【中部電力 林社長】将来の情勢見据えた経営ビジョンを実現し 政策目標にも貢献へ

2025年1月1日

志賀 最後に、石破茂首相は地熱や小水力には関心があるようですが、岸田前政権と比べエネルギー政策全般の色がまだはっきりしていません。そうした中で佳境を迎えるエネルギー基本計画の策定に当たって、どんな意見をお持ちですか。

 地熱や水力も、そして原子力も大事な電源だと思います。また、政権はもちろん多くの方に政策上必要なことをきちんと説明していくことはわれわれの責任でもあります。

電力供給で国民の生活や日本経済を支える役割を全うするためには、安定供給、エネルギーセキュリティの確保、さらに脱炭素対応も必要です。あらゆるリソースを投入し、イノベーションも加味しないと、これら複数の課題を同時に解決することはできないと思っています。ですから「あれは必要、これは不要」ではなく、それぞれの電源の位置付けを明確にしていただきたいと思います。

原子力については、閣議決定されたGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針で「最大限の活用」が明記されています。その延長線上で、安全を前提とした再稼働に加え、具体的に新増設+リプレースの方針が示されれば、サプライチェーンの構築も含めて日本のミッション達成に貢献できます。さらに火力を脱炭素化しトランジションとして活用する取り組みも必要です。電気事業は原子力に限らず、お客さま、社会、そして地域の皆さんの理解がなければ進められません。電気事業連合会会長としても丁寧に説明を尽くす考えです。

志賀 電力業界からの発信を政府が受けとめ、地に足の着いたエネ基となることを期待します。本日はありがとうございました。


対談を終えて

電力需要が伸びに転じ、地政学リスクが顕在化、電気料金のボラティリティが高まるなど、環境が大きく動く中にあっても今の経営に確かな手応えを感じている。洋上風力では4プロジェクトに参加。浜岡3、4号は地震、津波の基準が規制委からおおむね理解を得、再稼働へ向けて前進させた。不動産をはじめ新規事業にも積極的だ。元気な明るい性格でグループをけん引していく。
(聞き手・志賀正利)

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