【西部ガスホールディングス 加藤社長】経営合理性の追求とESG経営の徹底を両立 組織の価値観を変える
投資は成長の源泉 経営指標達成に自信
志賀 今年度は中期経営計画「Next2024」の最終年度です。目標達成の目途は。
加藤 西部ガスグループは、21年11月に持続可能な社会におけるありたい姿とその実現に向けた戦略を「西部ガスグループビジョン2030」として取りまとめました。そして、その実現に向けて注力する取り組みとして22年3月にグループ中期経営計画「Next2024」を策定し、グループ一丸で取り組んできました。脱炭素の実現に向けた天然ガスシフトや小売電気事業、不動産事業の成長、食関連事業の回復などによりおおむね順調に進捗しています。成長に向け投資を行ってきた当社の取り組みが間違いなかったということを確認するためにも、目標に据える今年度の売上高2300億円、3年間の累計経常利益250億円という経営指標は必ず達成したいと考えています。達成できれば、当社の長い歴史の中でも初めての出来事になるのではないでしょうか。
近年は、収益の確保や将来への備えとして、不動産事業の強化や再エネ電源の開発、ひびき発電所の建設、LNGの海外出荷など、お客さまから少し離れた本社サイドの取り組みに注力してきました。今後は、「エネルギー」「住まい」「生活」「健康」「介護」「食」の六つの事業領域で顧客接点を強化し、不足する機能は、IT・デジタル化を一層進めるとともに、M&Aで補強することを検討しています。その場だけの収益向上につながるようなM&Aはグループ事業としての継続性の面で、長続きしないと思っています。
当社グループは、経営理念に掲げる「地域貢献」の思いに基づき、エネルギーと暮らしのサービスを通じて、地域の皆さまとの「つながり」を広げ、信頼関係を築いてきました。この経営理念の根底にある「地域貢献」の思いは変わっていませんし、今後も普遍です。
志賀 地域経済の発展、そして低脱炭素化への西部ガスグループの貢献に期待しています。本日はありがとうございました。
対談を終えて
社長就任を打診されると、間髪を入れずに「頑張ります」と即答。これが『加藤の1秒』と話題になった。社長になればいろいろなことにチャレンジできるから、「よし来た」と思ったそう。実際、就任後矢継ぎ早に新企画を打ち出した。そこには会社とは社員が幸せを感じながら生きるための源泉との思いがある。ガス事業拡大と脱炭素化の同時達成で成長を目指す。「投資なくして成長なし」の思いで、ひびきLNG基地の3号タンク増設を決断した。構想を形にする実行力がある。
(聞き手・志賀正利)