【特集2】水深40m以上でも調査可能 着床式基礎に対応できる調査方法

2023年1月3日

【中央開発】

中央開発(東京都新宿区、田中誠社長)は、1946年の創立以来、77年にわたり「人と土と水」をテーマに、多くのインフラ整備に貢献してきた建設総合コンサルタントである。創業初期には、標準貫入試験(SPT)、ウェルポイント工法、シンウォールサンプラーを日本で初めて実用化するなど、地盤コンサルタントとしてパイオニア的存在である。また、同社は水深50mまでの大水深域に対応できるボーリング工法「傾動自在型試錐工法」を保有しており、東京湾アクアライン、下田港沖防波堤などに代表される大水深の海域における地盤調査の実績も数多く有している。

洋上風力発電プロジェクトでは、事業想定海域における地質構造や工学的性質を把握し、地盤・基礎に関するリスクを適切に評価し事業に反映していく必要がある。日本列島沿岸部の地盤は数万年前からの海面変動や浸食などにより形成されたと考えられており、現在の海底面から深さ100m程度までは複雑な層相を呈する場所も多く存在すると考えられる。このため、わが国における地盤調査にはボーリング調査は必須であり、特にコスト的に有利な着床式基礎の限界水深50~60m程度までに対応したボーリング調査が必要とされる。しかし、洋上地盤調査において一般的な鋼製やぐらの適用水深は最大でも35m程度であり、現時点において水深40mを超える海域では地盤調査の空白域となっていると言っても過言ではない。

同社が保有する傾動自在型試錐工法は、このような空白域に対応できる数少ないボーリング手法である。

傾動自在型試錐工法は水深約50mまで対応できる

掘直しのタイムロスを回避 効率的で安全な調査に貢献

また、鋼製やぐらに代表される一般的な海上足場を用いたボーリング調査では、荒天時に退避を余儀なくされ再度堀直しになるが、同工法では、足場ではなく独立式ガイドパイプを用いる構造的特徴から、堀直しによるタイムロスを避けることが可能という利点がある。洋上風力事業における傾動自在型試錐工法の実績は確実に増えてきており、この経験を生かしつつ改良を進め、より効率的かつ安全な海上地盤調査に対応していく予定である。さらに、同社は川崎地質と業務提携しており、両社の得意分野を生かして洋上風力発電プロジェクトの地盤調査に最適なソリューションを提供していく方針である。