ホルムズ海峡封鎖危機に伴う原油価格急騰を受け、日本政府と国際エネルギー機関(IEA)が3月11日夜、矢継ぎ早に対策を打ち出した。政府は、上昇するガソリン価格を全国平均で170円程度に抑えるため、石油元売り各社への価格補助による激変緩和措置を復活させる。併せて、原油の供給の減少に対処するため、石油備蓄を16日にも放出する。また、IEAは加盟国が過去最大規模となる計4億バレルの石油備蓄を協調放出することで合意したと発表した。

高市早苗首相は11日の会見で、ガソリン価格について、「1ℓ当たり200円を超える水準となる可能性は否めない」と懸念を示した上で、ガソリンの小売価格を全国平均で170円程度に抑制すると表明した。170円程度を超えた部分については補助を行い、軽油や重油、灯油に関しても同様の措置を講じる。元売り会社による卸値の大幅引き上げを受け、12日現在、ガソリン価格が170円を超えるガソリンスタンドが全国で続出している。経済産業省では、来週19日から元売り各社に対して補助金の支給を始める方針だ。
原油の輸入については、IEAの決定に先駆けて16日にも石油備蓄の放出することを表明した。ホルムズ海峡が封鎖される前に通過したタンカーが到着する20日以降は、原油の供給が大幅に減少する見通しで、供給の停滞に対処する。放出の内訳は、民間備蓄を15日分、国家備蓄を1カ月分としている。日本には254日分の石油備蓄があり、放出を決定した約45日分はその2割程度に当たる。
その後、IEAは石油備蓄を協調放出することを全会一致で合意したと発表した。放出量は4億バレルで、過去最大規模となる。協調放出は加盟国ごとの状況に応じて市場に提供される。イランによるホルムズ海峡が事実上封鎖される中、原油価格の高騰に対処する。発表によると、米・イスラエルによるイラン攻撃が発生してから、ホルムズ海峡を通る原油や石油製品の輸出量は10%未満にまで落ち込んでいるという。協調放出が実施されれば、ロシアがウクライナに侵攻した2022年以来4年ぶりとなる。

加盟各国はIEAの協調放出の要請に応じる動きを見せている。韓国は2246万バレルを放出するとし、時期についてはIEAと協議する方針。このほか、ドイツは約1800万バレル、フランスが1450万バレル、イギリスは1350万バレルを放出する。
各国が原油価格高騰の抑制に動き出した格好だが、市場の反応は芳しくはなく、足元の原油先物価格は12日には1バレル90ドルを超え上昇傾向にある。トレーディングエコノミストによると、イランは米国やイスラエルが自国を攻撃しないことを停戦の条件として提示したものの、米国が受け入れる可能性は低く、短期的な解決の見通しは暗いという。戦争の長期化が懸念される中、有事のドル買いなどで円安も進行し、1ドル159円まで下落。原油高と円安が共振して輸入コストが上がれば、燃料油価格のさらなる上昇につながる。政府は燃料油補助を復活させる方針を決めたが、根本的な問題解決には至っていない。今後、新たな対策を打ち出せるか注目される。
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