【特集2】日本の事情を踏まえた製品を拡販 海外市場の開拓も見据えて挑む
創業4年目を機に蓄電池事業に弾みをつけている。
輸送のしやすさやコストの優位性が大きな武器だ。
【パワーX】
「自然エネルギーの爆発的普及を実現する」をミッションに掲げるパワーエックス(パワーX)は、創業4年目を迎えた。2023年10月に産業用蓄電池の量産を開始し、第1号製品をセンコーグループの物流倉庫(宮崎県都城市)に設置してから1年が過ぎた。
25年に販売を始めるのが「メガパワーJP」だ。「JP」は日本のことで、国内の系統用特高蓄電所がターゲット。系統用蓄電池はグローバル製品が大半で、広い道路を通って広大なスペースに設置する前提で製造していることが多い。そうした製品を道が狭く入り組み、用地が限られた日本に設置することは難しい。そこで、多くの日本企業からの相談を踏まえて開発した同製品は、10フィートコンテナで重量も25tと軽量だ。水冷モジュールを搭載し、従来品の1.8倍のエネルギー密度を実現した。
利用者目線で小型・軽量化 設置場所の選択肢が増える
メリットは、第1にコンテナを置く面積が従来品の最大40%にまで削減でき、より小さな土地で蓄電所を運開できること。その結果、設置可能な場所の選択肢が増える。第2が、蓄電池を小型・軽量化して輸送できるエリアを大幅に拡大したことだ。従来品は大型のため、けん引には長い三軸トレーラーを使う必要があり、カーブを曲がりきれないなどの問題があった。また重量の関係で、坂道を登れない、あるいは渡れない橋もあった。また、そのような特別車両の通行には道路管理者の通行許可が必要であり、手配に1カ月以上かかるため、すぐには蓄電池を設置できないというデメリットもあった。メガパワーJPであれば、日本の地方に多い幅6mの道路のカーブや交差点、高速道路も通行可能で、通行申請が必要な場合でも従来より短期間で許可が下りるなど、輸送スピードやコストの面で大幅に改良された。
事業企画推進部の春日章治シニアマネージャーは「今年はいよいよ飛躍の年。国外初出荷も実現させ、当社の蓄電池で、最近元気がないと言われる日本の製造業を元気にするきっかけにしたい」と意気込む。日本での展開の先には海外進出を見据えている。今後も同社の動向から目が離せない。