【北海道電力 齋藤社長】「ほくでん力」を発揮し変化に応じ新価値を創出 持続可能な会社運営へ

2023年12月1日

カーボンニュートラルへの取り組みをはじめ、電力システムの制度見直しが進むなど、事業の不確実性が高まる中、社長に就任した。

環境変化に対応できるよう事業基盤を強化、地域に必要とされ続ける企業を目指す。

【インタビュー:齋藤 晋/北海道電力社長】

さいとう・すすむ 1983年北見工業大学工学部卒、北海道電力入社。2015年苫東厚真発電所長19年常務執行役員火力部長、21年取締役常務執行役員火力部・カイゼン推進室・情報通信部担当などを経て23年6月から現職。

志賀 まずは社長就任に当たっての抱負をお聞かせください。

齋藤 2050年カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みをはじめ、電力システムに関する各種制度の見直しが進んでおり、当社を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。一方で、責任を持って北海道の「電力の安定供給を維持する」という当社の使命が変わることはありません。こうした使命や、当社の経営理念である「人間尊重」「地域への寄与」「効率的経営」は、経営判断をしていく上での大きな拠り所ですが、私はさらに、大切にするべき三つの要素があると考えています。

一つ目は、お客さまや社会に真に必要とされる企業であることです。当社が北海道に拠点を置かせていただくことへの御恩を、企業活動を通して地域の皆さまにお返ししていきたいと考えています。二つ目は、変化スピードが速く、先を読み取ることが困難に近い事業環境でも、しっかりと立っていられる足腰の強い企業であることです。従来の延長線上の業務だけを行っていては、待ち受けるのは衰退だという強い危機感があります。発想力を豊かにし、時代の先を読んで、どのような環境変化にもしっかりと対応できるよう事業基盤を強化していきます。三つ目は、イノベーションを率先して取り入れ、時には発信し、事業環境の変化を糧として持続的に発展できる企業であることです。これまで電気事業で培ってきた技術やノウハウを「ほくでん力」として発揮していくことで、変化の時代に合った新たな価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらすことができ、同時に持続可能な会社運営につながるものと信じています。


20日間泊まり込み 苫東厚真の復旧を指揮

志賀 いつどなたから社長就任の打診がありましたか。

齋藤 3月の初めに藤井裕社長(現会長)から話があったのですが、自分でよいのかと正直大変驚きました。自らのこれまでを振り返るとともに、経営環境を踏まえた上で私がこの重責を担うべきなのだと考えを整理するまでに1週間ほどかかりました。

志賀 1983年に北見工業大学工学部を卒業されたとのことですが、北海道電力に入社した理由は?

齋藤 北海道が大好きでこの自然を守りたいという思いから、大学では環境工学を専攻していました。その中で、実験設備に模擬のボイラーがあり、ボイラー効率や環境測定を学ぶ中で大型のエネルギー設備に興味を持ちました。こうした背景から、北海道で発電所を持つ当社を選んだので、配属が火力部門になった時はかなりうれしかったですね。

志賀 苫東厚真発電所の所長を務めていた18年9月6日、胆振東部地震に伴うブラックアウト(全域停電)を経験されました。

齋藤 発生時は発電所から20㎞離れた社宅にいたのですが、建物が潰れるのではないかと思うほど激しい揺れでした。9月は電力需要が少なく、系統に相当の影響があるだろうと即座に思いましたし、所員の安否への懸念も含めていろいろな思いが一度に駆け巡ったことを記憶しています。地震直後は発電機が1台動いていたのですが、駆け付けた時には全てが停止していました。

志賀 その時の現場のトップとしての心構えはどのようなものだったのでしょうか。

齋藤 早期復旧するため、工程会議を1日2回実施し、私自身、発電機3台が復旧するまで20日間、発電所に泊まり込みで指揮に当たりました。落ち着いて客観的に判断し、方針を決めたら次の状況が明らかになるまでそれを貫きました。ただし、やってみて駄目だった時は最初に決めたことにこだわらず、即座に変更を決断しました。客観的なデータを基に状況を把握して指示をしたことで、所員には共通認識を持った上で一生懸命復旧に向けて取り組んでもらえたと思っています。

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