【特集2】電力小売事業への第一歩 自社拠点への供給で知見蓄積
2024年11月3日
【岡山ガス】
岡山ガスは1月、電力小売事業の登録申請を行った。電力・ガス小売りの全面自由化によって、需要家はエネルギー事業者を選択できるようになった。加えて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた低・脱炭素化の推進、世界情勢の不安、物価上昇など、事業環境はこの約10年で目まぐるしく変化した。
そうした中、同社経営企画室の藤原勝博室長は「地元・岡山にエネルギーを供給するのが当社の役割。給湯や煮炊きに利用するエネルギーはガスも電気も当社が手掛けてお客さまに供給できるようにしたい。電力小売事業者登録はそうした取り組みの第一歩」と語る。まずは、自社事業所やグループ会社、社宅への電力供給から開始し、事業運営のノウハウを蓄積する。
例えば、都市ガス事業で使用するCIS(顧客管理システム)は、電力事業に転用できない。そこで、電気料金の請求をどのように行うかなど、業務に関わる内容を検証する。実際に需要家に提供するのは、来年以降になる予定。手掛けるのは特高、高圧、低圧の全部門で、電源は相対契約と市場調達で賄う。
このほか、これまで産業部門の顧客のみ扱ってきた太陽光PPA(電力購入契約)を、家庭部門にも展開する。電気もガスも機器・設備から提供する事業形態を目指す構えだ。