7月1日に経済産業政策局長に就任した畠山陽二郎氏が28日、専門紙記者団とのインタビューに応じた。GXやDXの進展による将来的な電力需要増が見込まれる中、「電力供給の制約が日本経済全体の足かせになることは、決してあってはならない」と述べ、経済成長に備えるためにも供給力確保に万全を期すことの重要性を強調した。
将来の電力需要増については懐疑的な見方もあるが、伸びない想定で供給側が準備を怠れば「本来、電力さえあれば成長できるはずの場面を、みすみす逃すことになる」との懸念から、供給側の経済合理性のみに判断を委ね過少投資を招かない仕組みが必要との認識を示した。また、国際競争力の観点からは「CO2フリー電源の有無が国内投資を呼び込む決定的な差となる」ことから、ファイナンスを後押しする政策措置を講じる意向だ。

一方で、米トランプ政権が脱炭素政策の転換を進める状況にあっても、世界的な脱炭素の機運は後退しないと見る。米国を含め欧州やアジアの企業は取り組みを継続しており、脱炭素技術の導入によって競争力を獲得していくという課題に変わりはなく「カーボンニュートラル(CN)に背を向ける動きがあったとしても、それはむしろチャンスと言える」と語った。
CNに向けた技術を早期に習得し収益事業化することは、引き続き国際競争の中心的な課題と位置付け、成長志向型カーボンプライシング構想を通じ、脱炭素と経済成長の両立を図る取り組みを推進していく構えだ。