【SNS世論】最終処分地の南鳥島案 議論で盛り上がり欠く

原子力発電での使用済み燃料を再処理した時に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定を巡り、政府は4月に東京都小笠原村の南鳥島で文献調査を行う意向を示した。同村はその申し入れを受け入れた。これを巡るメディアとSNSの動きを考えたい。

南鳥島は父島(写真)から東南東に約1200㎞離れた場所にある

南鳥島は小笠原村の行政区域に属す日本最東端の島で、一般住民は居住していない。本土から遠いという難点はあるが、住民の反対などで処分地の選定が進まない現状を打開する可能性がある。

選定手続きの第一段階にあたる文献調査が今後行われる。この調査は北海道の寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村、佐賀県玄海町に続き、4例目となる。過去の3例は地元の意思表示がきっかけだった。しかし反対意見が地元や周辺自治体にあり、反原発を唱えるメディア、政治団体がこの動きを批判した。3自治体では賛成派が多数だが、一方向に議論は進んでいなかった。

寿都町の片岡春夫町長は「やっと一歩進んだ」と、南鳥島での文献調査を評価した。(北海道放送3月13日報道)有力なライバルの出現を警戒するのではなく、国民的な議論を歓迎するという姿勢のようだ。手を挙げた自治体は、政治論争に巻き込まれ負担になる。候補地を増やすことが、現時点では逆に選定が進むことを助けるだろう。

◆関心を向けないSNS世論

SNSは最近、メディアよりも社会への影響力が大きくなりつつある。しかし、この高レベル放射性廃棄物の問題について関心を持つ人が少ない。この問題について述べる投稿や映像が少ない中で、反対を唱える一部オールドメディアや反原発の活動家の声が目立つ印象だ。

SNS世論は原子力の活用派がやや多いように思える。しかし原子力の活用と、廃棄物処分の話は、一般の人は関係づけて受け止めていないらしい。そして原子力発電の後始末の問題について解決の必要性は認めるが、NIMBY(Not In My Backyard、「私の家の庭にはお断り」)の感情が働き、推進の意見を言うことにためらいが生じてしまうのだろう。この問題は複雑で、ある程度の説明と理解が必要だ。SNSは単純な問題を善悪に仕分けて拡散することには向くが、複雑な問題の論評には不向きなメディアだ。

一方で、原子力発電を批判する人は、この問題では元気に活動する。原子力発電には膨大なメリットがあるが、廃棄物処理の点では問題が残るため、「攻め所」と張り切っているかのようだ。そして放射性物質は危険性がある。恐怖に絡められた議論をされると、論理的に反論するのは手間がかかる。

◆一部オールドメディアは南鳥島での動きを批判

一部のオールドメディアは、この問題の解決を妨げようとしているように見える。朝日新聞は4月16日の社説「核のごみ処分 徹底調査と説明責任を」で、「前のめり」「押しつけ」と、南鳥島での動きを批判した。そして離れた場所にある小笠原諸島の村民の疑問の声を紹介した。朝日はいつもの通り他人に自分の意見を言わせるずるい形の記事にしている。

毎日新聞は強い批判を繰り返す。同紙は科学面で〈「絶海の孤島」南鳥島 核のごみ処分場〉という特集(4月13日)で技術的課題をとりあげ、実現性に疑問を示した。特集面では記事〈「手挙げ式」からの方針転換 核ごみ最終処分に動いた政府〉(同日)で、政府が批判で場所の選定に行き詰まり、新しい方法で動いたと指摘する。このように一部のメディアは、解決に協力しようという意思がない。

産経新聞は〈資源に乏しい日本で原子力発電を持続可能なエネルギー源とするために極めて重要な対応である。理性ある決断に敬意を表したい〉と4月15日社説〈南鳥島の文献調査 核地層処分へ意義大きい〉で書いた。これが常識的な反応ではないか。またNHKや読売新聞は、淡々と事実を伝えるだけの姿勢だ。せめてこのような反応をしてほしい。

しかし一連の報道について、SNSではあまり反響はない。

◆今の世代が解決するべき問題

日本政府は、国のプロジェクトでは、できる限り関係者の全員一致の状況を作ろうとする。どんな問題でもそれは難しい。この高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定問題では特に全員一致の問題は難しそうだ。

しかし一部のメディアがこの問題で、マイナスの情報のみを拡散して、人々を反対の方向に動かそうとするのは問題だ。文献調査を受け入れた玄海町の推進派の住民は次のように語る。「地元で静かに議論をできる状況を作ってほしい。感情的な議論、政治運動の対象になって町が混乱するのは迷惑だ。今の時代、メディアに影響される人は少ないだろうが、情報が混乱を引き起こす可能性がある」。

高レベル放射性廃棄物の問題は、SNSには馴染まないし、人気もない。ただし一般の人は、関心を持ってほしい。それが無理でも、問題を混乱させる動きや、一部メディアの偏向報道をおかしいということをSNSでしてもらうと、ありがたい。

この問題は今を生きる世代が、解決しなければならない問題だ。私たちは大量の電気を使う生活を享受し、その結果として原子力発電の使用済み燃料が存在している。その解決の責任は、原子力の活用を賛成する人にも、否定する人にもあるはずだ。SNSの反応が、その解決の行く末に影響を与える。

【時流潮流】ニジェールで続く決死のウラン輸送作戦

世界有数のウラン産出国である西アフリカのニジェールで、決死のウラン輸送作戦が続いている。ルート周辺は、複数の過激派組織が勢力を伸ばす世界でも最も危険な地域だ。陸上輸送は難しく、異例の空輸作戦となる方向だ。

クウェート空港で荷降ろしをするアントノフAn-124輸送機。2004年、イラクに自衛隊を派遣する際、部隊の車両を運んだ=筆者撮影

サハラ砂漠の南端に近いニジェール北部のアーリット鉱山。昨年12月4日、装甲車や多数の武装車両に守られた34両のトラックの車列(コンボイ)が出発した。

トラックの荷台には長さ20mのコンテナが二つずつ載る。コンテナの中には、鉱山で採掘したウラン鉱石を精錬したウラン精鉱(イエローケーキ)を詰めたドラム缶が入っている。総重量は1050tもあり、時価換算では2億ドル(約300億円)近い。輸送先は南部にある首都ニアメーだ。

かつてはフランス領だったニジェールでは、フランスのオラノ社(旧アレバ)が長らくウラン採掘を続けてきた。その多くがフランスに運ばれ、原発燃料に加工されてきた。

だが、2023年7月のクーデターで軍事政権が発足し、情勢は一変する。新政権は、治安維持や対テロ戦争のため駐留していたフランス軍と米軍を国外に追い出し、代わりにロシアの傭兵部隊を招き入れた。

さらに、資源ナショナリズムを掲げ始める。フランスの抗議を無視してウラン鉱山の国有化に踏み切った。ウランの売り先も、これまでのフランスからロシアなど新たな顧客へと変えていく。

輸出ルートに問題発生 代替は「死の回廊」

だが問題が立ちはだかった。輸出ルートだ。従来は、首都ニアメーから南下し、大西洋(ギニア湾)に面する隣国ベナンの港に運ぶ最短ルートを使っていた。だが、ベナンには現在もフランス軍が駐留を続ける。コンボイが足を踏み入れれば、接収される可能性が高い。

ニジェールの軍事政権は一発逆転を狙い、イエローケーキ輸送を開始した直後の昨年12月7日、ベナンでクーデターを仕掛けたとされる。だが、クーデター計画は失敗に終わり、別ルートでの輸送法を探す必要に迫られた。

代替ルートはないわけではない。南下するのではなく、西のブルキナファソにいったん運び、そこから南下して大西洋沿岸国のトーゴのロメ港に運ぶルートだ。だが、国際テロ組織「アルカイダ」系や、過激派組織「イスラム国」(IS)系の武装集団が横行する「死の回廊」と呼ばれる危険な地域を通り抜ける必要がある。

国連によると、24年の世界のテロ犠牲者のうち半数がニジェールやブルキナファソがあるサヘル地域で起きている。被害者数はこの5年間で10倍に増えた。その地域を突っ切るのは、あまりにも過酷な作戦となる。フランスのメディアは映画になぞらえて「マッドマックス作戦」とはやしたてる。

八方塞がりとなったニジェールの軍事政権は、コストは張るが、空輸に切り替える算段を進めた。ロシアの輸送機で運び出す考えだ。

今年に入り、ロシアの超大型輸送機「アントノフAn124」がニアメーに飛来するようになった。積載能力は世界最大の100㌧もある。10往復すればイエローケーキ全量を運び出せる計算になる。

だが、首都ニアメーといえども治安は万全ではない。今年1月26日、IS系の武装集団の部隊がバイクに分乗し、ドローンも使い空港を襲った。政府軍はロシア軍の応援を得て、約1時間におよぶ戦闘の末に20人を殺害、撃退に成功した。空港内の倉庫などには、まだイエローケーキが残っているとされる。強奪や、ばらまかれて深刻な汚染問題が起きる危険があった。

ニジェールのウラン鉱山でウラン採掘を続ける限り、綱渡りのマッドマックス作戦が続くことになりそうだ。

【記者通信】電気・ガス料金補助再開か またもバラマキに疑問相次ぐ

去る3月19日の燃料油補助金の復活に続き、政府が7~9月の期間限定で電気・ガス料金の補助を再開する方向で検討していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。ホルムズ海峡の実質封鎖を背景にした原油・LNG価格の高騰と円安局面が続く中、電力・都市ガス会社では燃料・原料費調整制度に基づき6月ごろから電気・ガス料金の上昇が顕在化してくるため、補助金によって利用者の負担軽減を図る。予算額は今冬と同等規模の5000億円程度と見る向きがあり、予備費からの投入が見込まれている。だが、単純な補助金支給を巡っては費用対効果を疑問視する見方が多い。巨額の国費を国民経済に資する形でいかに有効活用するか、政府の手腕が問われている。

エネ補助金の総額は14兆円超 予備費枯渇の可能性も

電気・ガス料金の補助事業については、ロシアのウクライナ侵攻などの影響によるLNG価格や原油価格の高騰を受け、2023年1月使用分(2月検針分)から開始。当初は一時的な措置のはずだったが、価格高騰の長期化によって24年5月まで実施された(予算額3兆7490億円)。その後、円安に伴う物価高に対応する目的で、同年8~10月に再開(同2124億円)。以降は、エネルギー使用量が増える夏場と冬場の期間限定(25年1~3月=3194億円、25年7~9月=2881億円、26年1~3月=5296億円)で、断続的に補助金を投入し、これまでの合計は5兆985億円(予算額はいずれも共同通信調べ)。燃料油の補助も含めると、エネルギー代補助の総額は14兆円超に達するとみられている。

その財源となっているのが、国の予備費だ。前年度と今年度の予備費は計約2兆円とされており、3月に再開された燃料油補助金は予備費から基金を通じて支給されている。⁠経済産業省によると、4月下旬現在で基金の残高は9800億円程度。補助金の指標となる北海ブレントの原油先物価格は100~110ドル前後で推移しており、この水準が続けば夏までに基金は底を付く可能性がある。ここに電気・ガス料金の補助が加わると、予算の枯渇が一層早まるのは確実だ。高市政権は補正予算の編成について「現時点で検討していない」としているが、いずれかの段階で補正での対応が必要になるのは避けられそうもない。

エネルギー補助金を巡っては、「単純に利用者の負担を軽減させるという意味では、それなりの効果を上げている。消費者物価指数の上昇に歯止めを掛けていることは、公表されている民間調査機関のレポートを見ればよく分かる」(永田町関係者)と、一定の評価が聞こえているのは事実だ。「特に電気・ガス代の補助は、車に乗る人と乗らない人で恩恵に格差の出るガソリンとは違う。実施する意義はあると思う」(経済誌記者)

【時流潮流】イラン戦争で揺らぐ湾岸諸国の「安全神話」 AI企業の投資戻らず

戦闘開始から2カ月となるイラン戦争は、サウジアラビアなど湾岸諸国にも深刻な打撃を与えた。イランのミサイル攻撃やホルムズ海峡封鎖で、エネルギー産業に影響が出たほか、「安全神話」も揺らいだ。中でも、脱石油の「切り札」である人工知能(AI)産業では、安全を求めて「脱中東」の動きが加速しており、湾岸諸国は対応に追われている。

エミレーツ航空が本拠地とするUAEのドバイ国際空港=筆者撮影

イランは開戦初日から、湾岸諸国にミサイルとドローンで猛攻を浴びせた。各国に駐留する米軍基地をはじめ、国際空港やホテル、AIインフラ拠点にも攻撃を仕掛けた。

湾岸諸国は戦前、イランからの報復攻撃を防ごうと、自国内の基地からの攻撃は「認めない」と宣言した。保険をかけたつもりだったが、米軍の空中給油機や空中早期警戒機(AWACS)など作戦行動と密接に連携する軍用機の基地使用を黙認した。この詰めの甘さが仇となる。イランは「建前と現実」の違いを鋭く突いた。

アラブ首長国連邦(UAE)は、停戦までの38日間にミサイル563発、ドローン2256機の合計2819回もの攻撃を受けた。2番目に多いクウェートは合計1211回だったため、その2倍以上にあたる。3位はバーレーン、4位はサウジと続いた。

湾岸諸国は9割以上という高い確率でミサイルとドローンの迎撃に成功する。だが、撃ち漏らしもあり、人や施設に被害が出た。

エネルギー関連では、カタールの液化天然ガス(LNG)施設が被弾し、輸出能力の17%が奪われた。修復には最大5年間かかる。サウジやUAE、クウェートの油田や製油施設なども一部が損傷した。

UAEはデータセンターなどの防衛強化へ

ホルムズ海峡封鎖も大きな打撃となる。サウジやUAEには、封鎖に備えた迂回パイプラインを持っているが、それがないカタールやクウェートは封鎖の影響をまともに受けた。開戦以後、LNGタンカーは1隻も海峡を通過できていない。

貯蔵施設が満杯となり、減産も強いられた。国際エネルギー機関(IEA)によると、3月の産油量はイラクの66%減、クウェートの53%減などの大幅減となった。

各国が成長分野と期待する産業も軒並み打撃を被った。日本人旅行客の利用も多いUAEのエミレーツやエティハド航空、カタール航空は、空港が攻撃されたため、全便欠航となる日もあった。欧州、アジア、アフリカの「ハブ&スポーク(結節点)」の役割を果たしてきたが、欧州やアジアの競争他社に客足を奪われた。観光客も8割減となった。

深刻なのは、AI関連施設への攻撃だ。アマゾンがUAEとバーレーンに設置した3カ所のデータセンターが、イランのドローンに襲われた。イランは、AIで処理した情報が「イランへの攻撃目標選定などに使われている」と非難、アマゾン以外のAI関連企業も「標的にする」と警告している。

マイクロソフトやグーグルは「安全神話」が崩れた湾岸地域に見切りをつけ、安全なインドやシンガポールなどに投資を増やす方針を相次いで発表した。取材した専門家からは「AI企業の投資が湾岸地域に戻ることはないだろう」との声も聞かれた。米中両国に次ぐ世界3位のAI拠点を目指してきた湾岸諸国の取り組みは、絶体絶命のピンチを迎えている。

巻き返そうと、UAEは4月下旬から新たな対策に動き出す。イスラエルからミサイル防衛システム「アイアンドーム」を調達し、データセンターなどの防御強化を図る試みだ。だが、これだけでは万全と言い切れない。傷ついた「安全神話」を取り戻す道は、茨の道となる気配が濃厚だ。

【記者通信】経済界が需要抑制を訴えるも国は否定 脱石油政策はどこへ?

ホルムズ海峡封鎖に伴う石油供給の不足を巡って、日本国内で奇妙な現象が起きている。経済界が需要抑制に向けた対策の必要性を訴えているのに対し、政府・与党が経済・社会活動維持の観点からこれを否定するという構図が見られているのだ。米国とイラン側による和平交渉の再開が停滞する中、ホルムズ海峡の実質封鎖が続いており、原油価格相場は北海ブレントが4月27日に108ドル台を付け再び上昇傾向を強めている。中長期的な先行きが全く見通せない状況にもかかわらず、高市早苗政権は経済・社会活動維持の観点から安定供給確保への取り組みを強調するばかり。その姿勢には、需要家側からも疑問の声が上がっている。そもそも一昔前まで、国は「脱石油」と言っていたのだが・・・。

高市首相「経済・社会活動を止めるべきではない」

「燃油とか、そういうものについても、使うのを少し控えるように制限かけたらどうかという声もいただくが、しかしながら、私は経済活動、今止めるべきではないと思っている。社会活動も止めるべきではないと思っている」「日本全体として必要となる量は確保できており、年を越えて、石油の安定供給のめどはついている」――。27日に行われた参議院予算委員会での集中質疑で、高市早苗首相は立憲民主党の森本真治議員の質問に答える形で、需要制限に否定的な姿勢を示した。

現時点で石油節約の必要はないというのは、政府・与党の一致した見解だ。「政府がいま節約を呼びかけたらどうなるか。国民の不安をあおり、社会に混乱を招く恐れがある。備蓄放出や代替調達ルートの確保によって、当面必要な量の石油供給は手当てできている。いまは経済を回すことが重要であり、需要抑制などを行う時期ではない」(永田町関係者)

経団連会長「長期化を想定し需給両面で総合対策を」

一方、経済界の代表である経団連は異なる見解だ。筒井義信会長は、4月6日の定例会見で「需要抑制策の検討は、国民のマインドに大きな影響が出てくる可能性があるため、十分なアセスメント(評価)が必要だ。混乱を回避し、冷静な対応を促すため、安心の確保という観点に留意した発信が必要」としながらも、「石油備蓄に余裕があるうちに、長期化を想定した、需給両面での総合的な検討を急ぐべきだ。需要抑制策の検討に際しては、当然、マクロ経済への影響も斟酌しなければならない。また、検討にあたっては、省エネ・節電などに関し、経済界として必要な対応を政府に進言し、協力もしていく決意だ」「どのような節約の方法が考えられるのかという点について、具体的には申し上げないが、国際エネルギー機関が例示した対応策も踏まえ、わが国の特徴も考慮した形での需給両面での対策の中身、さらに発動の条件や対象を十分に検討する必要がある」などと強調。20日の会見でも「ホルムズ海峡の周辺国を含めて石油関連施設の破壊もみられる中、仮にホルムズ海峡の封鎖が解かれたとしても、復旧・復興に数カ月を要するのか、あるいは1~2年を要するのかを見通すことはできない。一定期間こうした状態が継続することを見据えて、様々な政策面での検討が必要となろう」と述べた。

【論考/4月27日】深刻化する石油危機 豪州「軽油外交」が示す市場の機能不全

イランによるホルムズ海峡封鎖に、米軍による対イラン海上封鎖が加わり、未曾有の石油供給危機は、より深刻化しつつ進行している。国際エネルギー機関(IEA)によれば、本年3月のペルシャ湾経由の石油輸出量はわずかに日量200万バレル強、その過半はイラン産だった。これは昨年平均水準に比して日量・約1800万バレルの激減。迂回ルート(サウジアラビア紅海岸およびアラブ首長国連邦(UAE)・オマーン湾岸)からの原油輸出が日量・約400万バレル増加したので、これを差し引いて、減少総量は日量約1400万バレルだった。

4月8日にパキスタンを仲介として米・イランは2週間の停戦に合意。しかし11−12日にイスラマバードで行われた両国協議は不調に終わり、米軍は11日にホルムズ海峡で機雷除去を開始。13日にはオマーン湾・アラビア海北部に展開する15隻以上の艦艇を用いて、事実上の対イラン海上封鎖を敷いた。16日、トランプ米大統領による10日間のイスラエル・レバノン停戦発表を受け、17日にはアラグチ・イラン外相が米・イラン停戦期間中の海峡開放を宣言したが、同日イラン革命防衛隊は海峡航行の実効支配をあらためて主張。米国も海上封鎖を解かず、18日にイラン政府はホルムズ海峡の「再封鎖」を発表した。21日トランプ大統領は停戦期限の延長を発表、イランからの再提案を待つ、としている。

イランはレバノンを含む全戦線での戦闘終結、戦争被害賠償、ウラン濃縮の権利確保、対イラン制裁措置の全面解除に加えて、在中東米軍の撤退、イランによるホルムズ海峡実効支配の継続を和平条件としている。いわば中東湾岸地域におけるイランの覇権的地位を実質的に承認するよう求めており、その中核にホルムズ海峡支配がある。外相の海峡開放宣言が即座に打ち消されたことも、イランの対外行動が海峡支配を「生命線」と見なす強硬派・革命防衛隊の主導下にあることを示唆する。

米側は3月21日にトランプ大統領がイラン国内発電施設攻撃の意思を公言し、48時間内の海峡開放を迫ったが果たせず、以来、攻撃期限をいたずらに延期してきた。対イラン海上封鎖は無差別空爆に代わる策だが、これによってイラン産、非イラン産を問わずペルシャ湾からの石油輸出がほぼ全面的に途絶する。迂回ルートのみが機能するとすれば、湾岸全体の輸出量は昨年平均水準から日量約1600万バレル減少となる。

世界原油生産余力は、その大半がサウジ、UAE、クウェート、イラクに集中していたが、これがホルムズ海峡封鎖によって無力化されているので、既に3月時点で実質ゼロとなった。巨大な供給途絶と機動的生産余力の喪失により、一旦在庫が底をつけば、未曾有の石油消費量激減が不可避となる。

【目安箱/4月24日】日本が直面するシーレーン問題 ホルムズ封鎖で危機感足りず!?

今年の4月、日本各地では例年の通り「お花見渋滞」が起こっている。平和な光景で、それを喜ぶべきだろう。しかし同じ時期にイランによるホルムズ海峡封鎖の影響で世界各国では原油が不足した。その結果、さまざまな国でガソリン価格の上昇による社会混乱、車利用の減少が起きている、と伝えられる。そして政府が車の使用自粛を呼びかけている。日本では何も行われていない。大丈夫だろうか。

この危機感のなさは当然かもしれない。ガソリン価格は日本で動いていない。日本政府が補助金により、無理に価格を抑制している。

全国平均でのレギュラーガソリン小売価格(税込)の推移は、ホルムズ海峡封鎖の発生する前である今年22月には、約158〜160円(1リットルあたり)で比較的安定していた。価格は円安のため上昇気味だったが、今年1月からの暫定税率廃止などの効果もあって上値は抑えられていた。

◆補助金が危機を見えなくした

米国やイスラエルが2月28日にイランを攻撃し、3月中旬ごろからイランがホルムズ海峡を通過する船舶へ無差別攻撃を行った。3月16日のレギュラーガソリン価格は1ℓ当たり190.8円で、日本国内での史上最高値圏までは跳ね上がった。しかし政府の補助金が3月19日から始まったことから、価格はその後下がり、全国平均170円前後で推移している。

政府は国家分を含め約8ヶ月分の石油備蓄を保有していたが、危機直後に国内需要約45日分を放出。紅海周りのルート、インドネシアとの交渉など、原油や天然ガスの代替調達を急いでいる。また石油製品の確保、増産、輸入に動いている。

日本は他国のようにガソリンや石油製品の消費抑制、規制などには踏み出していない。もちろん国民の不安をあおらないようにするという意図もあるのだろう。また備蓄など過去の準備が、今回の危機で効果があった面がある。しかし、熱心に政府が対策をしているようには見えない。国民に危険を強く訴えていない。楽観的すぎないだろうか。先行きは見えないのだ。

◆太平洋戦争が教えるもの

一つの印象的な画像がある。第二次世界大戦における日本海軍の軍艦の沈没地点をGoogleマップで記録し、可視化したものだ。米国の戦史マニアが作ったようだが、今はそのサイトは消えている。

この画像を見てわかるのは、軍艦の沈没場所は、当時の海上交通線と重なっている。当時は東南アジアの油田地帯や資源採掘地から、フィリピンやベトナム沖、そしてバシー海峡(台湾とフィリピンの間の海峡)を通って日本に原油や資源が運ばれていた。激戦地の南太平洋でも船は沈んでいるが、沈没数はその海上交通線周辺の方が多い。

日本海軍は海戦で敗れただけではなく、海上交通線防衛のために戦い、それに失敗して戦争に敗れた。そのことを、このマップは教えてくれる。海軍は補給、海上交通線の防御の重要性を、戦争前に深く考えず、艦隊決戦ばかりに関心を向けていた。

日本の置かれた状況は、第二次世界大戦から80年以上経過した今でも変わらない。日本は島国としての地理的特性と資源の大半、食料の多くを海上からの輸入に依存する経済・社会構造を持つ。現時点は原油の場合は、99%が海外に依存する。さらにその9割が中東に依存する。その7−8割がイランによる武力紛争前はホルムズ海峡を通過していた。

そして現代の日本の海上交通線は脆弱だ。ホルムズ海峡のような「チョークポイント」(要衝)は他にもある。マラッカ海峡(マレー半島とスマトラ島の間)、バシー海峡、南シナ海を日本向けの船舶が原油や資源を満載して通過し、日本の工業製品を運ぶ。それは80年前、日本の商船、軍艦が大量に沈んだ場所と重なっている。

◆ドローンの登場で武力攻撃が容易に

今回のホルムズ海峡の封鎖は、イランの海空軍が米軍によって制圧された後に起きた。ドローンと見られる物体により船舶が無差別攻撃された。3月下旬から攻撃はなくなり、この記事を執筆中の4月20日時点では米とイランは停戦中だ。しかし保険会社が海運への保険を拒否し、各国の船舶会社も運行を懸念し、海運が元に戻らない。

第二次世界大戦当時と今を比べると、人命や民間資産の価値は重くなっている。危険な海で民間商船を航行させられないのだ。日本の海上交通線を遮断しようという国は、脅威や不安を与えるだけで、それを混乱させられる。しかもドローンという簡便な兵器で海運を止められる。

台湾有事の可能性がある。中国が日本を締め上げる意図を持った場合に、ホルムズ危機の先例を考えれば、海上交通の封鎖は容易に行えそうだ。

◆過去の教訓を直視し、危機に誰もが備える

今は原油不足の問題で表面的に混乱は起きていないかもしれない。しかし日本の米国などとの太平洋戦争は、米国などによる石油や資源の禁輸というエネルギー危機によってそれを打開する資源確保の目的を一因に始まった。そして原油の輸送ルートを断たれて戦争に負けた。昭和天皇は、太平洋戦争を「油で始まり、油で終わった」と戦後振り返ったという。また1972年、79年に起きたオイルショックでは日本が混乱した。原油の遮断は日本の国家の存亡に関わる重要な問題だ。

海上交通線を米国などと協力し、安全を高める必要がある。しかし海上交通線を全部守り切るのは難しい。2度の石油ショックから、日本は「脱石油」「脱中東」「省エネ」「技術開発」というエネルギー政策を進めてきた。今回のエネルギー危機のショックが、他国より少なかったのはその努力の結果だろう。しかし、その成功ゆえに、緊張感が薄れているように思える。

今も出ている燃料油補助金、そして今後出そうな電力・ガス補助金は、経済の体質を変えず、石油やエネルギーの消費を促しかねない。危機が深刻になっていない今のうちに、国が実情を国が明らかにし、無限に続き書けない補助金政策をやめ、国民に危機への準備を呼びかけた方がよい。政治と政府は危機意識を持ってほしい。

【時流潮流/4月23日】台湾とドイツに見る原発再稼働の明暗

2月末から始まったイラン戦争でホルムズ海峡が封鎖され、エネルギー情勢は激しく揺さぶられている。危機乗り切りを図る切り札に原子力発電所が浮上。再稼働や整備を加速する動きが世界に広がる。

ドイツの火力発電所。脱原発政策は維持する方向だ=筆者撮影

開戦から1カ月たった3月末、台湾電力は昨年5月に止めたばかりの第3原発の再稼働計画を核能(原子力)安全委員会に提出した。28年再稼働を目指す。

台湾は1985年に3カ所のサイトで原発2基ずつが稼働する「3原発(計6基)体制」を確立した。しかし、2011年の東京電力福島第一原発事故を機に反原発運動が高まり、政府は運転開始から40年を迎えた原発から順次、停止する措置をとった。最後の原発は昨年5月に止まった。

ただ、再稼働を求める声は根強い。半導体産業が経済を引っ張る構造にあり、人工知能(AI)時代の到来で電力消費の増大が見込まれるからだ。

昨年8月には再稼働を問う国民投票を実施した。賛成票が反対票の3倍近くを占めたが、投票総数が有権者総数の25%に達せず「否決」となった。

だが、イラン戦争で状況は一変する。台湾は、原油調達の7割を中東諸国に頼るほか、LNGも約3割をカタール産が占める。戦略備蓄が約120日と少ないことも危機を増幅させた。調達先変更などで急場をしのぐが、今後は、再生エネルギーの拡充に加え、23年に停止した第2原発(北部・新北市)を含めた原発の再稼働を見据える。

欧州の多くの国が原発推進に転換

欧州でも原発回帰の動きが強まる。欧州委員会のフォンデアライエン委員長はイラン戦争開戦直後の3月10日、パリで開かれた「原子力エネルギーサミット」で、「欧州が(原発に)背を向けたのは戦略的誤りだった」と、脱原発政策を批判した。

欧州では、90年には原発が電力の3分の1を供給していたが、ドイツの脱原発などにより、現在は「15%」足らずだと委員長は嘆いた。新型モジュール炉(SMR)などの早期導入が必要と訴えた。

ドイツ出身のフォンデアライエン氏は、メルケル政権で環境相を務め、「脱原発」を熱心に取り組んだ人物だ。皮肉な巡り合わせと映る。

名指しされた形のドイツは複雑な事情を抱える。キリスト教民主同盟(CDU)党首であるメルツ首相は、個人的には原発再稼働に前向きだ。だが、脱原発政策は「残念だが見直さない」と明言する。連立政権を組む社会民主党(SPD)が脱原発政策を維持しており、再稼働には極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)との連携が必要となる。そんなことは、政治的にできないからだ。

首相の判断の背景には、電力業界最大手のRWEが原発再稼働に慎重姿勢であることも一因のようだ。RWEのクレバー最高経営責任者(CEO)は、原発再稼働には数年以上の準備期間と数千億円単位の投資が必要で、投資回収には20年以上が必要と指摘する。電力会社にとって再稼働は「経済的・経営的なリスクが大きすぎる」との主張だ。

再稼働に応じても、数年後に政権が変わり再び「脱原発」に戻れば、投資は「ドブに捨てた」も同然になる。そんな主張をするCEOが、姿勢を変える可能性は低そうだ。

ただ、欧州全体を見れば、ベルギーやスイス、イタリアなど原発推進に転換する国が多い。イラン戦争を機にそうした動きが加速しそうだ。

【記者通信/4月17日】豪州で深刻化する石油危機 日豪防衛相は呑気にゴルフ計画?

中東情勢が収まりを見せない中、燃料不足の懸念が絶えないオーストラリアに追い打ちをかけるような事故が起きた。豪州国内に2カ所しかない製油所の1つ、ビクトリア州のジーロング製油所で15日夜に大規模な火災が発生した。約12時間後に鎮火したものの、豪州国内の10%を供給する製油所は稼働率を低下した運転を余儀なくされており、燃料供給への不安は一層高まった。

こうした中、小泉進次郎防衛相が豪州のマールズ副首相兼国防相との会談のため、18日に豪州入りする。安全保障問題で日豪両国の結束を確認するのが目的だが、中東情勢についても意見を交わすものとみられる。だが2人は事もあろうに18日午後、会談を行うメルボルン郊外でゴルフに興じる予定を当初組んでいた。世論の反発を恐れたか、ゴルフの予定はキャンセルされたが、両国が燃料問題で緊迫している中、閣僚の緊張感のなさを露呈した格好だ。

豪州で製油所火災 「国内の燃料供給に影響」

同製油所の火災はガソリン製造設備で発生した。被害はガソリン生産ラインが中心だという。大都市メルボルンがあるビクトリア州には約50%供給しており、ボーエン気候変動・エネルギー相は16日、「国内の燃料供給に影響する」と述べた。

同製油所は火災発生後からガソリン生産は約4割減、ディーゼルおよび航空燃料は約2割減と稼働率を下げて操業している。同製油所はオーストラリア国防軍(ADF)向けに航空、海上、陸上用燃料も供給しており、国防への影響にも懸念が出ている。

運営会社ビバ・エナジーのスコット・ワイアット最高経営責任者(CEO)は複数のメディアに対し、「製油所の設備を安全に復旧させるためには作業が残っている。フル稼働に戻すのはまだ時間がかかる」と語った。

一方、アルバニージー首相は17日、火災の影響について燃料制限措置の引き上げにはつながらないとの認識を示した。

豪州では燃料が不足した場合に備え、4段階の制限措置を設けている。現在は2段階目の状態で自動車運転者らに必要な分だけ購入するように呼びかけている程度だ。アルバニージー首相は「今回の火災によって何らかの変更は生じない」と明言した。

しかしあるエネルギー企業の関係者は「供給能力の約10%が影響を受けることで、燃料不足の懸念が一層高まる。政府は高値での追加的な輸入をする可能性もあり、いったん下がった燃料価格が再び高騰することになるだろう。市場経済の論理で製油所を次々と閉鎖してきたことがここに来て大きな足かせになっている」と指摘する。

緊張感欠く2閣僚 ゴルフは急遽取りやめに

こうした状況下で、小泉防衛相とマールズ国防相が吞気にゴルフの計画を立てていたことには驚きを隠せない。

豪州では国民に燃料の買い控えを要請しているにもかかわらず、閣僚の緊張感のなさに国民の中には「crazy!(どうかしている)」とあきれる声も出ている。

日本でもナフサ不足が顕在化しており、液化天然ガス(LNG)燃料の逼迫も指摘されている。ガソリンには多額の補助金が投じられており、訪問先とはいえ閣僚としての緊張感が欠如していると批判されても反論できないだろう。折しも自民党大会で自衛官が国歌斉唱した問題が取り沙汰されている中だけに、「内閣の一員として当事者意識がなさすぎる」(政府関係者)との声が出るのも納得だ。

ゴルフの予定はこうした悪影響を危惧したのか、急遽取りやめになったが、あたかもバカンス気分で会談するという印象は拭い切れないだろう。

イラン情勢が先行き不透明で燃料問題は長期化の様相を見せている。燃料問題がさらに深刻化した時、戦火が激しくなった際にこのような軽佻浮薄な閣僚に国の安全を任せていいものか、甚だ疑問だ。

【記者通信/4月8日】米・イランが2週間停戦で合意 今こそ国を挙げて省エネ支援を

おそらく世界中の人々が胸をなでおろしたに違いない。米国とイスラエル、イランは米東部時間4月7日夜(日本時間8日朝)、2週間の停戦で合意した。報道などによれば、トランプ米大統領はSNSを通じ、イランが事実上封鎖している原油輸送の要衝ホルムズ海峡の開放を条件として停戦を受け入れたと表明。イランのアラグチ外相は、軍の調整などによってホルムズ海峡の安全な通航が2週間は可能との声明を発表した。CNNによると、イスラエルも一時停戦に合意した。

カーグ島攻撃を速報で伝えたテレビニュース。その6時間後に停戦合意が表明された

仲介役を務めるパキスタンのシャリフ首相は、「イランと米国、その同盟国などは、レバノンを含むあらゆる地域での即時停戦に合意した」と言及。停戦は即日発行した。中東を舞台に、世界的なエネルギー供給不安をもたらしたイラン戦争は、開始から1カ月以上がたって初めて米国、イランの双方が歩み寄りを見せた格好だ。パキスタンでは両国の代表団を11日に首都イスラマバードに招き、恒久的な解決に向けた本格協議を行うとみられる。

米国が設定した、イランの発電所や橋など重要インフラへの総攻撃の猶予期限が7日午後8時(日本時間8日午前9時)に迫る中、米国はトランプ大統領が発した「イランを石器時代に戻す」「今夜一つの文明が滅びる可能性がある」との警告を実行に移すかのように、イランの原油輸出の9割を担うペルシャ湾の要衝カーグ島で、エネルギー施設を除く50以上の軍事目標を攻撃し、世界中に緊張が走った。そして猶予期限まで2時間を切るギリギリのタイミングでの、急転直下の停戦合意表明だった。「日本でも大人気のアメリカの連続ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の一場面を見ているようだ」。大手都市ガス会社のOBは、こんな感想を漏らした。

イランのペゼシュキアン大統領との電話会談について会見する高市首相(首相官邸ホームページより)

高市早苗首相は8日午後4時から25分間、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談を行い、米国とイランの2週間にわたる停戦合意を歓迎する意向を示した上で、「ホルムズ海峡は世界の物流の要衝で国際公共財」との考えを強調。日本を含む全ての国の船舶について安全な航行が迅速に確保されるよう強く求めた。これに対し、ペゼシュキアン大統領はイランの立場を説明したという。両首脳は今後も意思疎通を図っていくことで一致しており、ホルムズ海峡の完全開放に向けて日本が一定の役割を果たせるか、注目される。

【SNS世論/4月7日】力を失った空想的安保論 エネルギーの熟議につながるか

「日本はダメだ」「日本人はダメだ」。こんな意見を、オールドメディアや、一部の政治勢力から、筆者は数十年の人生でさんざん聞いた。そして、こうした意見に違和感を持ってきた。

筆者は、オールドメディアにいじめられがちなエネルギー業界でさまざまな会社、立場、業界の人と働いてきた。仕事の現場で感じることは「日本の現場には、真面目で優秀な人が多い」という感銘だ。日本経済の力が衰えたという自信の喪失が社会に広がっている。確かにそうした面はある。しかし現場を見ると、その日本人労働者の質の高さは、まだかろうじて維持できているように思える。そんな人たち(もちろん他の国籍の人も含めて)の作る日本社会を筆者は信頼している。

そしてメディアや政治の場で流れる情報と、健全な日本の多数の意見や現実とかけ離れていることが多いといつも思う。特に安全保障の問題は、私が物心のついた約50年前から違和感を感じてきた。それが、この1年でようやく普通の日本人の話す世界と一致し、「正常化」しつつあるように見える。空想的安全保障論が相手にされなくなっているのだ。

昨年10月の高市早苗首相の就任、さらに2月の選挙で日本型リベラル勢力が大敗した。(私の寄稿「【SNS世論】日本型リベラルの崩壊とエネルギー政策への影響」 で解説した。)高市首相のPRポイントは、安倍晋三氏の継承を強調し、安全保障問題に強いと言うことだ。それが国民に評価され、高支持率を得ている理由の一つだ。

3月にワシントンで行われた日米首脳会談では、エネルギー問題が話し合われた。(首相官邸ウェブサイトより)

高市首相と政府は防衛力の整備に動いている。そして高市首相は憲法の改正への希望も述べた。日本の安全保障をめぐる議論は、非武装中立を定めた憲法九条の取り扱いが、1947年の日本国憲法の公布以来、ずっと論点になってきた。それが変わる可能性もある。

現実、そしてSNSが状況を動かす

一方で、空想的な安全保障を語る人は変わらない。選挙前に「戦争怖い」「#ママ戦争止めてくるわ」といった、現実離れしたコメントを大量に流していた。一般の人が呆れているのに、それに気づかない。選挙が終わった後も流し続けている。しかも観察すると、その反響がそれほど大きなうねりになっていない。

一部の政治勢力がかたくなに姿勢を変えないのは、検索システム、そしてSNSのサービスの多くにつくアルゴリズム(類推機能)の影響があるかもしれない。同種の情報しか表示されず、批判の声はエコーチェンバー(音の跳ね返る部屋、転じて同じ政治志向の人が集まると異論が聞こえなくなる現象)の中に閉じ込められていく。空想的安全保障論が国民全体の空気に影響を与える力は、もうほとんど残っていないのだろう。

これまでの空想的な安全保障論が顧みられなくなってしまったのは、なぜだろうか。おそらく誰もが、以下の2つの理由を思いつくだろう。

第一の理由は国際情勢の緊迫がある。2023年からのロシアのウクライナ侵攻、今年2026年の米軍のベネズエラとイランへの武力行使、そして現時点で北朝鮮の核開発とミサイルの威嚇、中国の軍事力増大と台湾侵略の危険が起きている。国民はもう「平和はタダでは手に入らない」ことを肌感覚で理解し、具体策、現実的な対応を求めている。

第二の理由は、情報流通の主導権がSNSに移ったことだ。今はSNSやネットを通じて、「誰でもメディアの時代」。そうした空想的安全保障論を流す人、支援するかのように報道するオールドメディアを、「おかしい」という批判が強まった。

ただし日本の人々の大半は賢明だ。イランと米国・イスラエルが武力衝突について、米国に加担しろとの強硬な意見はあるものの、そんなに広がっていない。政府も、中東への艦艇派遣には踏み切らなかった。

エネルギーと安全保障の議論は直結

エネルギーと安全保障の議論は、直結する。日本はかつて第二次世界大戦で米国など連合軍と戦争に踏み切った理由の一つは米国などによるエネルギーの遮断だった。軍事や経済とエネルギーは直結する。

ただし日本の人々の賢明さ、そして空想的安全保障論の衰退が、健全なエネルギー政策の議論に結びついていないように思える。

日本のエネルギーの政策、そして産業の目標は、2026年3月時点では、供給の確保、消費者に提供する価格の抑制であろう。具体的な論点として、原子力発電所の再稼働、中東地域からの海上交通線の安全確保が必要だ。また数年の中期で考えるべきことはエネルギーシステム改革の見直し、12兆円以上とされるエネルギー補助金の検証と見直しだ。これらの一連の問題には、政府の動きの鈍さ、また失策がある。は、SNSではおかしさを指摘する声は出ているが、強いものになっていない。

エネルギー業界は、今は問題提起のチャンスだと思う。国民が関心を持つ安全保障論に絡めて、エネルギーの産業、政策の問題点を自分たちの立場、置かれた状況を丁寧に説明する。そうすれば、賢明な日本国民は議論、そして新しいエネルギー業界との協力に動くかもしれない。人々の支援がビジネスに必要不可欠であることは、2011年の東電の福島原発事故以降の混迷で、業界に関わる人は誰もが感じたはずだ。

逆に今、政治の方が、やらないところがあるものの、積極的に動いている面もある。3月に行われた日米首脳会談で経済協力が合意された。エネルギーを中心にしたもので、米国産の原油の調達拡大、南鳥島にあるレアアースでの共同開発、小型原子炉SMRの共同開発などを合意した。高市早苗首相は、エネルギー問題について、原子力発電に詳しいなど、やる気は見える。自民党の小林孝之政調会長・元内閣府特命担当大臣(経済安全保障)も、エネルギーをめぐる国民的議論を起こしたいと主張している。

せっかく政治が、エネルギーを取り上げるのだから、エネルギー業界自らが、堂々と「日本のために」を掲げて、前向きの提案をし、議論を盛り上げてはどうだろうか。

ただし上記のアイデアを電力関係者に言ったら、「エネルギー業界、特に電力は業界の気質がおとなしい。好機を活かして社会にエネルギー問題の議論を沸き起こす。そうすれば良いというのは、その通りだと思うが、自粛と自制が重なり、結局、動けないだろう」と感想を言われた。今回のこの好機もエネルギー関係者の方が、活かせないかもしれない。

【記者通信/4月6日】特重期限の実質延長 期間見直さず疑問の声も

原子力規制委員会は4月1日、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置期限を改める方針を決めた。これまでは原発の工事計の画認可から5年以内の設置が求められていたが、起算点を「運転開始日」に変更する。変更を適用するのは現行制度で期限を迎えていない発電所に限られ、「5年」という期間の見直しはなかった。

柏崎刈羽7号機は特重施設の「設置期限切れ」で運転できない状態が続く

4月16日に営業運転に入る予定の柏崎刈羽6号機は、設置期限が約1年8カ月伸びて2031年4月となる。一方、7号機はすでに従来の経過措置期間を過ぎているため、見直しの対象外だ。ほかのプラントでは、女川2号機は約3年、島根2号機は約1年4カ月の延長、東海第二は対象外となっている。

特重施設は13年の新規制基準導入時に5年間の経過措置が設けられ、その後16年に起算点が変更されたものの、猶予期間自体は5年のまま維持されてきた。昨年10月、原子力エネルギー協議会(ATENA)は猶予期間の3年延長を規制委に提案していたが、起算点の変更にとどまった。

今回の判断について規制委の山中伸介委員長は「単なる期限延長ではなく、これまでの運用実績を踏まえ、規制の実効性を確保するための見直しだ」と説明した。過去10年間の実績では、12基中11基が従来の期限を守れず、実際には6年以上かかっていた。山中氏は、現場の状況と乖離した規制は機能しないとの認識を示し、制度の現実性を高める狙いがあると強調した。

「一律5年」の見直しを求める声

規制委側はルールの「適正化」を主張するが、疑問が残る。特重施設を巡る事情はサイトごとに大きく異なり、例えば美浜原発は津波リスクこそ小さいが敷地が狭い。一方で、柏崎刈羽は広大な敷地を持つ。女川のように背後が山に囲まれているサイトもある。土壌も違えば、近くにゼネコンがあるかどうかでも状況は変わる。こうした点から、エネルギー政策に精通する野党議員は「一律で5年という考え方を見直してほしい」と主張する。柏崎刈羽7号機や東海第二など、経過措置期間が終了したプラントが対象外になったことについては「違和感が残る」と語った。

エネルギー有事下で原発の早期再稼働を求める声は高まっている。「火力発電の燃料途絶などで存立危機事態が認定された場合、『国内の原発を全て動かす』といった有事対応も検討すべきではないか」(別の野党議員)との意見も聞こえてきた。特重施設の早期設置を目指すのは事業者の責務とはいえ、「完成しない状態での運転に安全上の問題はない」(山中氏)。「特重施設が完成していないから運転できない、運転を停止せざるを得ない」という状況では日本を強く、豊かにできないのではないか……。

【時流潮流/4月3日】トランプ米大統領の演説を読む イラン戦争の早期終結に傾くか

イラン戦争が開戦から2カ月目に入った4月1日夜(日本時間2日午前)、トランプ米大統領はホワイトハウスから国民向けに演説した。今後2~3週間、激しい攻撃を続けるとしながらも「中核的な戦略目標が完了に近づいている」と述べ、戦争を早期終結させる考えもにじませた。

中東に向け太平洋を航行中の米強襲揚陸艦「ボクサー」から発艦訓練をするF35B戦闘機。「ボクサー」は、地上侵攻用の兵員や兵器を積む=米国防総省提供

米イスラエル連合軍は、イランの海軍や空軍に大きな打撃を与え、開戦初日に最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害するなど軍事面では優位にある。だが、イランがホルムズ海峡閉鎖に成功したことでエネルギー価格が急騰、株価下落も続くなど政治的には追い込まれた形にある。

局面打開を図ろうと、トランプ米政権は外交交渉で和平を模索する一方、イランの石油輸出拠点のカーグ島侵攻の可能性を口にするなど硬軟両様の構えを見せた。だが、戦争長期化や犠牲者増につながる地上侵攻は、米議会や世論の反発が強く実行が難しい。そこで浮上した窮余の策は、開戦時に掲げた目標を「達成済み」だと強弁する作戦。これなら一方的な停戦宣言をしても、不自然ではない。そうした環境を作ろうとしていると映る。

例えば、政権交代の実現という目標だ。ハメネイ師の死を受けて、父よりも対米強硬路線をとる息子のモジタバ師が後任に就いた。だが、トランプ氏は「以前の政権より過激さがなく、はるかに理性的だ」と、誰もが耳を疑うような主張を展開した。

イランの核武装阻止を目的に、中部イスファハンにある高濃縮ウランの保管施設に地上部隊の派遣も検討してきた。だが、これも見送るようだ。

昨年6月に米軍の「美しいB2爆撃機」が、ウラン濃縮施設を空爆し、核開発計画をすでに「破壊した」というのが理由だ。保管施設は監視を続け、怪しい動きがあり次第ミサイル攻撃する構えを示した。

ホルムズ海峡の再開問題については、米国は関与する気などさらさらないと打ち明けた。米国は世界最大の石油・天然ガス産出国であり「ホルムズ経由のものなど必要ない」からだ。

中東産の原油や天然ガスを調達した諸国には、米国産原油やガスの購入を勧め、海峡再開を望むなら自力での解決を求めた。自らまいた種を放置し知らんぶりする姿勢は、米国の都合を最優先する「米国第一主義」の真骨頂と言えるかもしれない。

トランプ氏が、戦争の早期終結に傾いた背景を探ると、さまざまな理由が浮上する。

【TACO説】

ひとつは、「肝心な時になると、いつもひるむ」(TACO)大統領自身の性格だ。ホルムズ海峡の閉鎖を続けるなら、発電所などのインフラに総攻撃をかけるとイランを脅したが、これまで実施期限を2度延期している。米国のガソリン価格が3月31日、「レッドゾーン」とされる1ガロン=4ドル台にまで値上がりしたことも一因かもしれない。11月には中間選挙が控えており、トランプ氏の「弱気の虫」が騒ぎ出した可能性もある。

【態勢整わず】

上陸作戦実施には、兵員を送り込む強襲揚陸艦の存在が不可欠となる。すでに2隻の派遣を手配し、佐世保を母港とする1隻が3月27日に中東海域に入った。だが、米西海岸から出航したもう1隻の到着は4月中旬と見込まれている。

開戦当初から参加していた空母「ジェラルド・フォード」の戦線離脱で、空母が1隻に減ったことも痛い。洗濯室で火災が発生、ギリシャでの緊急修理を終えたものの、復帰にはまだ時間がかかりそうだ。

【作戦効果に疑問】

トランプ氏は先月末、カーグ島を「占領するかもしれない」と語った。ただ、カーグ島とホルムズ海峡は600㎞の距離があり、占領しても、海峡再開につながる保証はない。

高濃縮ウラン保管施設への攻撃は、数千人規模の要員と数カ月の時間が必要な上、「米軍史上、最も危険な作戦になる」との分析がある。政治的に難しい面がある。

とはいえ、トランプ氏の発言内容は開戦以来、二転三転している。いったんは早期停戦に傾いたが、強硬路線に切り替わる可能性も捨てきれない。トランプ氏の動きは読みにくい。まだまだ、気の抜けない日々が続きそうだ。

【記者通信/4月2日】むつ中間貯蔵への搬入ストップ 再処理工場遅延で宮下知事表明

青森県の宮下宗一郎知事は3月31日、原子力発電所から出る使用済み燃料の中間貯蔵施設(青森県むつ市)への新規搬入について、2026年度は容認しないと表明した。同県六ヶ所村の再処理工場の26年度中の竣工が「確実に遅れる」として、「なし崩し的に燃料だけが搬入される環境をつくるわけにはいかない」との考えを示した。

青森県の宮下知事

むつ中間貯蔵施設は24年に操業を開始した。県や市、事業者との安全協定では貯蔵期間は50年となっている。宮下氏が懸念するのは、長期間にわたって中間貯蔵施設に使用済み燃料がとどまることだ。操業前には国に働きかけ、25年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画に「中間貯蔵施設等に貯蔵された使用済燃料は六ヶ所再処理工場へ搬出する」と明記された。

同施設を巡っては運営会社に出資する東京電力と日本原子力発電が昨年末、他事業者との連携を検討する意向を青森県とむつ市に伝えた。他社分の使用済み燃料の受け入れが念頭にある。今年3月13日にはむつ市議会が、他社分受け入れの検討を求める経済団体からの請願を賛成多数で採択した。宮下氏は31日の会見で、搬入容認の見送りとは「関係のない話」と強調した。

原燃だけが悪いのか? 柏崎刈羽の輸送に影響も

26年度には柏崎刈羽原発5、6号機から約60tの使用済み燃料を輸送する計画がある。来年度以降も宮下氏の拒否姿勢が続けば、88%という6号機の使用済み燃料プールの貯蔵率は下がらず、さらなる号機間輸送などの対応を取らざるを得ない。27年度を予定する東海第二、敦賀両原発からの輸送にも黄信号が灯る。

停滞を打破するには再処理工場の竣工・安定操業の実現が唯一無二の解決策だが、日本原燃による原子力規制委員会への工事計画の説明は遅れている。宮下氏が言及したように、目標とする「26年度中の竣工」が間に合わない可能性が出てきた。目標の延期が常態化していることについては、原燃側に落ち度があるのか、規制委側に問題があるのか、人によって見方が異なる。宮下氏は、延期は「会社自身を貶めていることだとより強く自覚してほしい」と事業者に対して厳しい見方を示した。

ただ、本誌昨年7月号のインタビューでは「青森県として安全確保を第一義に、地域振興や雇用に寄与することを前提として協力していきます」と述べるなど、原子力政策に協力的なのは確かだ。まずは竣工に向けて、原燃にはもうひと踏ん張りが求められる。

【目安箱/3月31日】原子力の世論調査 否定的意見を減らす方法とは

日本原子力文化財団(原文財)は3月に、「原子力に関する世論調査・2025年版」を公開した。「今後日本は原子力発電をどのように利用していけばよいと思いますか」との問いに、肯定的意見が42.0%、否定的意見が35.0%となった。肯定的意見は2018年以降、おおむね横ばいの一方、否定的イメージは2017年度以降、低下傾向が続いている。そこで、この傾向をより鮮明にする方策を考えてみた。

◆国民感情を把握できる19回の継続調査

この調査は2025年10月に全国の15~79歳の男女1200人を対象に実施された。2006年度から同一手法で継続している全国規模の調査で、今回は19回目になる。原子力や放射線に対するイメージ、関心、情報保有量、信頼、再稼働や利用に対する考え方など多岐にわたる項目で構成されている。世論の変化を見られることから、原子力関係者に注目されてきた。

上記の質問では「使っていく」「どちらかといえば使っていく」を肯定的意見、「やめていく」「どちらかといえばやめていく」を否定的意見としている。「わからない」は22.6%だった。これは今年から新設の質問だが、17年ごろから原子力をめぐるイメージでは改善の傾向があった。

また意見の内訳を見ると、男性で肯定的意見が多く、女性では否定的意見が多い傾向だった。年齢別では25~44歳の現役世代で肯定的意見が比較的高い一方、24歳以下の若い世代では「わからない」とする回答が目立った。原子力に関する情報保有量が多い層ほど肯定的意見が多く、保有量が少ない層では「わからない」とする割合が高い傾向が確認された。情報量の差が原子力に対する感情の形成に影響を与えていた。

原子力に対する否定的なイメージ(複数回答)では、「危険」が52.9%、「不安」42.6%など高いものの、2017年ごろから低下が続いており、また現在は福島原発事故の前の水準よりやや低くなっている。

◆身近な問題がエネルギー・原子力への意見を左右

またこの調査では、エネルギーを巡る人々の関心の傾向も対象にしている。同調査によると、25年度に、最も関心が高かった原子力・エネルギー関連ニュースは「地球温暖化」で、70.3%となった。「電気料金の値上げ」(56.4%)、「自然災害による停電」(53.9%)、「電力不足」(48.3%)が続いた。

一方、原子力業界に関する個別テーマへの関心は低く、「女川原子力発電所の再稼働」が13.9%、「AI普及に伴う電力需要増加」が11.4%、「原子力発電所のリプレース」が10.8%、「第7次エネルギー基本計画」が4.5%だった。

原子力に否定的な意見を持つ人ほど、災害や防災対策の不安、放射性廃棄物、福島第一原子力発電所の廃炉問題の批判に関心を向けた。暮らしに直接的に影響する問題、また事故への恐怖感が原子力への態度に影響を与えている。

エネルギーの情報収集では、テレビのニュース番組から得るという人が最も多かった。どの年齢層も半数以上で、65歳以上は82.1%だった。ところが24歳以下では53.5%と低下。さらに新聞、テレビ情報番組の影響力は若い世代ほど低下している。また検索サイト上のニュース、SNSによる情報収集も増えている。

高レベル放射性廃棄物問題では、全体の38.7%が「私たちの世代で処分しなければならない」と答え、「私たちの世代で考えなくてもよい」と答えた5.3%を大きく上回った。一方で、処分施設が自分の住む地域や近隣に計画されても「反対しないと思う」という人は9.2%にとどまり、「反対すると思う」は42.1%となった。問題解決の難しさがうかがえた。