【コラム/1月20日】仕掛けの24年から仕込みの25年へ

2025年1月20日

加藤真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長

2025年が明けて、はや3週間ほど経つが、国内のエネルギー業界は昨年末までの慌ただしさから一服して、落ち着きを見せている。
昨年末には、GX2040ビジョン、第七次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画と、令和の政策3本柱とも言える政策の原案が提示され、パブリックコメントが1月下旬まで行われている。

24年は、その他の制度設計も忙しなく行われてきたことは、このコラムでもお伝えしているが、今回は、昨年の振り返りと今年の展望を記していく。


24年の審議会はどのようなものだったか

著者は、毎月、経産省(資源エネルギー庁含む)と環境省を中心に審議会の動向を追っているが、24年の1年間の特徴を整理してみた。

ご存知のとおり、各審議会は、毎回、複数の議題の報告や決議が行われているが、それらを各月、電力のバリューチェーンとその他関連キーワードで分類してみた。全体的にバランスの取れた議論が展開されているが、カーボンニュートラルや脱炭素が、ある意味、デファクト的に織り込まれるようになっており、全体に占める割合も2割を超えている。

電力バリューチェーンでは、やはり再エネの話題が多く、それに紐付く系統増強や運用面が関わることから送配電分野の議論も活発である。


24年度第三四半期は取りまとめと足元の制度の並行運用の季節

直近の四半期である24年10〜12月は多くの取りまとめが行われたほか、足元の制度設計や例年通り、多くの入札が行われた。

第3四半期の政策・制度設計の状況を見ると、大きく4つのポイントに整理される。

まずは、今後の政策の柱に関する取りまとめ作業・議論が加速したこと。言わずもがな、上述の3つの政策・計画が取り纏められたことが挙げられる。他にも、付随して26年度から本格運用が始まる排出量取引制度の制度設計や同じく26年度から実行フェーズに入る地域脱炭素のあり方、政府実行計画、ペロブスカイト太陽電池に代表される次世代太陽電池の戦略、30年度半ばから後半にかけて排出ピークを迎えるとされる使用済み太陽光パネルのリサイクルのあり方等が整理された。

2つ目は、足下の制度設計・運用は着々と進展していることである。例えば、昨年の通常国会で成立・公布された水素社会推進法やCCS事業法の具体設計や、事業用のFIT・FIP太陽光発電を卒FIT・FIP後も長期に活用するための新たな認定制度、託送料金レベニューキャップ制度の第1次規制期間初年度の期中評価等が挙げられる。

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