【特集2】都がカーボン半減へ施策推進 住宅向け対策のサポートに力

2025年1月3日

脱炭素支援の一環で蓄電池の導入を後押ししている。
電気代の節約や防災にもつながる都の支援策に迫った。

【インタビュー】東條 左絵子(東京都環境局気候変動対策部家庭エネルギー対策課長)

―都は2050年にCO2排出実質ゼロに貢献すると宣言し、「カーボンハーフ」という目標を掲げました。その一環で、家庭向けの施策を強化しています。

東條 カーボンハーフは、2030年までに温暖化ガス排出量を50%削減(2000年比)することを目指す取り組みです。その実現に向けて喫緊の課題となっているのが、都内全体のCO2排出量の約3割を占める家庭部門の排出量の削減です。産業部門や運輸部門のCO2排出量が減少傾向にあるのに対して、家庭部門では22年度の排出量が2000年度比で2割以上増加していました。こうした中、家庭における太陽光発電由来の電気の自家消費量の増大や非常時のエネルギー自立性の向上を目的として、家庭における蓄電池導入促進事業を実施しています。

―蓄電池導入促進事業の内容について教えてください。

東條 蓄電池設置に係る費用の4分の3を補助しています。以前の事業では費用の2分の1を補助する形でしたが、23年1月末から現行の補助率に引き上げました。国や区市町村の補助金との併用が可能で、DR(デマンドレスポンス)の実証に参加した場合には10万円の上乗せ補助を受け取ることができるため、さらなる自己負担の低減が見込めます。また、補助の申込みから蓄電池の設置までが複数年度にわたる場合でも、支援が可能となっています。補助の対象となるのは、「SII」(環境共創イニシアチブ)に登録された未使用の蓄電池を都内住宅に新規に設置する場合です。また、補助金の申込みから1年以内に機器設置に係る報告書を提出する必要があるほか、6年間の処分制限期間内に機器の取り外しや目的外使用などを行った場合は、補助金の返還が必要となります。

―住宅部門との連携も重視しています。

東條 既存住宅への機器設置に際して必要となる住宅診断や改装前の点検などは、住宅関連分野における政策管理を担う住宅政策本部の調査データを基に行います。ほかにも、承認機種の選定を共同で行うなど、住宅の脱炭素化に向けた連携体制も整えています。

―都民に対して、どのような啓発活動を進めていきたいと考えていますか。

東條 蓄電池設置によるメリットをより多くの都民に認識してもらえるよう、太陽光発電装置と併せて設置することで、日々の光熱費の削減につながることや災害時にも電気が使用できることなどを継続してPRしていきたいと考えています。

とうじょう・さえこ(東京都環境局気候変動対策部家庭エネルギー対策課長)