東京電力柏崎刈羽原子力発電所(KK)6号機の再稼働の是非について、新潟県の花角英世知事が11月21日にも判断するとみられる中、朝日新聞が18日付朝刊で〈東電の再稼働 分断を招く判断 避けよ〉と題する社説を掲載した。立地地域の柏崎市、刈羽村を中心に、ようやく再稼働への地合いが整いつつある状況下で、むしろ県民の分断を煽るような論調に対し、エネルギー業界からは朝日の見識を問う声が聞こえている。

〈東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、新潟県が県民の意識調査の結果をすべて発表した。容認する意見と反対意見は拮抗し、県民の意思はほぼ二分されている。調査結果も踏まえて再稼働の是非を判断するとしてきた花角英世知事は「早い段階で結論を出す」構えだが、地域住民の分断を招くおそれのある判断は避けるべきだ〉
社説はこんな書き出しで始まり、〈(再稼働すべきではないと考える人が4割超という)こうした民意を踏まえれば、知事が現段階で是非を判断するのには、無理がある〉〈東電に対する県民の不信感が払拭されていないことは、明らかだ〉〈今なすべきは、経済的利益と引き換えに地元の同意を取り付けることではない〉などと続け、〈国も自ら対処すべき根本的な課題の先送りを続け、県民の不安を置き去りにしたまま新潟県に判断を急がせるべきではない。福島第一原発事故を起こした東電による原発再稼働の判断は、重い意味を持つ。地元の知事に重責を負わせるのは理不尽だ〉と結んでいる。
国民世論を代表する大新聞の社説としては、率直に言って残念な内容だ。
不信感を煽る左派系メディア 安全・不正対策を詳細に報じたか
まず指摘したいのは、県民の意思がほぼ二分されている状況下で再稼働の是非を判断すれば分断を招くため、今は判断するなという主張だ。これはおかしい。KK再稼働は、首都圏で14年以上も続いている原発ゼロ状態に区切りを付け、電力の供給力の向上と供給コストの低廉化に寄与し、さらにはカーボンニュートラル・電力大消費時代に向けて原発再稼働に弾みを付ける重要なイベントになる。県民意識調査の結果を理由に判断はダメというのは、全国紙の社説としては「木を見て森を見ず」だ。
加えて、いつ判断すればいいのか、判断するためにはどんな条件が必要なのかなど、再稼働の実現に向けた提言は一切書かれていない。「脱原発」という同紙の論調に誘導しようとする意図が見え見えだ。東電への不信感が払拭されていないとしているが、14年も前の福島第一原発事故を引き合いに出す限り、安全対策工事の詳細な内容などを知らない多くの県民が、漠然とした不安や不信感を抱くのは当然のことだろう。それをもって民意とし、再稼働の判断は時期尚早と言い切るのは、見識あるメディアの論調としていかがなものか。そもそも、その不信感を煽っているのは、大手紙や地元紙などの左派系メディアといえよう。
確かに、KKではIDカードの不正使用や侵入検知装置の故障などテロ対策の不備が相次いで発覚したが、その都度、東電側は再発防止対策を講じてきた。しかし、左派系メディアでその対策の中身を調査・分析した記事は少ない。問題が起きた時だけ大々的に報道するのではなく、その後フォローが重要であるにもかかわらずだ。「こと原発問題では、左寄りのマスコミこそ、分断を引き起こしている張本人ではないか」(大手新電力幹部)。エネルギー業界のあちらこちらで、そんな声が聞こえてくる。
現地視察に行けば分かるが、地震や津波、その他事故などを想定した原発そのものの安全性については、二重、三重、四重の対策が講じられている。11月14日にKKを訪れた花角知事は視察後に、「非常に意識が高い状況にあると肌で感じた。セキュリティーは格段に厳しくなった」と評価した。われわれ業界専門誌の立場でも、現地取材後に「この点が不十分で改善の余地がある」「この部分の安全対策がまだ十分でないから再稼働は難しい」などと、具体的な問題点を指摘するのは難しいほどである。
理想的には、県民一人ひとりがKKに足を運び、現場の責任者に直接質問し、ていねいな説明を受ければ、大方の不安や不信感は解消されるはずだ。もちろん現実的に、そんなことができるはずもない。だからこそ、大手メディアが代表してKKの対策状況をつぶさに取材し、詳細かつ冷静に伝えていく必要がある。県民に安心感を与えるのも、メディアの重要な役割なのだ。この点を忘れてはならない。





















