【九州電力 池辺社長】電力供給の安定化と低・脱炭素化を進め 九州の発展に貢献する

2024年1月1日

2023年度の連結業績は22年度の赤字から一転、過去最大の黒字を確保できる見通し。

将来の電力需要の不透明性や人材不足への懸念が高まる中、持続的な成長へ手を緩めずに、DXやAIによる経営改革に取り組む。

【インタビュー:池辺 和弘/九州電力社長】

いけべ・かずひろ 1981年東京大学法学部卒、九州電力入社。2017年取締役常務執行役員コーポレート戦略部門長、18年6月から代表取締役社長執行役員。20年3月から電気事業連合会会長を兼務。

志賀 2024年も激動の年となりそうですが、経営者としてどのような心構えで臨みますか。

池辺 私もよく、今は変革の時代だから状況が大きく動いているなどと発言するのですが、実際には世の中はいつでも大きく動いているし、いつでも予期せぬことが起こる可能性があります。予見できるリスクに対して備えることは当然のことで、予見できないリスクにいかに対応するかが経営者として非常に重要です。24年も電気事業にとって予期せぬことが起こることは大いにあり得ますが、業界全体に関して言えば、原子力の再稼働が順調に進むことで、安定供給体制が強化され、電力価格上昇への耐性が付き、リスクをある程度低減できると期待しています。


業績のV字回復へ 原子力4基体制が貢献

志賀 23年度第2四半期の連結業績が黒字転換し、通期見通しも上方修正しました。原子力の役割は確かに大きいですね。

池辺 23年度第2四半期の業績については、赤字であった前年同期から大幅に改善し、経常利益1995億円へと黒字転換することができました。通期業績見通しについても、総販売電力量の減少はあるものの、燃料価格の下落による燃料費調整の期ずれ差益拡大や、卸電力市場価格の下落による購入電力料の減少などにより、 前回(23年4月)公表値を上回る1700億円程度となる見通しです。 22年度は非常に収支が悪く「23年度はV字回復を果たす」と言い続けてきましたが、それを十分に達成できそうです。この好転は、燃料価格の下落により、燃料費調整の期ずれ影響が前年の差損から差益に転じたことも要因の一つではありますが、原子力を4基体制に復帰できたことが大きく寄与しているものと考えています。

五井火力発電所(千葉県市原市)の空撮写真

原子力をこれから再稼働しようとすると、資材価格や人件費、金利の上昇が見込まれる中で安全対策費が大きく積み上がりかねません。当社は大変良いタイミングで再稼働できました。原子力に限らず、設備の安全・安定運転のために日々努めている社員の皆さんには、非常に感謝しています。また、社員に限らず、グループ会社や取引先の方々を含め、いろいろな知恵を出して業務効率化に取り組んでくれた皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。引き続き、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢による燃料価格などへの影響は不透明な状況です。原子力の安全運転をはじめとした電力の安定供給や、経営全般にわたる効率化の取り組みなどにより、毀損した財務の早期健全化に努めていきます。

志賀 経営の効率化に向け、デジタルトランスフォーメ―ション(DX)投資に力を入れています。

池辺 22年度にDX推進本部を設置し、企業変革に向けた「九電グループDXビジョン」を制定するなど、DXの推進体制を整えてきました。九州で企業立地が進む中、非常に心配されるのが、将来の人手不足です。これからも少子高齢化は続くのですから、DXを推進し働き方や業務プロセスを抜本的に変えることで、生産性の向上を図ることは欠かせません。DXやAIに早めに投資することで、より早くその効果を経営に反映できるようにしていきたいと考えています。

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