【特集2】沿線軸に持続可能な街づくりに注力 顧客目線で魅力あるサービス追求
【東急パワーサプライ】
東急パワーサプライ(TPS)は「東急でんき&ガス」の申し込み者数が67・7万件(2024年9月末時点)に上り、東京エリアの低圧市場シェアで7位につける。電気は非化石証書を用いて実質再生可能エネルギー100%、CO2排出量実質ゼロのものを供給する。東急グループが掲げる沿線を中心とした脱炭素、サステナブル(持続可能)な街づくりというコンセプトに則った事業を進めている。
犬養淳副社長は「東急グループ全体でのカーボンニュートラル(CN)に向けた目標として、30年までに自社(連結)電力需要の50%を再エネに転換するという目標がある。この取り組みの中に、当社があるという位置付けだ。渋谷のビル群や鉄道の脱炭素をどう進めるのか、沿線にお住まいのお客さまには鉄道を積極利用してもらいCO2排出量を抑制するなど、グループ一体でエネルギーに注力している」と事業スタンスを語る。
横浜市と蓄電池で協業 東北地方の応援に生かす
そんなTPSは、ユニークな電力プランを用意する。昨年6月に発表した「ハマでんちプラン」もその一つだ。同社と横浜市、東北電力フロンティアの3者が、横浜市内における再エネの普及を目的に、連携協定を締結。これに基づきTPSは、横浜市内に太陽光パネルを設置する家庭を対象に蓄電池リースサービスを実施。横浜市が、連携協定を締結する東北地方の自治体などに立地する再エネ発電所由来の環境価値を活用した電気をセットで供給する。
プランの利用者には、毎月「ハマとも東北応援ポイント」が付与。東北電力フロンティアが提供するプラットフォーム「東北サポーターズ」で、東北地方の地域のお祭りなどのイベントから応援したいものを選び、贈ることができる。さらにポイントがイベント運営資金などとなり、東北地方の地域活性化を応援できるという仕組みだ。
今後も電力事業の付加価値サービスを展開する方針だ。以前、需要家に商業施設のクーポン券を配布し、真夏に外出してもらい節電を促すDR(デマンドレスポンス)キャンペーンを行った。犬養氏は「お客さまが生活する中で何かワクワクするようなサービスを提供したい。こうした点を追求する事業者でありたい」と意欲を示している。