【特集2】新たな通勤スタイルを検証 CO2量削減にもつなげる

2025年1月3日

距離に応じポイント付与 車両の順番を決める仕組み

今回のシステムの特徴は三つだ。一つ目が「ポイント制度」の導入。通勤用EV車両ではフル充電が必要な場合は少ないが、従来のEV充電器は満タンになるまで充電し続けるため、企業にとっては従業員に支給する通勤費以上のコストが発生してしまう。そこで各従業員が通勤距離に応じて付与されたポイントをもとに充電する仕組みを導入することにした。

二つ目が「充放電制御」。具体的には、工場全体の契約電力や目標電力を維持するために受電電力に応じて自動で充放電の制御を行うもので、受電電力が低ければ充電し高ければ放電するという設計となっている。さらに放電の上限値として「保障充電量」を設けることで、従業員の通勤に必要な最低限の電力は確保したまま放電することが可能になった。

三つ目が「順番充放電」だ。機器への接続順にかかわらず、EVの充電残量(余力)をもとに充放電する車両の順番を決定する機能で、余力が少ないものから充電し、多いものから放電する。これにより充電されない車両の発生を防ぐなど、充電残量の平等性を実現した。

実証実験では専用のアプリを導入し、従業員がスムーズにEV車両の充電を行える体制を整えた。加えて、運用管理の軽減や各種レポートの自動作成を実現するなど、現場の担当者が扱いやすい仕様になっている。

「課題は出力制御率の低減。出力制御エリアが全国に拡大する中、現状のまま再エネ導入が進めば、さらなる余剰電力が発生し、出力制御率は増加の一途をたどることになる」と武智氏。
共同実証はこうした課題を踏まえながら、25年1月末まで実施する計画だ。両社は、引き続きシステムの最適化を進めていく構え。25年度早期の販売を目指す両社の挑戦に注目が集まりそうだ。

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