元するプランなど、お客さまと削減効果を共有するスキームを検討中だ」(清水部長)。魅力的なプランであれば顧客は増え、需要家DERからの供給力や調整力はさらに増加する―。この好循環の創出がニチガス戦略だ。

同社は電力とガスの供給を担い、DERの販売も手掛ける点を強みとする。来年度にはスマートリモコンの一般販売を予定する。デジタル技術も活用し、市場開拓を進めていく。

開発中のスマートリモコン

【特集2】過疎地の配電網維持に課題 マイクログリッドの好例必要


分散型リソースの活用が各地で進んでいる。再エネ主力化に果たす役割などについて聞いた。

インタビュー/飯岡大輔(中部大学工学部電気電子システム工学科教授)

―分散型リソースに調整力を担わせる取り組みが進んでいます。

飯岡 調整力を担う火力の完璧な代替は難しいと思います。ですが、VPP(仮想発電所)のように需要を統合したり、蓄電池を駆使したりすることで、その役割に近づけることはできると思います。

―太陽光発電でもその一部を担えますか。

飯岡 スマートインバータの機能を使えば、可能性はあります。その一つが周波数の上下変動に合わせて、太陽光発電の出力を下げたり上げたりする「Frequency-Watt機能」です。また、電圧変動を適正範囲に維持するために無効電力を出し入れする「Volt-Var機能」もあります。

―無効電力について解説をお願いします。

飯岡 直流には有効電力しかありませんが、交流には無効電力もあります。有効電力とはモーターを回したり、光に変えたりと、他の用途に変換可能なものです。支払う電気料金は有効電力の使用量で決まります。

 一方、無効電力は電圧と電流の位相がずれると生じます。実際、電力系統のさまざまな場所で生じています。そのため電力系統ではコンデンサやコイルを設置して無効電力を調整し、電圧を適正範囲に制御しています。

―マイクログリッド(MG)の取り組みが進んでいますが、コスト面で課題があります。

飯岡 経済性を前提に話すと、MGは規模が小さいので投資に見合うメリットが得にくい。同様に今後、一般送配電事業者が過疎地の配電網を維持管理していく上でも同じ課題を抱えることになります。

 配電ライセンスという新しい制度ができたので、今後はその好例を生むことが大切です。ライセンスの事例ではありませんが、例えば昨年4月、宮古島市の来間島で停電が発生しましたが、早期に復旧できました。こうした事例を世間に広める必要があります。

―システム改革への意見はありますか。

飯岡 制度の複雑さが指摘されていますが、多くの議論を重ねた上での現状の仕組みなので否定はしません。ただ、今後、電力の安定供給を支えるシステムが複雑化すると思います。将来的にその複雑さを理解する人材が存在し続けるための仕組みが必要になるでしょう。今の日本の電力系統は非常に良く整備されています。電力会社の設計思想とそれに対応してきたメーカーの技術力は素晴らしいものです。私も電力を安定的に供給することの難しさを皆さんに伝えていきたいと思っています。

いいおか・だいすけ 2000年名古屋大学工学部卒。04年同大学院工学研究科博士後期課程修了。名城大学准教授、東北大学大学院准教授などを経て23年4月から現職。

【特集2】構築進むマイクログリッド CO2削減と災害対策強化に寄与


小規模な需要向けに再エネ主体で地域電力網を構築するマイクログリッド。再エネ利用の推進や地域防災において、各地で威力を発揮している。

昨年4月25日の夜明け前、沖縄電力管轄の宮古島市で、周辺島しょ部を巻き込んだ大規模停電が起きたことは記憶に新しい。毎年、台風による停電対応を余儀なくされる沖電だが、季節外れの被害からの復旧には、主に再生可能エネルギーと蓄電池によるマイクログリッド(MG)の威力が存分に発揮された。

宮古島の電力需給は、主にディーゼル発電が支えている。需要の変動に合わせて発電出力を調整する離島ならではの特徴だ。停電当日は、このディーゼル発電が接続する電力母線の経年劣化による不具合で、宮古島の全域停電が発生。それに伴い、宮古島から電力ケーブルでつながっている伊良部島、池間島、来間島など他の周辺離島も、停電を余儀なくされた。

全域停電から蓄電池を稼働 初の実運用が無事に成功

全域停電からの復旧時間の目途が立たない中で、いち早く復旧した島があった。人口約150人の来間島だ。

「国の補助を受け宮古島市で唯一の地域MGを構築していたおかげで、他の地域より約2時間早く停電を解消した。これまで住民の方々と協力しながら、停電からの復旧訓練を実施したケースはあったが、有事の際に本当に機能するのか分からなかった。実際に早期復旧できてほっとした」。沖電研究開発部技術開発グループの塩浜智洋マネージャーはこう振り返る。

来間島では沖電と同社関連会社のネクステムズ社が中心となり、再エネ発電事業者の宮古島未来エネルギー、地元自治体の宮古島市が連携して地域MGの運用実証を行っている。

宮古島未来エネルギーが島内の半数程度に当たる40件強の一般家庭とPPA(電力購入契約)を結び、太陽光発電や蓄電池、エコキュートといったエネルギー設備を導入した。これらの需要側のエネルギーマネジメント(EMS)をネクステムズが担っている。

沖電は、来間島全体のEMSを担うほか、中規模蓄電池(800kW時)と補充電用ディーゼル発電(100kW)などを組み合わせて運用している。平常時は再エネによる自家消費を進め、余剰時にはエネルギーを貯める。再エネ主体の地産地消を進めることが基本方針だ。

沖電はこのコンセプトのもと、自社のEMSとネクステムズの需要側のEMSを統合管理して制御している。主体は蓄電池運用だ。ただ、再エネ発電が期待できず、需給バランスも確保できない場合は宮古島のディーゼル発電からの電気で補っている。

【訂正とお詫び】6月号特集2の記事について


エネルギーフォーラム6月号「特集2」(73頁)の電力館とガスパビリオンのインタビュー記事の見出しに誤りがありました。正しくは、電力館が「『可能性のタマゴ』がコンセプト 次世代エネ技術を面白く体験」、ガスパビリオンが「CNに向け『化けて』変容を 地球温暖化を考える機会に」です。なお電子版ではすでに修正しています。関係者の方々にご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫びし、訂正いたします。またウェブ上での「お詫びと訂正」が遅れたことを重ねてお詫びいたします。

バス営業所内の水素ステーション 国内初整備で大型車普及に弾み


FE岩谷コスモ水素ステーション

水素自動車向けの供給インフラ整備と運用を手掛ける岩谷コスモ水素ステーション(喜村博代表)が、バス営業所内としては国内初となる水素充填所(液体水素式)を開設した。都営バスの車庫である東京都交通局の有明自動車営業所(東京・江東)内に開設し、4月から都バス向けに供給している。

一般の燃料電池自動車(FCV)と異なり大型バスなどの商用車は、決められた時間に決められた量の水素を充填するため一定の需要を見通すことができる。FCVの普及が不透明な中、こうしたバス向けの供給インフラ整備は、水素社会の実現に向けた大きな一歩となる。

加えて都は、国内バス事業者として最も多くのFCバスを運行しており、その数は80台にのぼる。さらに2027年度までに、100台に増やす方針を掲げている。公共交通機関として、都が水素利用を推進していくことに大きな意義がある。バス向けの「大口需要」の対応には、短時間に大容量の水素を充填する必要がある。そのために今回、ある工夫が施された。それは「液体水素昇圧ポンプ」(三菱重工業製)を採用したことだ。

大容量の水素を充填 液水ポンプで短時間供給

液体水素を活用する一般的なステーション運用では、まずタンクローリーによって運び込まれた液体水素をタンクに常圧貯留。気化後に水素を蓄圧器に移し、そこから必要量に応じてディスペンサーを通じて車両に供給する。今回は、貯留タンクと気化器の間に液体水素ポンプを新たに設置した。このポンプで液体水素を液体のまま82MPaまで昇圧する。その後は「一般式」と同じだが、「ポンプをはさむことで蓄圧器を最小化し、設備全体がコンパクトに設計できる。加えてランニングコストを大幅に削減するほか、ボイルオフガスの発生を従来以上に抑えることができる」(三菱重工関係者)。

これまで多様な方式のステーションを運用してきた岩谷。コスモエネルギーホールディングスとの合弁で23年に水素ステーションを運用する新会社・岩谷コスモ水素ステーションを立ち上げた後も、液体水素ポンプという新たなアイテムを活用して、最適な供給インフラの運用を模索している。

【キャプション】

国内初のバス営業所内ステーション(提供:岩谷産業)

燃料を貯める液体水素タンク

【特集2】日本発の技術でCNを訴求 会場内で地産地消モデルを確立


大阪ガス】

大阪ガスは地産地消型スキーム構築に向けたメタネーションを実証中だ。さらに、グリーン水素との合成による脱炭素化にも取り組んでいる。

大手都市ガス事業者を中心に、ガス業界が押し進める未来の都市ガス「e―メタン」。今回の「大阪・関西万博」では、この日本発の次世代型エネルギーの意義や展望を世界へ発信しようとDaigasグループが中心となって動いている。

大阪ガスは万博で「化けるLABO」を運営している。環境省委託事業「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」のもと、会場内で発生する生ごみやCO2を利用し、e―メタンを現場で生産し、その現場で消費する地産地消型のスキームを構築している。

4つの方法でCO2回収 会場のバイオマス資源活用

化けるLABOでは、四つのリソースによるCO2を活用してe―メタンを生産する技術に挑戦している。

一つ目のリソースは循環型のCO2だ。会場内から出る生ごみ(バイオマス資源)を廃棄物としてバイオガスプラントに貯める。それを発酵させて発生するバイオガス内のCO2とともに、同時に発生するメタン(CH4)も活用する。

残り三つのリソースが回収型のCO2だ。DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)技術によって空気中から直接回収されるCO2と、オンサイトのボイラー排ガスから回収されるCO2、さらに日本館で得られるバイオガスから回収されるCO2が挙げられる。

回収型の一つ目で活用するDAC装置は、地球環境産業技術研究機構(RITE)がムーンショット型研究開発事業で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託のもと、実証装置として運用している。また、二つ目の排ガスからのCO2回収では産業ガスの製造販売を手掛けるエア・ウォーター(AW)と連携。AWは、このCO2を冷却用のドライアイスにも活用する。三つ目のバイオガスからのCO2回収では、経済産業省が出展する日本館と連携。同館内のバイオガスプラントで発生したバイオガス精製後のCO2を活用する。

㊧空気中から直接回収するDAC装置 ㊨回収したCO2はドライアイスにも活用する

一方、CO2の反応相手となる水素は、固体高分子型(PEFC)技術を利用した水電解装置で発生させる。化けるLABOでは再生可能エネルギー由来の電気を使って水電解するため、CO2を発生しないグリーン水素を活用していることになる。こうした循環型・回収型のCO2やグリーン水素を活用することでe―メタンの環境性も担保される仕組みだ。

これらの水素とCO2は、e―メタン生成を促すメタネーション装置へ投入される。ここで使用されるのが、微生物の力を用いるバイオメタネーション装置と、触媒を用いるサバティエメタネーション装置の2種類の設備だ。

メタネーション実証設備

【特集2】国内外の情勢・動向発信に功績 さらに進化したオピニオン誌へ


森 洋/全国石油業共済協同組合連合会全国石油商業組合連合会会長

創刊70周年を心よりお祝い申し上げます。創刊の1955年は、戦後の復旧・復興からわが国が高度経済成長へと向かう過渡期であり、国民生活や経済活動に不可欠なエネルギーの需要の拡大期に差し掛かる先行き不透明な時期でした。そうした中、月刊電力新報として創刊され、以来70年の長きにわたり、電力・エネルギー業界の発展に向け、国内外のエネルギー情勢や業界動向を取材し情報発信してきた功績は、誠に顕著なものがございます。

当会は53年の創立以来、全国47都道府県の石油組合とともに、石油製品の安定供給という社会的使命を全うするため、石油製品販売業者の健全かつ持続的な発展に取り組んで参りました。50年代の戦後の荒廃した国土の復旧、そして産業経済の復興から、60年代の高度経済成長を支え、70年代の二度にわたるオイルショック、80年代から90年代にかけての規制緩和・自由化という激動の時代を乗り越えてきました。さらに、2000年代に入り、内需の減少・販売競争の激化、2011年3月の東日本大震災など相次ぐ大規模災害の発生、そして19年からの新型コロナウイルス感染拡大の中でも、エッセンシャルワーカーとして石油の安定供給に貢献してきました。

「最後の砦」の役割果たす 新たなビジネスモデル模索

しかし、石油製品販売業者は、少子高齢化の進展や人口減少といった社会構造の変化や50年カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みが進む中、引き続き、平時・災害時を問わずエネルギー供給の最後の砦としての社会的使命を果たさなければならないという、大きな課題に直面しています。一方、50年CNに向けたエネルギーのトランジション期でも、石油の重要性は変わりません。

当会では、石油販売業界の7割を占める小規模事業者の視点に立った組織活動を推進し、地域社会に根差した石油製品の安定供給拠点としてのサービス・ステーション(SS)としての役割に加え、CN時代に対応した事業再構築を図り、多様化する消費者ニーズに対応した多機能化、多角化などを積極的に後押ししていくなど、SSの新たなビジネスモデルの構築に引き続き取り組んでいきます。

エネルギー需給体制がぜい弱なわが国では、政策の要諦である、S+3Eの徹底を図りつつ、石油など化石燃料をはじめ原子力、再生可能エネルギーなどの多様な選択肢の追求が求められるなど、エネルギーを巡る国内外情勢は混沌としています。

今後とも、エネルギーの安定供給とエネルギー業界の発展を支えるオピニオン誌として、さらに進化されることを期待し、当会からのお祝いの言葉とさせていただきます。