【特集2】穀物生産大国が存在感を発揮 陸と空の脱炭素化で攻勢かける

2025年4月3日

約200カ所の製造拠点 日本への働きかけに意欲

米国はいち早く、穀物栽培からバイオ燃料の生産や流通に至るサプライチェーンを拡充。全米に約200カ所あるエタノール製造拠点が稼働し、1割強の余力がある。それだけに豊富な供給力を生かさない手はない。ハバード氏は輸出も視野に、「米国はグローバルに向けてエタノールを供給する、信頼できるサプライヤーであり続けられる」と胸を張る。

ただ、SAF市場の攻略は一筋縄ではいかないようだ。「50年までに航空分野のCO2排出量を実質ゼロにする」という長期目標を掲げる、国際民間航空機関(ICAO)による脱炭素化の枠組み「CORSIA」で、持続可能性があるSAFと認められる必要があるからだ。

「SAFにチャレンジしていきたい」。首都ワシントンに本部を構えるアメリカ穀物協会の事務所で、エタノール業界団体「グロース・エナジー」のクリス・ブライリー副会長はこう決意を表明。同協会バイスプレジデントのケアリー・シフェラス氏もトウモロコシ由来エタノールの対日輸出拡大に向け、「日本の政府や産業界に働きかけていきたい」と力を込めた。

米国産エタノールの受け皿をどこまで開拓できるか。第2次トランプ政権のエネルギー外交次第で、世界のバイオ燃料市場は大きく揺さぶられそうだ。

エタノール生産の制御室

グロース・エナジーのクリス・ブライリー副会長

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