【特集2】世界初となる2ノズル同時充填 高速化で大型車両の普及に貢献

2023年3月3日

【タツノ】

タツノは、大型FCトラックなどの大型・商用モビリティ(HDV)への高速水素充填に対応した新型ディスペンサー「LUMINOUS H2」(ルミナスH2)を開発した。

運輸業界では脱炭素化に向け、EVトラックよりも燃料供給速度が早く航続距離に優位性のあるHDVが待望されている。普及には、水素の高速充填が必須だ。現在主流のノーマルフロー(NF)のディスペンサーは、トヨタ自動車の「MIRAI」などFCV(燃料電池自動車)への充填は水素5㎏を約3分で完了する。しかしNFの流速では、HDVに必要な80㎏の充填に約50分かかる計算になる。

タツノは水素インフラ業界や自動車メーカーに、流速をミドルフロー(MF)にして、ノズルを2本同時に使うことを提案。ノズルやコリオリ流量計、緊急離脱カップリングなどを高速充填用に自社開発した。こうしてルミナスH2が誕生。80㎏を約10分という充填時間が実現した。

1台に2ノズル同時充填は世界初の技術だ

現在、福島県浪江町の「福島水素充填技術研究センター」では、ルミナスH2を使用して大流量水素の充填・計量技術に関する試験などを行っている。2023年度には普及に向けて実証試験を本格的に開始する。HDVへの充填試験も計画中だ。

国内の自動車メーカーなどが中心となって、HDVの充填口を2口にするよう世界に働きかけており、ISOでは国際標準化の検討が始まっている。

取り扱いやすさを重視 汎用性高めコストを抑える

タツノは北米向けに、NFでFCV2台の同時充填が可能なディスペンサーを提供している。海外ではハイフロー(HF)での充填が高い支持を得ていることから、HFの開発も行う。ただ、HFのノズルは口径が大きく重量も重くなり、取り扱いが容易ではない。

水素事業部の木村潔部長代理は「HDV全般への貢献を目指しHFの開発に取り組んでいるが、利便性も重要なポイント。MFのノズルはNFより内部の口径が少し大きくなった程度で、見た目も重さもほとんど同じ」と説明する。

MFノズル(左)とNFノズル

汎用性も重視した。ルミナスH2は、ノズルを充填口に差し込むと自動で車両タンクの大きさを判別。FCVにはNFに切り替わり充填する。FCVとHDVに対応できるため、水素ステーションへの導入コストを抑えられる。また、非防爆カウンターでセルフ式にも対応可能だ。

小嶋務水素事業部長は「車両への燃料供給にとどまらず、さまざまな水素の利活用やインフラサービスに、これまで培ってきた技術力やノウハウで貢献していきたい」と話している。