【特集2】CNニーズに応える事業を拡大 供給基盤構築と需要創出を推進

2025年3月3日

熱分野導入に向けた新開発 8割超の高効率燃焼を達成

熱分野への水素導入拡大に向けた技術開発にも力を入れている。中でも注目されているのが、昨年末に水素燃焼化に成功した工業炉バーナー、「水素対応リジェネラジアントチューブバーナ」(リジェネバーナ)だ。蓄熱体を備えた二つのバーナーを一対として利用し、交互に切り替えて燃焼することで、チューブ内で燃焼させたガスの排熱を回収・利用するリジェネ方式を採用。これにより、排気損失ベースで80%以上という高い熱効率での水素燃焼を実現した。また、一部の部品を交換するだけで都市ガス燃焼と水素燃焼を切り替えることができる仕様となっており、導入コストの低減にも成功した。

リジェネラジアントチューブバーナ(イメージ図)

ただ、水素燃焼には都市ガスとの性質の差に起因する難点がある。都市ガスと比べて火炎温度が高く、また燃焼速度が速いため、NOX(窒素酸化物)排出量の増加やバーナー部品の劣化を引き起こす。

こうした課題を解決すべく、同社が注目したのが「多段燃焼」だ。多段燃焼は、燃焼用空気を分割して炉内に送り込むことで段階的な燃焼を可能にする。リジェネバーナへの多段燃焼の導入では、バーナーのノズルなどの一部部品を変更し、燃焼可能な箇所を増やすことで対応。これにより、火炎温度が低下し、NOX排出量を都市ガス燃焼時と同程度まで低減させた。技術研究所カーボンニュートラルの山本朱音氏は「多段燃焼の導入で、熱効率を維持したまま火炎温度を低下させることが可能となり、課題であったNOX排出量の大幅低減につながった」と説明。「これから耐久性などをテストし、問題がなければ今年末にも商用化する」(山本氏)計画だ。

青山課長は「ガス・電気に加えて水素もエネルギーの軸として位置付けており、お客さまのCNに資する取り組みを推進していく」という。水素の需要創出と供給網構築に着々と歩みを進めていく同社から今後も目が離せない。

リジェネラジアントチューブバーナ(外観)

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